小説置場

□体育のお時間
2ページ/2ページ


「相手してやるよ」


そう言ってきたのは裕貴だった。裕貴とは、そ…その…付き合ってる。男同士だし気持ち悪いって思われるからみんなには内緒。

「わりぃな」

「これくらいは彼氏がやんないとね」

「ばっ、お前みんなに聞こえるだろ!」

「し〜らないっ……それよりやるよ」

「もぅ…」


それから僕がシュートを決めるまで付き合ってくれた。

「やっと入ったぁ〜」

「おめでとう」

「うんっ!ありがとう」


……ギュッ

不意に後ろから抱き締められた。

「えっ!ちょっ何してんの!?」

「裕太補給、してんの」

「ちょっと離せって!」

「裕太」


僕は裕貴に耳元で呼ばれるのが弱い。こいつはそれを知っててわざとやってくる。

「裕太、好きだよ」


耳元でそんなことを囁かれてしまったから、僕の顔は自分でもわかるほど赤い。

「…何言ってんだコノヤロー!」


僕は思いっきり力を振り絞って裕貴の腕の中から逃げた。これ以上そばにいると僕がおかしくなる。

「はぁ〜…素直じゃないな、ほんと」


そんな声が聞こえた気がした。


Fin
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ