ドフラミンゴトリップ

□不死鳥は苦労人
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※マルコ視点



『言っておくけどその手を動かしたら前回よりも長い間 口をきかない』
「………」
こちらへ向けて手をかざしていたドフラミンゴが無言のまま手を下ろした。名前がこの男の女って言うのは事実らしい

「名前チャン…なにがあったか話せ」
『転んで怪我したのを助けてもらって、船まで送ってもらう途中であんたに会った。以上』
「ラークは」
『荷物抱えてあとから来る』
「あいつが居て怪我したのか」
『あたしがあちこち勝手に見てまわっててはぐれたの』
「歩けねェほどか」
『この足が目に入らない?』
「痛ェのか」
『痛くないように見えるならあんたの頭はやっぱりおかしい』
名前の足をちらりと見たらさっきよりも内出血の範囲が広がって腫れもひどい。ただ挫いただけじゃなくて骨にヒビが入ってるかもしれない。それにしてもドフラミンゴの野郎いつまで殺気出してるつもりだ。名前がピリピリしてるのは殺気に煽られてるからか
「とにかく早く名前を船医にみせてやれ」
「気安く名前を呼ぶな殺す」
『手!!!!』
「……」
「……」
上げかけた手をサッと下ろすドフラミンゴと、炎を創りはじめた片手をバレないように戻すおれ。悲しいかな女が恐ェのは自分の船で充分過ぎるほど理解してる
「…名前チャンを渡せ」
「わかってるよい」
手を下ろしたままこちらへ近づいてくるドフラミンゴに合わせて名前をゆっくりと降ろして片足で立つ彼女を支える。殺気が増したが無視した。これ以上のことはもう何もしないだろうことはハッキリしてる

「さっさと離れろ」
「ハイハイ」
名前の肩に置かれたおれの手を睨みながら言われて呆れながら一歩下がると、ドフラミンゴはゆっくりと名前を抱き上げた。あまりにも丁寧な動作はまったく予想していなかったので驚いたが顔には出さず黙っておく。だが、縦抱きにされた名前がこいつに身体を預けてホッと力を抜いたのには眉がぴくりと動いた。なぜかドフラミンゴまでおれと同じ仕草をしたのは謎だが
『マルコさんありがとうございました。助かりました』
「もとはおれの不注意だ。骨に以上が無ェといいんだが」
「おいどういうことだ」
『黙って。もうこのやり取りはしたくない』
「……」
『それであのマルコさん、あの二人が来たら船まで連れてきてもらえますか?』
「あァいいぜ、早く戻ってろ」
『ありがとうございます、お願いします。…じゃあ先に行こう』
「あァ。……そんなに痛ェのか」
『触ったら二度と口きかないから』
「すぐ着く」
『ん』
寸前までのやり取りがウソのようにおれには目もくれず立ち去る様子につい呟いた
「あの男ってあんな人間だったのか…?」
もっと頭がおかしいと思ってた




「マルコ!なんで置いてくんだよ!」
「おい名前さんどこ行った!?」
「アー…これをおれひとりで捌くのかよい」
名前達が去ってから少しして代わりの二人組が来た。ぎゃいぎゃい騒いでるが荷物は汚さず持って来てるようだ。しかしめんどくせェな
「名前はドフラミンゴが連れて先に戻った。おれはお前らを待ってたんだ」
「エッ若が!?…ど、どんな様子だった…?」
青ざめるラークの野郎を見るに、名前の可愛がられ方は相当なのだろう。まァあれを見りゃそうだろうな
「名前は足の痛みをだいぶ我慢してたみてェでな。心配そうにしてたぞ」
「アー…そうか。名前さんそんなに悪ィのか…」
「きちんと治療すりゃ治るだろうがな、しばらくは歩けねェだろう」
「そこは問題ねェよ、普段は名前さんはだいたいドフラミンゴに抱えられてるし」
「ハァ?」
「ほぼ四六時中一緒に居るんだよあの人達」
「マジかよ!?名前ってそんなふうに見えねェけどな」
「名前さんはな」
エースとラークの会話聞いてさらに納得した。一方的かどうかまではわからねェが、比重は確実にドフラミンゴのほうが重いようだ
「で、その名前がお前ら連れて船に来いって言ってたぞ」
「お前らも来るのかよ」
「荷物があるからな」
「…名前さん背負った不死鳥が生き延びてるなら大丈夫か」
「嫉妬深い男は嫌われるってボスに言っとけよい」
「知るか。加減はしてるだろ」
「あれでか」
「あれでだ」
「名前はよく付き合ってられるな」
「あの人メシアだから」
「なに言ってんだこいつ」
ドヤ顔のラークをエースが白い目で見た。名前とドフラミンゴの関係性ってどうなってんだ

「ご苦労さん。名前さんがまさか白ひげのクルーと知り合ってたとはな。あの人の交友関係って実はスゲェな」
「お前…ジェイか」
「火拳の荷物はおれが預かる。…それにしても名前さん随分買ったなァ」
ドフラミンゴの船まで来たらひとりのクルーに出迎えられた
「ジェイ、名前さんは」
「よォラーク。手当て中だ。骨にヒビ入ってるとよ」
「マジかよ…」
「ぐったりした名前さんが焦ったドフラミンゴさんに抱えられて戻ってきたからまた風邪引いたのかと思ったぜ」
「そんなに調子悪ィのか?」
「足だけじゃなく頭も痛いっつってな。顔色悪かった」
「おれ様子見てくるわ」
「ガルに気をつけろよ」
「お、おう」
「名前 本当に体弱いんだな…」
ジェイに荷物を奪われ手の空いたエースが腕を組んで呟く。そう言えばこいつは名前と顔見知りだったな。一体いつの間に
「エースはいつ名前と知り合ったんだよい」
「おれ?ずっと前に寄ったメシ屋でな。スモーカーに見つかっちまってあんま喋れなかったけど」
「スモーカー…?そういやいつだったか白猟のスモーカーとドフラミンゴさん達が会ってたな。あんときか」
「たしか海賊じゃねェって言ってたはずなんだけどなァ」
「あァ…、たしかにな。あの人ウチの船に乗ってはいるが戦闘員でもなんでもねェんだわ」
「あくまでドフラミンゴの女ってわけか」
「おんなァ?いやァ?どうだろうな?ドフラミンゴさんの大のお気に入りではあるがな」
「あれで違うってのは無理あるだろ」
「そうか?今は弱ってるからアレだが名前さん普段はドフラミンゴさんに超絶ドライだぜ」
「なんだそれ…」
「それなのに一緒に居るのか?」
「名前さんはブリーダーだから」
「なに言ってんだこいつ」
お前らの認識はどうなってんだ

「お前らはいつまでこの島に居るんだ?」
「着いたばっかだからな…けど七武海が居る島にいつまでも停泊してられねェよい」
「そうか?世話になっちまったし白ひげに手は出さねェぞ?」
「信じろってか」
「名前さんがお前らと喧嘩するなって言うからな」
「…入れ込んでるな」
「まァな。だからあの人に近付くなら気をつけろよ、特に火拳」
「ン?おれ?」
「お前からはローと同じ臭いが出てる」
「ハ?臭い?ロー?なんだそりゃ?」
「自覚が無いなら今はそれでいい。不死鳥、わかったな」
「……聞くだけ聞いたよい」
「じゃあおれらはまだ何日かこの島に滞在するから、要があるならまた来てくれ」
「えっ待てよ、名前に会えねェのか」
「治療中だし、終わっても今日明日は間違いなく安静にしてろって船医に言われるだろうな」
「それなら仕方ねェな。エース、行くぞ」
「エェ〜…?せっかく会えたのにまた少ししか話せなかった…」
「…不死鳥」
「エース、ウチの船がまだ滞在するってんなら明後日にでも会いにくりゃいいだろ」
「!それもそうか!ならオヤジに言わねェとな!帰るぞマルコ!」
肩を落としてたかと思えば顔を明るくさせ、エースは燃えながら走り去って行った
「……。…無自覚でも近づけたくねェ野郎だな」
「…その辺りまでは管轄外だよい」
「とっとと出航しろよ…」
ジェイの大きな溜め息を聞きながら、ウチのクルー達が末っ子の話に余計な茶々を入れねェか考えて憂鬱になった

溜め息吐きたいのはおれのほうだよい
































ハリケーン注意報



(ラークてめェ!名前さんとドフラミンゴさんが許してもおれは許さねェぞ!)(悪かったって!ギャア!?殺す気かよ!?お前医者だろ!)(うるせェ!頑丈な人間が医者を語るな!)


























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船医はみんなチョッパーみたいに責任感強かったらいいのに

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