フリーザ様

□審神者してるフリーザ様の周りをチョロつくA
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※モブ視点




オッス、オラモブ審神者!今日は初の演練でワクワクすっぞ!

…なんて、テンション上げてみたものの、初演練で緊張がすごいモブ審神者(男)です。新米審神者の俺、前々から要請がありつつも刀剣達を出来るだけ強くしてからこの演練に臨みたく、ずっと引き延ばしてもらってたけどいい加減やらなきゃいけない日が来てしまった。今日まで頑張ってくれた刀剣達は、それなりに仕上がっているんじゃないかと思う。それでも演練場を見渡せば、レア刀だらけの所がちらほら居て緊張に拍車がかかる。まあ初戦だし、全勝とはいかなくても刀剣達に自信をつけてもらえるくらいには戦いたい
「なんだなんだ、主は緊張しすぎじゃないか?」
「鶴丸…だってなぁ…お前は大丈夫か?」
「緊張よりも楽しさが勝ってるな。他の本丸の自分たちを見ると驚きがあって楽しい」
「それはまあ、たしかに…。思ってた以上に本丸ごとに顔付きとか雰囲気とか違うもんなんだな」
「うむ。…おっ、あっちには屋台があるぞ!」
演練場ってもっと殺伐としてると思ってたが、意外にもがやがやと楽しそうに賑わっている。食べ物や物資等の屋台が並ぶスペースもあれば休憩スペースもあって、ちょっとしたお祭りだ。中には審神者同士で交流している人達もいる。なるほど、此処で他の審神者と知り合って情報交換なんかをしてもいいわけか。
「うわっ!おいおい主、アッチ見てくれ、あの女性の…」
「うん?…お、おう…!?」

鶴丸がぎょっとした顔で指差す方には屋台に並ぶ女性…に抱えられたウチのこんのすけよりひとまわりデカイこんのすけが居た
「で、でかい…」
「驚きだな…。こんのすけって成長するのか」
成長?成長…う、うーん…?この場合なにか違う気もするが…。ウチのこんのすけは手続きに行ってくれてて近くに居ないので比べられないが、どう見ても女性に抱えられたこんのすけは成長している。なぜあんな事に…と、こんのすけが気になりもするがそれよりも何よりも
「女性の審神者かぁ…!仲良くなりたいなぁ」「主のそう言うあけすけなところ、好きだぜ」
「むさっ苦しい男所帯で生きてんだぞ!?そりゃ本音も漏れるだろ!」
「まず人間ですらないしな」
篭もりきりのこの仕事ではなかなか出会いがない。友達から紹介云々だって限界がある。そもそも、それほどコミュ力があるわけではない俺は審神者になって生涯独身の恐怖に怯えている。ちらほらと男女の審神者が会話していたりもするので、俺もそっち側へ行きたい
「でも彼女の連れてる刀剣、蛍丸かぁ…。ベテランなのかな」
「他に連れてる刀剣が見当たらないから測りかねるがなぁ。どれ、まずはもう少し近づこうじゃないか!」
「え、ちょっ、おい!」

鶴丸に腕を掴まれ、ぐいぐい近づく。不審に思われない程度に距離を取り、屋台を物色してるフリをして鶴丸と一緒に女性と蛍丸の会話に聞き耳を立てる。よかった、隊長の鶴丸以外はこんのすけに付いて行ってもらってて…。主が女と見れば見境なくがっつく姿なんて見せられない。いや、見境なくがっついてるわけじゃないけど!全然違うけど!でも大倶利伽羅なんかは女性を目で追うだけでも呆れた視線を投げてきそうだ
「なにか買ってくの?」
『うんほら、この前花札やったとき髭切が全然勝てなくて暴れたじゃん?何枚か斬られちゃったから新しいヤツと思って』
!?髭切ってそんな物騒なの!?聞いてた話と違う!
「あーあったね…。なんかさ、年寄りって普段温厚なくせによくわからないところで癇癪起こすよね」
『ねっ。顔に落書きしたの黙ったまま出陣しても怒られなかったのにココアをお湯で溶いたの飲ませたらすごい怒られた』
「なんと!それは名前様が悪うございます!ココアには牛乳でなければ!」
『こんのすけは甘党だもんねぇ』
「三日月か。て言うか落書きもやめてよ、一緒に出陣する身にもなってよね。三日月が視界に入るたびに笑っちゃって力入らなかったんだから」
『ごめんぽよ』
「んも〜」
…な、なんかすごいな。屋台を物色しながら淡々と会話してるのがまた…。いたずらっ子極まれり、みたいなかんじか。彼女の本丸では日常茶飯事なんだろうな。鶴丸が目を輝かせてるのがこわい。ウチでそれやって許してくれる刀剣は浮かばんぞ

『てか、はいパス』
「うわおっも!こんのすけお前また太った!?」
「失礼おっしゃる!こんのすけはあれからずっと今の状態をキープしてます!」
「だめじゃん!」
ですよね、やっぱり太ってますよね。あのこんのすけはアレがデフォではないらしい。このやり取りを見て、なんだかいろんな本丸があるんだなと感心してしまった。もっと早く演練してらばよかった。鶴丸が言ったように、他所を覗ける良い機会だ。ひとり納得してたらウチのこんのすけがやって来た。スマートだ。どうやら出番らしい。声を掛けなくていいのかと鶴丸に聞かれたが、ひとまずやめておこう。これから演練なのにこんな所で浮足立っていてはダメだろさすがに。俺は彼女たちの楽しげな声から離れ、部隊のみんなと合流した。よし、頑張ってくれ!
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