小説置場
□体育のお時間
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「相手してやるよ」
そう言ってきたのは裕貴だった。裕貴とは、そ…その…付き合ってる。男同士だし気持ち悪いって思われるからみんなには内緒。
「わりぃな」
「これくらいは彼氏がやんないとね」
「ばっ、お前みんなに聞こえるだろ!」
「し〜らないっ……それよりやるよ」
「もぅ…」
それから僕がシュートを決めるまで付き合ってくれた。
「やっと入ったぁ〜」
「おめでとう」
「うんっ!ありがとう」
……ギュッ
不意に後ろから抱き締められた。
「えっ!ちょっ何してんの!?」
「裕太補給、してんの」
「ちょっと離せって!」
「裕太」
僕は裕貴に耳元で呼ばれるのが弱い。こいつはそれを知っててわざとやってくる。
「裕太、好きだよ」
耳元でそんなことを囁かれてしまったから、僕の顔は自分でもわかるほど赤い。
「…何言ってんだコノヤロー!」
僕は思いっきり力を振り絞って裕貴の腕の中から逃げた。これ以上そばにいると僕がおかしくなる。
「はぁ〜…素直じゃないな、ほんと」
そんな声が聞こえた気がした。
Fin