ラッキー★ドッグ

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「おーい、ジャンカルロ!起きろー」
「……あいよー、ジョシュア。起きてるぜ。………あんれぇ、そいつは?」
「昨日きたばっかりの新人ってやつだよ」
「アリシアってぇの。よろしく」
「おう、よろしくな」

がちゃん、と檻の鍵を外して囚人を自由にする。ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ。こちらを眠そうな目で見てきた金髪の男の名前だ。
そして、俺の目的の人間。
あえてじろじろと観察する。俺は来たばっかりだから不思議そうにしていないとジョシュアに逆に疑われてしまいそうだからだ。

「そんな熱い視線向けないで欲しいワ」

照れちゃう、なんておどけてみせたジャンカルロに、ジョシュアが呆れた顔をした。

「なに言ってんだ。ほら、いくぞアリシア」
「わかってるって!」

俺が看守になったのはつい昨日のことだ。
偽造の書類やらなんやらをもう既に用意していたらしいカポ。流石としか言えない。
俺じゃなくて本当に看守をやらせられるような奴がやれば良かったのに、手紙の内容がもれちゃいけないから、だと強く言われてこんな刑務所に俺は足を踏み入れてしまった。
そんなもん、秘書に渡させればすむ話だろうに……

俺は自慢じゃないが、サツに捕まったことなど一度もない。それどころか、怪しまれることも無い
全てが全て計画通り順調に解決してしまうからだ。
そんな俺が刑務所内に居るなんて、涙がちょちょぎれそう……
やっぱ、馬車馬みたく働かされるって、間違っちゃいなかったな……

まぁ、しかしだ、幹部と顔を合わせるいい機会だろう。
新人だから、ジョシュアの後を雛みたくくっついて仕事を覚えなくちゃいけないのが面倒だけど、囚人になるよりも看守のが動きやすいのは確かだしな。

「……仕事の内容は大体わかったぜ」
「そうか?そりゃ良かった」

明るく笑顔をくれるジョシュアの癒しパワーに、なんだか元気になった気がした。
ジョシュアに皆が声をかけたりする気持ちが分かる…
こいつっていいやつだよなぁ。爽やかだし、なんで看守なんてつまらない仕事選んだんだか……







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