桜
□序章
1ページ/1ページ
春が来た…が、正直どうでもいい。
花粉が飛び交うだけの季節なんていっそ消えてしまえ。
夢見がちだった幼少期と違い、花なんてどうでもいいと本気で思う。
舞い散る桜の花びらでさえ、花粉の元凶だと思えば憎たらしい。
希望・夢・始まり。
そんなもの期待もしていない。
絶望・現実・終わり。
そんなものを望むほど、倒錯的でもなければ破滅思考でもない。
全ては曖昧なまま。
今までもそうだしこれからもそうだ。
変化なんて来なくてもいい。
このままで全てが終わるまで立ち尽くしていたい。
このままでいい。
本当に…このままで。
そう思っていた。
願っていた。
切望していたと言っても過言ではない。
だが、私はこのとき忘れていた。
…願いが叶ったことなんて今までに一度もないと。