フリーザ様

□審神者してるフリーザ様の周りをチョロつく
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※蛍丸視点
※悟空達と触れ合った後





今日は俺の本丸を紹介しようと思う。まず俺の主は人間じゃない。どういう事だと思うよね。なら同じ付喪神か何かなのか?と予想するかもしれない。が、それも違う。と言うか何者なのかがわからない。顕現されて初めて見たときは思わず悲鳴をあげてしまったわけだけど、妖怪とかでもないらしい。聞けば『宇宙人じゃね?』と答られたのだが、これを答えた人物についてはひとまず放置する

うちゅうじん。それが何かまったくわからなかった俺は、調べに調べた。俺はこの本丸で初めての刀剣だったし、柄じゃないけど今後来る刀剣達がやたらと動揺しないように説明してやらなきゃいけないと思ったんだ。調べて驚いた。宇宙人って、そもそも日本どころか地球上の生き物じゃなかった。俺と言う刀が作られて遥かに年月が流れている。今じゃ国外では済まされず地球外からやってくる者も居るのかと納得しようと思ったら、『え?この世界もそんな感じなの?』と意味不明なことを言われた。なんで分からないふうなの?と言うか、この世界ってなに?俺と一緒に宇宙人について調べてくれてたこんのすけはこれを聞き、「何を申されても蛍丸様の主がフリーザ様と言う事実は変えられませぬゆえ、あまり気にされずともよいのでは?」といきなり潔く諦めだした。いや、うんまあ、別に主自身に不満があって調べてたわけじゃないんだけどさ。でもさ、白と紫の体に尻尾が生えてて皮膚も指の数も違う人物がいきなり目の前に現れたら調べてやろうと思うくらい普通だよね?『蛍丸ってけっこー気にしいなんだ?言われてみれば全然違うね』って何それ名前の頭の中どうなってるの?

結局、なんだかもう全部どうでもよくなったからそれ以上調べるのやめた。主は気配がやたらと禍々しいし歴史修正主義者を見る目は腰が抜けるほど恐ろしい。隙なんてまったく無いし俺のことなんて蟻でも踏み潰すみたいに折ることだって出来るだろう。でも名前の世話してるってだけでとっても良い人に見えた。あと話し方が丁寧で基本的には寛容なところも俺は良いなって思ってる。だから石切丸が名前に「君は人間なのに主とはまた違った気配がするね」って尋ねて『あ、それってあたし第4宇宙の出身だからじゃない?ここは第6宇宙だってビルス様が言ってた』とか言われてても気にするのはやめた。びるすさまが誰とか、そう言うのはもういいんだ。気にしてはいけない。フリーザ様は第7宇宙出身だよって平然と言う名前に石切丸はお、おう…ってなっていた

ところで、さっきから名前を出してしまってるけど名前って言うのは主と一緒に居る人間の女で、たいそう頭が悪い。地頭が悪いわけではなさそうだけど、根本的に何かおかしい。俺の次に鍛刀されたのは次郎太刀だったのだが『フリーザ様!あたしの結婚相手に良さそうな剣を作ってくださいよ!』と騒いで怒られていた。次郎太刀とはめちゃくちゃ仲良くなってた。その後しばらくしてから鍛刀されたのが石切丸で、『醤油顔イケメンいいね!』と騒いでやっぱり怒られていた。でも刀剣に思うところがあるのか『人の姿とは言え剣は剣だしね。許されざる恋に落ちるのはどうだろうか』と勝手に悩んでた。なんでもいいけど剣って言うのやめてよ。そんな名前でも特技がちゃんとあって、作る食べ物がみんな美味しい。特にお菓子は本当に本当に美味しくて、こんのすけが太った。こんのすけは主に言い付けられて名前の傍に居ることが多い。ちなみに俺達も主から「名前さんを頼みますね」と言われている。でも出陣なんかがある俺達よりもこんのすけのほうがずっと長く名前と居るせいか、太った。料理の味見をする係りになったらしい。必要ないじゃんそれ

こんのすけが太ったことに気付いたのは初めて演練に行った時だった。主は見た目がああだし、何故か太刀大太刀しか鍛刀しないから部隊も他より圧巻だし、名前とこんのすけもついて来てたので怖いくらい目立ってた。じろじろと俺達を見てくる人混みの中にちらほら混ざる他所のこんのすけを見て驚いた。なんか、ほっそり。隣に居た三日月に伝えたら、あなやとか言って目をパチパチさせて他所のこんのすけとウチのこんのすけを見比べた。ウチのこんのすけ、ひと回り大きい。手足もむっちりしてるし顔まわりも肉々しい。どうりでこんのすけをずっと抱っこしてたら腕が痛くなるわけだ。名前がよく腕がダルいと言ってるのはこのせいだと思った。この時もこんのすけは名前に抱えられていたので、他所よりお前太ってるよと教えたら「なんと!こんのすけは太っているのではありません!他所が細すぎるのです!こんのすけは標準です!証拠にほら!ご覧下さい!この動き!」騒ぎ立てながら名前の腕を下り、その場でシュババババッ!と反復横飛びし出した。早すぎて引いた。名前は拍手していた。そのあと、ひきつけを起こしそうなくらいゼーハーしてたけど動けるデブだったのでまあ認める。その時の演練で、太刀大太刀以外の刀剣を初めて見た主と名前が興味深そうにしていたので次の日から刀剣のドロップを狙いつつ出陣するようにした。俺達が居れば充分、と言いたいとこだけど場所によっては動きにくい所もあるしもっと本丸で過ごす時間も欲しい。聞けば短刀辺りはわりと高確率でドロップ出来るらしいが、なぜか俺達の所には来にくい。それでもなんとか見つけて、今ではたくさんの刀剣が居る

「おや。蛍丸さん、こんな所にいましたか」
「主」
最近は見つけてきた刀剣を強くする為に俺達、鍛刀された組は休みの日が多い。今日も休みな俺は本丸の隅っこでゴロついてた
「あれ?主は今日は審神者の会議があるんじゃなかった?」
「ああ。毎度毎度なんの進展も無く同じ報告ばかりで無益でしたから、今回から不参加にさせて頂きました」
なんて事無いように言うけど、こんな事が許されるのはウチの主だけだと思う。前に、どうして審神者になったのか聞いたら「名前さんを連れて不自由なく過ごすには審神者が一番都合が良かったんです」と静かに笑った。その顔を見て、たぶん主は自分が審神者になる為に政府の何人かは殺してるんだろうなと漠然と感じた。でも名前にはそうした姿を絶対に見せないし、彼女が居なければ主に殺されるのはたった何人かでは済まないだろう。主は強い。おそらくこの世界で誰よりも。同田貫が来た日に、俺は強いし一人でも戦えるし戦いたいと騒いだ。主はそんな同田貫の前に立ち「虫ケラが。弁えなさい」とデコピンした。主のデコピンにより同田貫は本丸の何部屋かを突き破り外まで吹っ飛んだ。巻き込まれた小狐丸が「せっかく名前様に毛並みを整えてもらったばかりなのに!」と泣いてた。名前は主の指をやたらと触って『感じる…!コスモの凝縮を感じる…!』と呟いていた。要は本丸の秩序を守りなさいってことらしい。よくわからないけど同田貫は主を尊敬するようになったから円満に解決したようだった

「そろそろ出陣していた者達が戻ります。全員が揃えばおやつの時間にすると名前さんが言ってましたよ」
「もうそんな時間?やった、今日はなにかな」
「黒ごまプリンとかぼちゃプリンを作ったそうです」
「俺、名前の作った黒ごまプリン好きー」
「ええ、私もです」
名前はすごく馬鹿だけど優しいし、いっつも楽しそうにしてるから俺もつられて楽しくなる。なにより、主をこんなふうに優しくさせる人は他に居ない。出陣部隊の帰還の声がして、それを出迎える名前の声を遠くに聞きながら、この本丸に来れてよかったと俺は笑った。ね、どう?羨ましいでしょ?





















闇夜に太陽



(蛍丸、黒ごまプリン好きだったよね?このおっきいヤツあげる。みんなに内緒ね)(やったー!)















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初期刀ってことでなんだかんだ夢主とは一番仲良し

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