ラッキー★ドッグ

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プルルルル……プルルルル……

調度いいタイミングで電話がなったな。
かけたのが誰だかは分かっている。
俺の隠れ家の電話番号を知ってる奴は限られいるから……

「ハロー。こちら、ネコちゃんでぇす」
「んなこたぁ、わかってる」

ビンゴー!

「冷たいんじゃありません?可愛い可愛い貴方のペットがそっぽ向かずにまっていたってぇのに」
「そりゃ悪かったな。あとで可愛がってやるさ」
「えっちぃ……」

くすりと笑い声をもらす。
しかし、我らがカポ様はとっとと本題に入りたいようで仕事時の低くて鋭い声が鼓膜に届いた

「大体わかってるんだろ?」
「そりゃー、愛しのマスターの考えることなんてお見通しですって」
「………幸運なワンちゃん達にに手紙を届けほしい。そんで、ついでに脱獄を手助けしてこい」

幸運な、ワンちゃん?
それってもしかして……

「あの有名なラッキードッグに手紙、……ねぇ」

ラッキードッグ。とっても有名なワンちゃんのことだ。
運がずば抜けてよくって、組のお偉いさん方から気に入られている。話しはちらちらと耳にしていたが、今はあまり聞かない。ゲージにぶちこまれてしまったのだろう。
そんでもって、何回目かの脱獄のチャンスをうかがっているって訳だ。

「…………悪いが、考えてる暇はねェ



今晩にでも迎え」

ボスがおれを急かす。
窓の外を見ると、もうエンジンのかかった車が用意されていて、その車に寄りかかって煙草をふかしている部下も見えた。

それにしても、急だ。なにかに焦っているのだろうか?

ここまで急いだ依頼をされたことは今まで一度もない。俺はこんな性格だが、几帳面だし計画は組み立てて保険をかけてから動くという随分保安的な考え方だというのを理解していたからだろう。そんな俺に無茶いうなんて滅多にない。

「仕方無いなぁ……おっけぇ。
頑張ってくんぜ

………んで、ご褒美は?」

「生意気なガキが……。お前がイヤって程欲しがってたもんくれてやるさ」
「…………期待してるぜ、マイマスター」

ちゅっとリップ音を受話器に立てる。そしてすぐに電話は切れた。
正直、何させられるのか検討も付かないがやるしかないだろう。

「マスターのとこまで飛ばせ
急げよー」
「は、はいっ!」

俺の姿を見て慌てて煙草を消した部下。えーっと、名前は………忘れちゃった。アメリカ系の奴だったような……

白い車は、のぼったばかりの朝日に照らされて街を走った。







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