小説置場
□借り物競走 〜借りられました〜
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今日は体育祭。スポーツが得意っていうか好きな俺にとっては一大イベント。
その中でも楽しみなのは生徒会主催の競技。…俺は出場しないけど、見てて面白いと思える唯一の競技だから好きだ。それに今年は「借り物競走」らしいし、最後には裕貴が借りられるみたいだから大輝の反応が面白そうだ。
俺は裕貴と幼馴染ということもあって、アイツらのことは結構知ってたりもする。その代わり裕貴も俺と直貴のことは大体知ってる。だから大輝がどれ程ヤキモチ妬きかも知ってるわけで…。
ピストルの合図と同時に選手が走り出した。そういえばこいつら全員裕貴に気がある奴じゃないか。…大輝、大変だなぁw
そう思ってみてみると大輝が固まっていた。周りは早速探しに行ってるようだけど、アイツは動く気配がない。…最初から難関かw
まぁアイツらしいっちゃらしいけどなw
あっ!!動き出した!!
…ってかこっちに来てねぇか?
絶対に来てるよな?
もしかして俺の方へ来てる?
今、目があったような…?
「啓介!!」
やっぱりかぁ…。
「お前さぁ、付き合ってる奴いるだろ?」
「いるけど…なんで?」
「いいからそいつと一緒に来て!!」
「…わかった」
…お題はカップルだなw
てかどうすんだよ。直貴絶対に嫌がるよ。
案の定、俺の予感は当たってた。
「嫌だよ!!行きたくない!!」
「直貴、頼むから」
「絶対に嫌だ!!」
なんでそこまで拒否るかなぁ…。俺的には直貴は俺のモノだって周りに気付かせられるからいいんだけどなぁ…。
結局は大輝の権幕にやられてしぶしぶ付いて行くことになった。さすが大輝w俺様なだけあるなw
でも…直貴がさっきから俯いてる。泣いてはいないけど、周りからの視線が怖いみたいだった。
この競技はいちいち承認してもらわないと先へ進めないらしく、証拠を見せろと言われてしまった。
「頼む!!なんでもいいから証拠をみせてくれ」
「啓介…俺、やだよ」
「直貴…ごめんな」
そう言って俺は優しく直貴を抱きしめて、ほっぺにキスをした。
「これが証拠だ!!」
「承認します」
「よっしゃ!!…啓介たち、ありがとう!!」
「おぉ、頑張れよ」
その言葉を聞いて大輝は去って行った。