進撃の兵長
□乙女ゲー風進撃の巨人 団長編
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こんな時に団長の顔が浮かぶ。
私が、心から信頼して…仕えた人。
私がここで生き絶えたら…。
あの人はきっと、誰にも悟られず、自分を責めるだろう…。
私の望みは……団長に私の死を気負わないで欲しいという事と…少しだけ………寂しいと思ってくれること…。
そんな思いが溢れ出る。
そして…運命の瞬間は突然訪れる。
やはり奇行種だ…。
気配を消して、背後に回るなんて!!
私は慌てて体制を立てる。
しかし、相手の動きの速さにまで対応できない…。
掴まれる……!!
そう思った時…。
人影が巨人の背後を通過する。
一瞬にして巨体が私の目の前に倒れこんだ。
そして土煙の向こうから目の前に現れたのは…。
ーーー兵長!
私は緊張の糸が切れて、その場に倒れこむ。
すんでのところで兵長が私を支え、ゆっくりと私を地面に横たえる。
「無事か??」
兵長が私に声かける。
私は目に涙をいっぱいためて…。
「 兵長…。ごめんなさい。」
「私………。兵長の部下を守りきれなかった……。」
涙が零れ出す。
兵長は私の上半身を起こし、私の手を握ると…
「…お前が生きていれば、この奇行種のデータが生きる。」
「俺の部下の死も、無駄ではなくなる。」
「お前は…よくやった…。」
私はただただ、そう語る兵長の腕の中で泣くことしかできない。
「ここに居ても危険だ…。」
とにかく戻るぞ。
私は兵長に担がれて馬に乗り込む。
後は、どうやって戻ったかはあまり覚えていない。
私は、衰弱が激しく、医務室に直行した…。