ドフラミンゴトリップ

□ミホークに紹介される
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「名前、あの船がわかるか」
『…?遠すぎて粒にしか見えません』
「とある海賊の船だ」
『…知り合い?』
「そうだ。行くぞ」
『は…?』
「鷹の目なにしてやがる…!?名前チャンに触るんじゃねェ…!」
『やっちょっ?えぇっ!?』
甲板で談笑していたら突然担がれて小舟に拉致された

『て言うかなにこの舟なんでこんなスピード出るの!?』
「わからん」
『!?』
返しが雑過ぎるだろ。いやまあ、理由はおそらくギャグだからだ。ミホークの小舟に乗せられ、とある海賊の船とやらに向かってぐんぐん進んで行く。あまりに急すぎてあたしにくっ付いてたあの男ですら反応出来ないでミホークのされるがままだった。ミホークがしきりに剣を振り回してるところを見るに、あいつがイトで攻撃してきてるんだと思う。空は雲ひとつ無い快晴だ。ミホークてめェ!とか、誘拐だ!とか船から叫び声がすごい。そうだね、これは紛うことなき誘拐だよね
『もしかしてあの船まで行くの?』
「うむ」
『ちなみに知り合いってどの程度?』
「殺し合う仲だ」
『冗談きついんだけど』
コミュ障拗らせ過ぎだろ何考えてんの。そして殺し合う仲の相手の船にあたしを引き連れて行こうって?そりゃウチの船の人達も叫ぶわ。この人はあたしが無力だってことをわかっていないのか
『ね、ねえ、あたし戦うとかムリだよ?なんにも出来ないから連れてかれても困る』
「そうか、ならば守ろう」
こんなに信用ならない“守ろう”もそうそう無い。ミホークって自分が何かに夢中になってると周りが見えなくなるタイプっぽくない?戦い終わったあとに「む?なぜ死んでる?」とか普通に言いそう。はっきり言って、ピンクのコートにサングラスのあのチャラついた男以上にあたしの安全を保証してくれると思えない。そこに関してはミホーク信用無いよ?

「だが、今回は争う気は無い」
『えっ!そうなの…?』
「顔を見せに行くだけだ」
『…殺し合う仲の相手に?』
「酒を飲んで終わることもある」
『それを先に言ってよ』
「言い忘れていた」
『嘘つけ言う気無かっただろ』
なんだよその小さな抵抗
『でもそうか、じゃあ危なくないってこと?』
「案ずるな。我が友を紹介しに行くだけだ」
『…殺し合う仲の相手に?』
これあたし、ミホークの友達って理由で殺される展開に発展する?巻き込まないでくれと今更なことを思ってるうちにあっという間に船が近くに見えてきた。大きくて立派な船で、やばそう。ミホークまじふざけんな






「よォ鷹の目!久しぶりだな!つーかその女は誰だ…ハッ!?も、もしかして、お前まさか…!?」
「我が友だ。名前は名前」
「だーっはっはっはっ!!友だちかよ!!ビックリさせんなよ!結婚でもしたかと思ったじゃねェか!イヤ無いか!無いよなお前変なやつだもんな!はっはっはっ!でも友だち居たのにも驚くぜ!」
『……』
うわあ…

目の前に居る隻腕が特徴的な赤い髪の男の人は船に乗り込んできたミホークに明るく話しかけ、あたしの姿を見て絶句した。指を震わせながらけミホークとあたしを交互に指差して、ミホークの言葉を聞いた途端にバカ笑いした。わからなくもないけど、いくらミホーク相手とは言えだいぶ失礼だろ。このテンション高い人が殺し合う仲なの…?本当に?
「名前と言ったな、おれはシャンクスだ。よろしくな!」
『あ、はい…。よろしくお願いします…』
ミホークとは真逆の、コミュ力限界突破!みたいな人だな。こんな人がよくミホークと仲良く(?)してるな。逆にこういうタイプの人だから成立してるのかな
「おい貴様、我が友に茶の1杯もないのか」
『やめて、ほんとうにやめて』
そうやってあたしを悪者に押し上げてお茶を催促する手口、すでに経験済みだからね?やめてくれ
「おおそうだな!茶と言わず酒にしようぜ!鷹の目の友人を紹介してもらったんだ、宴にしよう!」
『あたしはお茶が飲みたいのでお茶ください』
「名前が茶を飲むならおれも同じものにしよう」
ノリ悪ィ!とブーたれるシャンクスさんをミホークはまったく気にせず他のクルーのもとへあたしを引っ張り回す

「我が友、名前だ」
「お、おう…。おれはベン・ベックマンだ」
『…名前です、どうも』
「我が友、名前だ」
「…ヤソップだ」
『……名前です』
いちいち“我が友”居る?名字かなにかなの?ドヤ顔されてみんな反応に困ってるんだけど
「おいそこの、この女は我が友、」
『もういいよミホーク、わかったから。そうだよあたしはミホークの友だちの名前だよ。みんなもう分かってくれてるから、もういいよ』
「そうか」
この人なんで誇らしげなの?

「…ところで名前とやら。お前と鷹の目がドンキホーテ・ドフラミンゴの船から来たように見えたんだが」
ベン・ベックマンと名乗った人が訊ねる。ああそうだ。この人たちも海賊で、コッチも海賊。しかもおそらく絶対にコチラサイドが嫌われ者。そう言えば今まで一度も自分からあの船乗ってると告げたことはないんだけど、やっぱり乗船してるだけでもヤバいかな。とは言え誤魔化しが効くとも思えず素直に返事する
『そうですね、あの船でお世話になってます』
「それは…お前もドンキホーテファミリーってことで良いんだな?」
「うむ、名前はドフラミンゴの女だ」
『ミホークあんた絶交ね』
「!?」
ファミリーってなんだ?と一瞬反応に困った隙にミホークがとんでもない爆弾を落とした。いや待って、あなたあたしのことそう思ってたの?ひどくない?信じてたのに。無表情で絶交だと言い放つとミホークは目を見開いて固まった
「……ぜ、絶交…?」
『……まあ、』
今日一日…いや、三時間くらいは。うそやろ?とでも言い出しそうなミホークから顔を背けて、小さく呟く。ミホークは表情筋が死んでるくせに感情表現豊かで困る。なんでだ。そんなに愕然とされたら強気に出られないからやめてほしい。ベン・ベックマンさんもミホークの雰囲気を察してか、これ以上とくに何も言ってこなかった。しかし、コミュ力の高い弄り屋は違ったようだ


「だはーっはっはっはっ!鷹の目ェ!絶交だとよ!はははは!残念だったなァ!おうおう!慰めてやるから宴しようぜ!わはははは!」
引き笑いして涙を流しながらミホークの肩をばっしんばっしん叩くシャンクスさんに、ミホークが剣を振り回して追いかけるのは仕方ないことと言えよう
「あー…、その、船が全壊する前に止めてくれねェか?」
『ミホークがすいません』
「いや、コレはウチの頭が悪い」
ミホークとあたしの絶交は10分経たずに解消された。久しぶりに頭おかしい人に出会ったなと思いました。海賊ってやっぱりこわいんだな。気をつけよう



























破滅をうたう唇



(フフフフ…!鷹の目 貴様、覚悟は出来てるな…!?)(貴様のせいで絶交されかけた、死ね)(此処でケンカしたらしばらく口聞かないからそこら辺よく考えて行動してね)


























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シャンクスはインスタのフォロワー何万人も居るタイプ

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