ドフラミンゴトリップ

□炎人間に出会う
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「おれはポートガス・D・エース、エースでいい。以後よろしく」

『…?はあ…。どうも…』

「おう」

『……』

「……」

『……』

「……」

『……』

「……」

『………え?…あの、なにか…?』



オレンジ色というド派手なテンガロンを手に取りニカリと笑って、訊いてもいない自己紹介をかましてくれたお隣さんに言えるのはとりあえず服着ましょうよってことだ















ひとりでゆっくりランチが出来ると浮き足立ってテキトーに入った食事処は時間帯的に混雑していて、カウンターしか空いてなかった。ひとりだし別にかまわないので案内してもらえば5つ席のカウンターの真ん中に、上裸・帽子・ハーフパンツ・ショートブーツというなんとも隣には座りずらい姿をした人が陣取っていた

背中にはこれ見よがしなタトゥー。うーん、雰囲気的には明らかに悪党…ていうか海賊だよね。まあそれは別にいい、周りの人達も気にしてないみたいだし。害が無いならいいさ。それよりも、上裸って。服を着ないって選択肢も用意されてるのかこの世界は。白熊でさえ服を着る世界で?なんで誰も気にしないの、そこは気にしよう。また新たにこの世界のトリビアが増えた。いらない

なんだかなーと小さく溜め息を溢してから上裸さんとひとつ席を空けて座り、ちらりと横目で見てみた……ら、目が合った。フラグか。フラグなのかこれは。上裸の人とのフラグってなに。こわい。しかもけっこう若い。若さゆえに滾ってしまった結果が上裸なの?こわい

変態はウチので充分間に合ってる(ていうか…ウチの、とか自分で言ってショック受けた)。波風立たないようにそろりと視線を外して息を詰めたら上裸さんも正面向いて食事を再開した。勘繰りすぎか…と安心した直後、ガシャン!と激しい音がした。もちろんお隣さんから。絶対見たくない。見たら終わりな気がする。食器落としただけだよね、手が滑っただけだよね。なんで無言を貫いてんの勘弁してよ。一気に静まり返った店内だったけど直ぐに至るところから声が上がる

なにが起こった。いきなり突っ伏したぞ。飯食ってただけじゃなかったのか。おいあの背中のタトゥー。白ひげだ。白ひげのマークだ。本物か。白ひげの海賊が死んだのか。毒か。殺しか。誰にやられた。おい隣に居る女は微動だにしてないぞ。隣で死人が出たっていうのに。まさかあの女が…。まさか…。でも確かに…

確かになんだよ!ちょ、まっ、えっ、死…!?ええぇぇえ…!?隣の女疑われてるー!?

なんの冗談ですか…。こわくて横見れなかっただけなのにまさかの犯罪者扱いって…。しかも皆してシロヒゲシロヒゲって…なに、この人有名な海賊なの?嘘でしょう、死んだとか嘘でしょう。しかも疑われてるとか嘘でしょう。どうしよう、あたしどうしたらいいの…ていうかほんとに死んじゃったの?まだちゃんと隣見れてないから確認できな…



「ブフォッ!!」

『!?(びくっ!!)』



ぎゃー!!生き返ったーー!?嘘だろー!?わー!

突如お隣さんから奇声が聞こえたかと思えば叫び狂う店内の人々。…え?えっ?ちょ、なに?イキカエッタ?誰が?うそうそ、マジで?どう考えてもお隣さんのことだよね?え、生きてんの?生き返ったってなに?単に死んでなかっただけじゃなく?甦る選択肢も存在してんの?嘘でしょう?

店内もパニックだけどあたしだってパニックだ。…や、でも生きてるらしいってことだけでかなりホッと出来たけど。あたしは人殺しじゃなかったってこともわかったし、(鳥と居る時と違うタイプで)精神的にツラいからもう帰ろうかな。この際ご飯とかどうでもいい。なるだけ気配を消して静かに静かに席を立とうとしたんだけど………うん感じる。ビッシビシ感じる。視線。……お隣さんからだ…



「…なァ」

『……』

「なァあんた」

『……』

「なァ」

『……』

「なァなァ」

『……』

「……」

『……』

「……」

『……』

「……」

『…………なんですか…』



負けたよもう!しつこい視線に負けて初めて隣を見る。居たのはそばかすとちょっとキツメの目元にやんちゃそうな笑みが印象的な男で、なんかわりと普通そうな人だった。じゃあなんで上裸なの。そんなことを思っていたら目が合ってしまった。そして冒頭の自己紹介が始まった。はっきり言って、で?って感じだ



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