ラッキー★ドッグ

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朝飯が終われば、囚人達は振り分けられた今日の当番をこなして自由時間になる。
看守は見回ったりはするが、大して忙しくもなく、むしろのんびりまったり出来そうだった。
これなら、簡単に話をすすめられそうだな……



よし。そして、おれはアクションを起こす事にした。





「ベルナルド・オルトラーニ」

自分のベットで大人しくなっている奴に、柵越しに話しかける
緑の髪に眼鏡、なんだか物静かな雰囲気漂うコイツは間違いなくCR:5幹部ドン・オルトラーニだ

「ん……?
新人看守くんが一体何の用だ?」

のそりと細くい図体を持ち上げたベルナルドは、小さく片方の眉をつり上げた。
やっぱり、俺の事を知っていたのか。
看守新人というのはこの刑務所じゃなかなか居ないと聞いた。他の刑務所で何年間か仕事をしてきた奴が移されてくるのだと……。
流石、脱獄しにくいと評判なだけある。

「悪いが、マスターからのお届けものでね。
僕たちの偉大なるパーパがプレゼントをくれたんだよ」

檻に背中をぴったりとくっつけて、手紙達をそっと間から見せびらかす。もちろん背はドンに向けたまま。声だけは明るく、周囲の人間に感ずかれないように……

偉大なるパーパ、の辺りから気が付いたのか、ベルナルドは急いでその手紙を受け取った。
そして、五枚の手紙全部に入っているCR:5の紋章の蝋を見て静かに頷いた。

「すまないな」

「……ドン達とあの綺麗なゴールドが目立つワンちゃんにも分けてやってくれよ?」

人払いはしていないので、これ以上話すのは危険だと判断してそっとその場所を離れた。
直接本人達に渡さなくていいと言われてあるし、あれで平気な筈だ。

それにしても、面識のないドンの前でふざけた態度をとるのは中々勇気がいる。
カモフラージュのためだと言っても、中々難しい。
あの短期で有名なイヴァン・フィオーレとか相手だったらキレられてもおかしくない、よな。
そう思うと、やっぱり手紙を預ける人選は間違ってなかったってことだよな……うん。

別に大それた理由があった訳じゃないが、一番ジャンカルロと面識があるっていったらベルナルドしか思い付かなかった。
ルキーノ・グレゴレッティは遠目で見たことあるけど、あの巨体と男前な顔が目立って人払いをしないとこんな話なんて出来ない。
イヴァン・フィオーレは正直声が大きくて、密談には向かないだろう。
唯一面識のあるジュリオ・ディ・ボンドーネ、彼は人に説明をしたりするのが得意には見えないし、俺が手紙を渡しやすい相手でも、配る人間にしては少し役不足じゃないかと思ったから外させてもらった。
消去法だが、外れてはいないと思う。
彼は纏め役っぽいし、おちついていた。
まぁとりあえず、一段落ってところかな……

片手で自分の首を揉みほぐして、一段落ついた仕事にほっとため息をついた。




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