ドフラミンゴトリップ

□寛げないティータイム
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「テメェ…ドンキホーテ・ドフラミンゴのツレだったのか…」

『いや……あぁー…はい、まあ……』



般若のごとくあたしを睨み付ける煙さんにビビりながらも、あたしは内心でやっぱり鳥と居るとろくな目に合わないなと再認識してすごくイライラしていた

道端でのやり取りから一変して今は煙さんとメガネっ子さんが乗ってきたという海軍の船の中にあたし(とバカ鳥)は居る。言っておくけど連行された訳ではない。むしろ逆だ。鳥が図々しさを卍解したのだ。名前チャンにぶつかっといて平謝りだけで済むと思ってんのか。コイツはあろうことか、今にも鳥に噛みつかんばかりだった煙さんに向かってしゃあしゃあと言いやがった

その結果が海軍の船にて煙さんメガネっ子さんを前に、鳥と並んでお茶を頂いているという居心地悪さ無限大の空間だった。ほんとコイツ性格悪い。そこであたしの名前出すなよ。あたしが悪者みたいじゃん。あたしがお茶を要求したみたいじゃん。ていうかぶつかった場面見てたのか。見てて黙ってたのか。ならそのまま永遠に黙っててくれればよかったのに

それにしても煙さんは正義の見方なくせに悪人よりも悪人らしい風貌だ。近くで見れば見るほど悪い顔してる。ていうか葉巻2本吸いって…。クロコダイルさんも葉巻吸っててその姿はやたらスマートに見えたんだけどな。おかしいな、煙さんだとワイルドにしか見えない

そういえばエースはどうなったんだろう、ちゃんと逃げ切れたのかな。まあそんなことうっかり口走ってあたしまであらぬ疑いをかけられるのは御免だから何も訊くまい。それよりもいま重要なのはどのタイミングで此処から立ち去るかってことだ。なんだこの無言の四者面談。気まず過ぎてお茶の味なんてわかるわけない。というかちゃんとお茶を出してくれちゃうあたり、煙さんはやっぱりイイ人だと思う。ただここまで苦しい空気が漂うなら塩でも撒いてくれてたほうがよっぽど気が楽だったんじゃ…。それもこれも鳥のせいだ。鳥め…まったくコイツは余計なことしか言わない。帰ったら腹いせに膝の皿砕いてやろうか



「あっ、自己紹介がまだでしたね!私はたしぎって言いますよろしくお願いします!」

『えっ』

「たしぎィ!!」

『……』



どうした?なんでいま自己紹介した?うわあ…メガネっ子さんって天然なのかな…。このタイミングで自己紹介ってそりゃ煙さんも青筋立てて怒鳴るよ、今までの流れのどこにそんなほのぼのと挨拶出来る要素があったって言うの。でも名乗られたからには返さないと失礼だよねぇ



『名前ですよろしくお願いします』

「はい!よろしくおねが、」

「貴様らァ!!」

「フッフッフ…さすが、やるなァ名前チャン」



こうなりますよねー。けど悪気無しの挨拶をされちゃ返さないわけにもいかないっていうかなんていうか。…うん正直に言えば女の子の友達をゲット出来るかもしれないことに自分をコントロールしきれてないだけです

念願の女の子!しかも若い!これだけ聞くと変態くさいけど本当に切実だからね。たしぎちゃんかぁ…天然ドジっ子な雰囲気丸出しだけど煙さんの部下やってるんだもん、仕事はしっかりしてそうだ。常識持ってそうだしヤバい、かなり高レベルでイイ子っぽくないか?



『あの…いつまでこの島に居るんですか?』

「基地に戻る途中の補給地点として立ち寄っただけなので明日には出航します」

『え…明日ですか…』



そっかーそうだよね…。海賊と言う名のさすらいニートとは訳が違うよね…。きちんとお給料を貰ってるサラリーマン…いや、公務員?なんだもんね。仕方無いとは言えガッカリ感は否めない。はぁ…ガールズトークは見送りか



「なんだァ?名前チャンこいつらとまだお喋りしてェのか」

『…いや、こいつらっていうか…』

「ついてくか?」

『え?』

「あァ!?」

「こっから一番近ェ基地つったら青雉がよくサボりに使うとこだろ。暇潰しにゃまァまァかフフフッ」

「ついてきやがったら沈めるぞ…」

「おいおい、おれァ七武海だぜ?大将殿に挨拶しにいくのは当然じゃねェの」

「海賊はどこまでいこうが海賊だクズめ」

「フッフ!さすが問題児だぜ“白猟のスモーカー”!お口が悪ィな躾が必要か?」

「あいにく貴様ごときの言うことに従えるほど利口じゃねェもんでな」

「フッフッフッ!おもしれェ…!」



なんだって、ついてくついてかないの発言からここまで険悪な会話が膨らむかな。ていうか行くなんて一言も言ってないからねあたし。またあたしがきっかけみたいな流れとかマジふざけんな。勝手に話を広げて勝手に喧嘩しようとしてるだけなのになんとなく居たたまれないんですけど

これもう完璧帰るタイミング見失ってるね。マジで噛み付き合う5秒前だもんね。ほんっとうに人をムカつかせるのが得意でウザいなこの鳥は。神がかってるよね。はぁ、イライラする



「あの…名前さん…」

『…はい?なんですか?』



おずおずと遠慮がちにたしぎちゃんが声をかけてきた。彼女もまた被害者だと思う。あたしなんかにぶつかったばっかりにエライめに合ってる。もともと怒りっぽそうな煙さんが鳥のせいで怒り狂おうとしてるんだから。仕事とは言えこの場に居るのイヤだろうな、煙さんもとの顔がおっかないから怒ったら間違いなく尚こわいよ

これはもうタイミングだのなんだの言ってないで早急に鳥を回収して帰るべきかな。こんなこと思いたくないけど鳥はあたしの発言に従順だし……鳥肌立った…。くそう、帰ったら腹いせに弁慶砕いてやろうか。いっそ下半身砕けろ















『たしぎちゃん、あたし達そろそ、』

「名前さん、お茶のおかわりいかがですか」

『あっじゃあおねがいします…』



それら全てをものともしない最強のクラッシュの神様のお言葉には頷く他ありません




















美味しいお菓子もお持ちします



(たしぎィ!名前!テメェらいい加減にしやがれ!)((す、すいませんスモーカーさん!?))(…おい、てめェなに名前チャンの名前呼び捨てにしてやがる…)















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思わず呼び捨てるスモーカーさん

たしぎは基本的には常識人だけど直ぐにいろいろズレちゃう天然っ子ならいいのに



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