ドフラミンゴトリップ

□やっぱりひと悶着
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※クルー視点(ジェイくん)









「その熊、オスか」
『かっこいいでしょ』
「どこの島に降りたときだ」
『覚えてないけど最初のほう』
「聞いてねェな」
『言ってないね』
「熊からか」
『いや確かあたしから話しかけたはずだけど』
「アァ?」
『なに』
「…まさか他にも野郎が居たんじゃねェだろうな」
『(ベポと知り合ったときは)ベポだけ』
「フッフ…ベポ、か」
『てゆーかあたしに質問してるくせにベポのことガン見するのやめてくれない。怯えちゃってるじゃん』

名前さんがおれ達の傘下であるハートの海賊団のクルーとまさかの関わりが発覚し、ドフラミンゴさんの名前さんへの質問攻めが半端ない。しかも、ドフラミンゴさんは隣に座ってる名前さんは見ずに名前さんの正面に座ってる熊を凝視しながら。ちなみに席配置は四角テーブルの角に名前さん、その隣は安定のドフラミンゴさん、名前さんの向かいが熊、ドフラミンゴさんの向かいはロー、その他大勢、となっている。そしておれは名前さんとは反対のドフラミンゴさんの隣だ。じゃんけんで負けた。当然、椅子はドフラミンゴさんから出来るだけ離して座ってる。マジで巻き込まれたくねェ

巻き込まれたくない。ドフラミンゴさんの船に乗ってから数えきれねェほど思ったがしかし、名前さんが絡んでるときが断トツ一番だ。絶対に巻き込まれたくない。体力的にも精神力的にもツライ。抉り取られる。人間じゃないとは言え自分の預かり知らぬ場所で名前さんに野郎の知り合いが出来ていたのがよほど気に入らねェらしく、いつもの笑みがいつも以上に悪いかんじになっている。そりゃ熊もビビるわ。けどおれ的には、巻き込まれ体質&流されやすい名前さんがこれまでにひとりで島をうろついたのは何度かあるわけだから、熊以外に知り合いが居てもおかしくねェと思っている。何度も言うが巻き込まれたくねェから言うつもりはない。ローのヤツも同じ考えらしく、ドフラミンゴさんと名前さんのやり取りを面白いと言わんばかりの顔で見ているが会話に加わる気は無く傍観に撤するようだ。熊には可哀想だが賢明な判断だ

『ベポ、気にしないでいいから。ご飯食べなよ、此処のご飯美味しいよ』
「…う、うん……」
『何が好き?お肉?あ、これ美味しいよ』
「あ、ありがとう…」

熊に会えたのがよほど嬉しいのか名前さんは笑顔で熊の為に飯をよそっている。熊から視線を外しその手付きをじっとりと凝視するドフラミンゴさんは完全スルーだ。口の中に叩き込まれたことはあっても(それを“あーん”と言い張るドフラミンゴさん)よそわれたことないもんなドフラミンゴさん…。にしても、自分で言うのもなんだがおれ達の船のクルーは全員派手な身なりをしている。加えてローのクルー達だって白とは言え(一匹オレンジだが)全員が同じ格好だとなかなか派手に見える。しかし、これだけカラフルな格好の奴らが集まると逆に、本来なら一番地味な色のはずの黒を纏う名前さんがやたらと目立つ。ドフラミンゴさんの派手さに反発するかのごとく普段からダークトーンの色しか着ない名前さんは気づいていないのだ、ドフラミンゴさんやおれ達と生活するなら同じく派手でいたほうがカモフラ効果が生まれることに。ひとりで出歩くならいまの名前さんの格好でなんら問題ないが、おれ達と連れ立って歩いてるときの名前さんは明らかに浮いてしまってる

それがいま現在、明確に浮き出ていて、もしここに他の客が居たなら悪目立ちしていたことだろう。そしてきっと、賞金稼ぎなんかに狙われて攫われかけてそれを助けたドフラミンゴさんの過保護&独占欲の餌食になるんだろうな。...ものすごくリアルに想像出来る...なんか名前さんてわりと不運体質なんじゃねェかとおれは少し思っている

『ローくんはいつまでこの島に居るの?』
「(ローくん...)......ログが溜まるまでだな」
『この島のログってどれくらいで溜まるの?』
「そうだな、2日ってところか」
『2日...溜まったらすぐに出航?』
「あァ、この島に用事は無ェからな」
『そう...じゃあベポとは2日しか一緒に居られないね』
「うん...でも、そのぶんいっぱい遊ぼうよ!」
『そうだね、』
「今夜出る」
「えっ」
『......は?』

...きた。名前さんとロー(ローくんて名前さんアンタ流石です)の会話に割り込んだドフラミンゴさん、の、発言によって名前さんの声音が変わる。そしてドフラミンゴさんの発言と名前さんの態度を見ておれ達(ドフラミンゴクルーズ)の空気と変わる。ローくん(笑)達は場の様子が変わったことには気づいたものの、訳がわからないと言ったところか。それもそうだ、きっとこの感覚はドフラミンゴさんと名前さん二人を日々見つめ続けてきた者にしかわからない。しかもおれの経験からすると今回のはけっこうヤバい。マズいことになってきちまったな、とおれはドフラミンゴさんとは反対隣、つまり仲間のほうを横目で見た......ら、奴らもうすでにテーブルを離れ我関せずを貫いてやがる。まるで初めから別々で食事していたかのごとく。おいふざけんなこっち見ろ

『...なに言ってるの?今朝はログ溜まるまで居るって話だったでしょ』
「気が変わった、今夜出る」
『...あたしベポともっと居たいんだけど』
「ダメだ」
『...なにそれ意味わかんない。てゆーか、なに急に今夜とか言って。そもそもログ溜まってないし無理じゃん』
「エターナルポースでテキトーに次の島に向かえばいいだろうが」
『テキトーでいいならこの島でログ溜まるまで待つのも同じことでしょ』
「同じじゃねェ」
『同じ』
「ちげェ。ダメだ」
『......』
「今夜だ。食ったらすぐ出る」
『......』

名前さん顔、顔。熊も心無しか顔色?毛色?が蒼くなってます

...いやー、これはアレだ、名前さん以外の全員が理解してる。嫉妬、これただの嫉妬。もうドフラミンゴさん、名前さんの事となるとわかりやす過ぎ。むしろあからさま過ぎて可愛いレベル。でもなァ、これってマジ参ったことに肝心の名前さんが気付いてないんだよなァ。いや、気付いていないというよりは気付く気が無いと言ったほうがただしいのか。名前さんからしたら、ドフラミンゴさんが怒ろうが喜ぼうがどうでもいいのだろう。どちらにせよ何らかの形で名前さんはドフラミンゴさんの被害を受ける結果になるのだから。.........。ほんとついてないな名前さんって...。でもまァ、いつものように今回も最終的には名前さんが折れて終わるんだろ、

『じゃあもういい、あんた先行ってて。あたししばらくローくんの船におせわになるから』

.........、...............、......


「ハアアァァアァ!!?」

絶叫。大絶叫。ドフラミンゴさんと名前さん以外の全員が大絶叫
「いや!いやいやいや!!名前さん何言ってンだ!?」
これには思わずおれも口が出る。名前さんマジで言ってんスか。ローの船行く?いやいやいや、何言ってんスか
『なんか問題ある?』
「問題しか無いッス!!ウチの船、降りるってことか!?」
『降りるってなんか仰々しい...でもまあそうゆうことになるのかな...?』
「なっ...!?」
『や、まあでも一時的にだし...多分』
「多分て!...いや、そもそもソレ名前さんひとりで決めてるけどローの許可もなんも無ェよな?周り見ねェで行動するなんて名前さんらしく無いですよ」
『う...』
「ロー達にはロー達の事情もあるだろうし、ウチのいざこざに巻き込むのもどうなんスかね」
『......それは......うん...』

胸痛ェー...!なんかすんげェ胸痛ェー!名前さん一気にしょんぼりしたー!名前さんの性格うまく突いておれスゲェ悪者みてェ...。いやまあ実際お尋ね者なんですけどね。けど背に腹は代えられ無いっつーか、ドフラミンゴさんの不機嫌と名前さんの不機嫌を天秤に架けたら一発っつーか。...とにかく、申し訳ねェが名前さんの希望は叶えてやれねェ...、

「おれ達はかまわねェ」
『えっ!』

...は?

「アンタが飽きるまでおれの船に居りぁいい」
『...ほんとにいいのかな...』
「アァ。断る理由が無ェ」
『...!...あ、ありがとう...』
「...かまわねェ」
おい。おいおいおい。なんか空気おかしくね?名前さん、はにかんじゃってんじゃん。ローも満更でもねェ顔しるし。つーか、は?ローくん何言っちゃってんだテメェ何死ぬの?空気読めや
「...おい、ローくんよ、何言っちゃってんだテメェ。名前さん連れて航海とか正気か?」
「...おれは至って正気だ。あとローくんヤメロ」
「名前さんは戦闘出来ねェんだぞ」
「ほお、そうか」
「かすり傷ひとつ付けてみやがれ、沈めるぞ」
「...アンタがそこまでムキになるのは珍しいな」
「そんなこたァいま関係無ェだろ」

つーか、ムキになってるのおれらクルー全員だから。ムキっつーか必死だから。この流れでドフラミンゴさんから名前さん離すとかただの死にたがりだから。くそ、ローのニヤついた顔が気に入らねェ。楽しんでやがるなコイツ
「ドフラミンゴが随分と入れ込んでるみてェだからな...粗相はしねェさ、多分な...。...お前ら、出るぞ。アンタもな」
『え、あ、う、うん...』
立ち上がるローにつられてローのクルーと名前さんも立つ。おれ達を気にしながらも名前さんは行く気だ。よほど熊と居たいらしい。今まで名前さんがおれらより何かを優先することがあっただろうか。そう考えたら、おれ達は名前さんをこれ以上止められなかった

『ごめん、ベポともう少しゆっくり話したくて...。早めに帰るようにするから...』
そう言った名前さんの顔がたまらなく嬉しそうだから、おれ達はこれ以上止められなかった




















さよならは唐突に


(...って、お頭!イイんスか!?名前さん行っちゃいますよ)(...お頭?)(ドフラミンゴさんどうし、...!)(ジェイ、どうした?)(ドフラミンゴさん...息してねェ...)(!?)










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家出\(^ω^)/


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