ドフラミンゴトリップ

□具合悪いからほっといて
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※クルー視点(ジェイくん)





みなさんこんにちは。ドンキホーテ・ドフラミンゴの船に乗ってます、ジェイです

ドフラミンゴさんが放心状態から回復しないので、代わりにおれともう一人のクルーと共にローの船まで来てみたら名前さんが死にかけていた。ローの話だと風邪をひいたらしいのだが、おれ自身風邪なんてガキの頃にひいたきりだしクルーの誰かが風邪ひいたところも見たことがない。なので名前さんが顔色悪くして寝ている姿を見てそりゃもう驚いた。外傷が無いのにこんなに弱るなんて…風邪ってヤベェな…。死ぬほどのものではないらしいが心配なことに変わりはない。だが良かった、一緒に連れてきたのが船医で

「…おいロー、名前さんこんな寒そうにしてるのに布団はこれだけか。湯たんぽどうした湯たんぽ」
「本人が必要無えって言ってんだ」
「…ハ?…いやお前さ、じゃあその言葉鵜呑みにして名前さんが本当はスゲェ寒がってたらどうすんの?他所の船来て遠慮してるだけかもしれねェとかってなんで思いつかないの?むしろ名前さんなら間違いなく気ィ遣うでしょそれで悪化したってなったらロー責任取れんの?なァおいどうなんだ?」
「スマン」

こえー。淡々とローを責めるコイツこえー。いやお前普段もっとチャラついた喋り方だったよな?そりゃ思わずローも謝るわ。謝ってすぐにローは湯たんぽを用意する為か部屋を出て行った。可哀想にな。だが気を取り直して名前さんの様子をうかがい見れば、あろうことかこのバカは眠ってる名前さんを起こそうとしてやがる

「名前さん名前さん、具合どうスか?」
「ざけんなテメェ何起こそうとしてやがる、寝かしとけよ」
「いやでも着替えとかしなきゃじゃん」
「そりゃそうだが何も起こしてまで、」
『……ぅ…、あ、れ……』
「あっ名前さん起きたんスか」
「起こしたんだろうがバカヤロウ」
『…ガルちゃん……ジェイくんも。…もしかしてわざわざ迎えに来てくれたの…?』
「ッス!」

笑顔でサムズアップする我が船の船医ことガルに少し頭が痛んだ。目が覚めた名前さんはいつもと違ってとても弱々しく、目も虚ろで喋るのも怠そうだ。そもそも、寝起きの悪い彼女が起き抜けにおれ達を認識して会話する事がおかしい。まさかドフラミンゴさんにするように殴ってきたりはしないが、おれ達相手だとしても寝起きの名前さんはしばらく無言の睨みを利かして時々舌打ちまでする。頭が冴えてきたら必ず心底申し訳なさそうに謝ってくれるが、アレはなかなか心抉られるものがあるのでおれは極力名前さんを起こす役回りは避けている

が、この男は違う。名前さんが寝ている姿なんてあまり見られないからと言って(基本的には自室以外で寝ないので)まじまじと眺めたあと(ドフラミンゴさんが居ない時に限り)わざわざ起こしたがるのだ(ドフラミンゴさんの特権を自分も行使出来るのが快感らしい)。さすがドフラミンゴさんの船のクルーだ、頭おかしい。ちなみにおれは古株だが、ドフラミンゴさんを反面教師として至極マトモな人間に出来上がっているはずなので除外される。きっといつかドフラミンゴさん以外で寝起きの名前さんに殴られるのはガルだろう。名前さんへの懐き方にそこはかとなくドフラミンゴさん基質を感じる。それはそうと、確かにおれ達は名前さんを迎えに来たが、こんな状態の名前さんを冬の夜の外に連れ出すのは頂けない

「名前さん、熱が高いみてェだから少し落ち着くまではこの船で休んでたほうがいい」
「えっなんで!」
「なんだようるせェな、当然だろうが。ンな弱ってる名前さんを外に連れ出せねェだろうが。船まで距離あんだぞ」
「いやでもあったかくすれば…!おれが責任持っておんぶするし!」
「休める場所があんのに無理していま連れ出す必要ねェだろ」
「ある!おれが看病したい!」
「ドフラミンゴさんみてェなこと言うなバカ」
「いやだ!おれが面倒みる!おれが!!おれが診る!!」
「うるせェ!病人の前で騒ぐんじゃねェ!医者だろテメェ!…チッ!…名前さん、聞いてましたか?ガルがこう言ってるけど」
「名前さん!おれ特製風邪薬飲めばすぐ治るから心配しないで!」
『…あ、うん……え、ガルちゃんが薬を手作りするってこと…?それをあたしが飲むかんじ…?』
「ッス!」
『そう…』

ウチの船内イチ爽やかな笑顔が炸裂したが名前さんの不安そうな表情がやばい。ガル印信頼性無さ過ぎ。名前さんは普段そうそうガルの世話にはならないし、なったとしても頭痛薬や胃薬を少しもらう程度で、この男のきちんとした働きっぷりを見たことがない。実際、腕は良いので調合した薬の効きも良いのだが、童顔で浮ついたテンションのコイツの実力をよく理解しないままに素直に手当てを受けるのがこわい気持ちはわかる。おれも出来るなら極力コイツに命は預けたくない。男に対しては雑だし。名前さんは、断りたいようなでも無下にも出来ないような微妙な顔でおれに助けを求める視線を送ったきた。ホントこの人苦労してんな。おれはその苦労から少しでも開放してやりたいし、何よりもいま現在病人であるのだからやはり此処はガルの意見を却下する。駄々こねまくってるが知らん。ガルがひとりで騒ぐ中ローが湯たんぽ持って戻ってきた。…お前4つもどうする気だ

「名前、湯たんぽだ」
「よしよくやった!」
「こんだけありゃ文句無ェだろ」
「名前さんよかったスね!これでぽかぽかッスよ!」
『……せまい』
コイツらほんとに医者か?抵抗出来ない患者に自由し過ぎだろ。名前さんはもう目を開ける気力も無いのか目を閉じたまま小さい声で抗議したが、虚しく流された。不憫でたまらないのでとにかくある程度体調が回復するまでこの船で診てほしいとローに伝え、いまだうるさいガルは殴って黙らす。ガルには帰ってドフラミンゴさんを診てもらわないとならない。生きてりゃいいが。全員が納得したところでひとまず部屋を出て名前さんにゆっくりしてもらおう

「よし、じゃあとりあえず部屋出るぞ。名前さんにはゆっくり寝てもらいてェ」
「ちぇー…お頭なんて名前さん居りゃあたいがい元気なのによー」
「…その名前さんが参っちまってるだろうが」
「うっ…そうだった!名前さん、風邪薬作ったら持って来ますね」
「ならさっさと帰るぞ。……おいロー、お前も名前さんのジャマだ、出るぞ」
「………いや、おれは残る」
「アァ?駄々こねる男はこれ以上要らねェんだよいい加減ぶっ飛ばすぞ」
「すでにガルをぶっ飛ばしたじゃねェか…いやそうじゃねェ。これは名前の問題だ」
「ハァ?」
「風邪を引いたらひとりじゃ要られなくなると昔読んだ本に書いてあった」
「あ!おれもそれ読んだことある!誰かの側に居たくなるんだぜ!」
「テメェらそれ絶対にドフラミンゴさんには言うなよ」
風邪と言う病気の新たな症状を聞き、真っ先に浮かんだのは嬉々としたドフラミンゴさんの様子だ。そんな情報が漏れたらあの人名前さんを離さなくなるだろ
「…まァ、それならローは残って…オイなにしてる」
「手を握るとも書いてあった」

ぐったりしてる名前さんの手をおもむろに握るロー。…風邪ってのは本当にこんな症状が出るのか?ローは至極マジメな顔してて嘘ついてるようには見えないが…こんなもんおれ達が風邪引いたときどうすんだ気持ちワリィな。恐ろしい病気だな…。と呟いたおれの声に反応して、名前さんが薄っすら目を開けて言った
『…ごめんソレほぼ迷信だから一度みんな出てってくれるかな…』
それっきり目を閉じた名前さんは次の日の昼まで目を覚まさず、話を聞きつけてやって来てしまったドフラミンゴさんがローにヤツ当たりしたのは言うまでもない





















この手を離さない



(迷信かどうかは試してみねェとわからねェ。おいベポ、おれは便所に行くからその間名前の手を握ってろ)(アイアイ)















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ローは天然

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