ドフラミンゴトリップ

□ここぞとばかりにやりたい放題な桃鳥
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「フッフッフッ…!」

『…ねぇいい加減ノイローゼになりそうだから笑い声止めて』

「名前チャンがこっち向きゃあ止めるぜ」

『ないわ』

「照れるなよ」

『ありえないわ』

「フッフッフッ!」

『……』



夜も更け、船中が静まり返る中でこの部屋だけ(一匹の笑い)声が絶えない。似たようなやり取りを何度したか。こめかみを引きつらせる名前とご機嫌過ぎるドフラミンゴ。対照的な二人はベッドの中央に寝ており、横向きになっている名前は背後からドフラミンゴに抱きつかれ首筋に顔を埋められている状態だ

昼に鮮やかな逃走をみせた名前が満足気に船に戻り目の当たりにしたのは、ぼろぼろのめたくそになり重なり合ったクルー達の山とその頂上に王様よろしく座り足を組むドフラミンゴの後ろ姿だった

背後から人が迫る気配がして振り向くドフラミンゴの口角は珍しく下を向いていたが、振り向いた先に居る名前はまだかなりの距離があったため気づかない。例え近い距離に居たとしても名前の視線はドフラミンゴだけをしっかりフレーム外にしてクルーで作られた山しか映っていなかったので結局は気づかないままなのだが

対して、気配だけで無く遠目からでもばっちり名前の姿を確認したドフラミンゴは下げていた口角をゆっくり上げていき、裂けんばかりまでに到達したところで笑いながら名前の名を呟く。ドフラミンゴが口にした名前を聞いたクルー達は一斉に安堵の涙を流した。そうして全員からの熱烈なお帰りコールを浴びた名前はそれだけで大体の事情を把握する事となる。その成れ果てが今なのだが



『…やーもう鬱陶しいにもほどがある。寝にくい、離れて』

「あァ、名前チャンいつも仰向けで寝るもんな。いいぜ、コッチ向かなくていいから仰向けになれよほら」

『そうだけどそうじゃないからね優しさの使い方間違ってるからね。離れろって言ってんだろ鳥臭移る』



言いながら身体を離すドフラミンゴだったが、同時に名前のお腹に回していた自身の腕を名前の首の下に入れてきた。どうやら腕枕をする気らしい

普段二人が寝る時はベッドの端と端に離れて眠る。キングサイズのベッドの両端に離れ眠る男女、これだけなら喧嘩中のカップルのようだがこの二人に限ってそれはない。純粋に距離を置いて眠る為の行為だ。これは当然、名前が初日の夜に要望したものだ。ドフラミンゴが素直に従うはずもなく、端ギリギリまで寄って寝ようとする名前に擦り寄り現在ように抱きついたが名前の腕ひしぎ十字固めが右腕に決まり、人体の関節からは聞こえてはいけない音を立てた。変わらず笑ってはいたがドフラミンゴはその日から素直に端っこで眠っている

…のだが、今夜は特例だった。食事中も読書中もクルーとの談笑中も名前にべったりくっ付く…というかねっちゃり貼りつくドフラミンゴはそのまま、名前がベッドに潜ってからも貼りつくのをやめなかった。そして名前も、トイレと風呂に入る際にドフラミンゴが入り口で待つと言い出した時に彼の弁慶めがけてローキックを放った以外は苦情を言わずだいぶ必死に耐えていた

理由はひとえにドフラミンゴのジャイアニズムの被害を受けた船員達への後ろめたさだ。泣きながら縋ってくるイイ歳した男達…しかもファンタジー満載なこの世界でさらに身体が資本の彼等のいかつさは名前が知る一般成人男性の比ではない

そんな勇敢な海の男だか戦士だかであるらしい野郎共が自分に泣き付いてくるのを無下に出来る非道ではないのだ彼女は。むしろ本当に普通の常識と良識を持つ面倒くさがりなお人好しだ。淡白ではあるがどちらかと言えば良い人の部類に属するのだ。だからこそ名前は、他の人達には絶対に行なわない鬼畜外道な振る舞いをして毛嫌いしつつも、最終的にはピンクのもふもふした生き物の好きにさせてしまう

まあこの先そんな名前の存在に救われるのはクルー達だけではなくなっていき、そのせいで名前の疲労感は大気圏を突き抜けることもしばしばになるのだが今こんなにも頑張っている彼女にそれを教えるのは酷だろう



「このまま名前を抱きしめながら寝ちまおうか」

『臭いからムリ』

「同じボディソープ使ってんじゃねェか」

『ムリ。臭い。鳥臭い。オッサン臭い。加齢臭』

「名前チャンはイイ匂いだぜ」

『顔近づけんな目ぇ抉っていい?』

「勃ったらヤってい?」

『抉り取る』

「フッフ…イイ匂い」

『いやだから近づかないでって言ってんじゃんキモいからほんと。アンタも仰向けになれっての…てかまず服着ろ』

「着てんだろ」

『下だけね。上も着ろって言ってんの。よく裸で赤の他人に馴々しく触ってこれるね、神経繋がってる?』

「つれねェこと言うなよ。おれと名前チャンの仲だろ」

『足を絡めてくんな変態。早く服着ろ』

「おれは寝るとき上は何も着ねェんだよ。名前チャンも知ってんだろ」

『知らない決め付けないで』

「今夜でおれについて詳しくなったな」

『うっざ…!』

「フッフッフッ…なァなァ、これからこうして一緒に寝ようぜ」

『あたしに禿げ散らかれってかふざけんな』

「フフッ…名前柔らけェしイイ匂いで気持ちイイから決定だな。あー…ねみィな…」

『だからふざけんなってば。あたし鳥肌ひどくて目ぇ冴えてきたんですけど』

「オヤスミのちゅーでもするか」

『鳥インフルエンザになるからヤメロ』

「でこちゅーでどうだ」

『唇削ぎ取るぞ』

「フッフッフッフ…!」










ドフラミンゴは名前の頭に押し付けていた顔を上げて名前を見る。名前は眉間に皺を寄せ今にもキレそうな青筋を浮かべながらながら目を閉じている。ドフラミンゴは、彼女の明日の朝の寝起きは凄まじく悪いだろうと思った。その矛先は自分なのだろう、とも

だが今夜は特例で特別なのだ。明日のことなど考えていてはつまらない。こんな特典があるのなら、たまに、本当にたまになら自分の手の届かない場所へ逃がすのもいいかもしれない。だがまあそうだとしてもそれは暫く先の話しになるだろうが。ドフラミンゴはそこまで考えて頭を元の位置に戻した。これみよがしな溜め息が聞こえたがそれだけだった

「オヤスミ」

返事は無い。キスはしなかった

















なのにどうしてだろう、それも悪くはなかった



(…おはよう名前チャン)(…おはよう)(なァ、おれ顔腫れてねェ?)(さぁ?いつもそんなもんじゃないの)















ーーーーー

朝はヒロインにぶん殴られて目覚めた

ドフラミンゴがチャン付けだったり呼び捨てだったりは仕様です^^

ていうか、甘くなってしまって気持ちが悪いんだがどうしよう。番外のほうに持ってこうか悩んだ。ドフラの甘えたっぷりがこの上無くウザキモい。ヒロインは常にガチ



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