ドフラミンゴトリップ
□煙の人再び
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※たしぎ視点
二日前、基地に戻る途中で補給のために立ち寄ったこの島で火拳のエースに遭遇したというスモーカーさんは今、火拳を取り逃がしたと言ってかなり機嫌が悪い。すでに島を出ているだろう火拳を追いたいものの、物資の調達が間に合っておらず断念せざるを得なかったからだ。機嫌悪いスモーカーさんこわい
こういう時は出来る限りスモーカーさんの近くに居たくないのが本音なのだけど巡回中なのでそうも言っていられない。他にも海賊が町をうろついているかもしれないと、私とスモーカーさんは只今巡回中なのだ
「賑やかな町ですね、資源も豊富みたいだし…確かに海賊船が立ち寄っていてもおかしくなさそうです」
「キョロキョロしすぎてはぐれんじゃねェぞ」
「そ、そんなことになりませんよ!」
「トロいんだよてめェは。世話焼かせやがったら承知しねェぞ」
「そんな、大丈夫です、っ!?」
『いたっ!?』
「たしぎィ!なにしてやがる!」
賑わう町並みを見渡しながらスモーカーさんと話をしていたせいですれ違う人とぶつかってしまった。私は倒れずにすんだが代わりに相手の方がバランスを崩して地面に膝を着けてしまう。間髪入れずに怒鳴るスモーカーさんこわい
「す、すいません!大丈夫ですか!?」
『は、はい…大丈夫です。こちらこそすいません、よそ見していて…』
「いいえ!よそ見していたのは私のほうです!大丈夫ですか!?立てますか!?あっ、まさかケガでもしてるんじゃ…!?」
『えっ!?い、いえいえ大丈夫ですケガなんてしてません!』
「でも念のため私に掴まって立ち上がってください!」
『ええっ!?いえいえいえ!一人で立てますので!』
「ですが…!」
「チッ…おいたしぎ、退け」
「『えっ』」
「おら、立てるか」
「『ええええっ…!?』」
倒れた女性と思わず声を揃えてしまう。なんと、私達のやり取りを(苛立ち気味に)傍観していたはずのスモーカーさんが女性を抱えて立ち上がらせたのだ。いや、スモーカーさんは強面で無愛想、海賊への容赦ない制裁故に誤解しかされないが実は子供や民間人の女性には優しいのだ
私は部下だし軍に属する人間なのでそんな態度微塵もとられたことはないし、そんな態度とられても恐怖しか湧かないのだけど(この女性も恐怖しているっぽいけど)、実は子供や女性に優しいのだこの人は。現に女性を抱えたときの所作はすごく柔らかかったし、立ち上がらせたときも少しずつ足に体重がかかるように慎重に立たせていた。……実は子供や女性に優しいんですスモーカーさんって。二度言ったくらいでは足りなさそうなので三度言いました
でもいくら私がスモーカーさんの真摯ぶりを訴えても所詮それは心の中だけでのことなので相手の女性には伝わらない。彼女は顔を真っ青にして萎縮してしまっている。さすがにこれはスモーカーさんが不憫かもしれない
『……。(こっ、この人…!この前の葉巻の人だ…!煙噴き出す人だ…!)』
「あ、あの…」
『あっ!?は、はいっ…(え、あたし逮捕されないよね?シチブカイって確か大丈夫なんだよね?あいつだけ例外とかなんとかで逮捕されないよね?)』
「足、痛みませんか…?」
『足……あっ、はい、大丈夫ですなんともありません』
「そうですか…よかった」
「とは言え念のため今日くれェはあまり動かさねェほうがいい」
『わ、わかりました…お気遣いありがとうございます…(煙の人イイ人!)』
女性は少し緊張がほぐれたようで小さく微笑んで応えた。スモーカーさんへの恐怖も薄れているみたいで安心する。心無しかスモーカーさんも多少雰囲気が柔らかくなった気がしないでもない。市民を守るべき存在である私がよもや市民にケガを負わせそうになるなんて(しかもスモーカーさんの機嫌が悪い時に)とんだ失態だと思うけれど、おかげでなんだか良い感じだ
では、と女性が私達におじぎをした直後。ふたつの声が重なった
「おいおい、名前チャンになんてことしてくれてんだ」
「スモーカー大佐!たしぎ曹長!伝令です!島の入り江に七武海のひとりであるドンキホーテ・ドフラミンゴの船を発見しました!」
頭を下げたままピシリと固まる女性。一瞬でこめかみに青筋をたてるスモーカーさん。またしても通行人にぶつかり舌打ちをされる私。そんな女性の腰に腕をまわすドンキホーテ・ドフラミンゴ。そんな私達の異様な光景と雰囲気に息を呑む伝令兵
怖すぎる一瞬の沈黙のあとに響いたのはドンキホーテ・ドフラミンゴの笑い声とスモーカーさんの怒号だった。やっぱり今日のスモーカーさんはいつも以上にこわかった
誰が悪いとかそんなんじゃないよ
(海軍様が市民をど突き倒すたァ良い話じゃねェか、フッフッフ)(ドンキホーテ・ドフラミンゴ!!なぜ此処にいやがる!!)
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たしぎ視点とか無茶した
スモーカーさんをこわがるたしぎ可愛い^^
地位は初期設定にしました
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