ドフラミンゴトリップ

□お疲れさまな夢主
1ページ/1ページ


『……あたまがおかしくなりそう…』

甲板にて。渾身の嘆きは見事に聞こえないフリをされたようで、誰にも拾ってもらえない。名前は目の前を忙しそうに動き回る(フリをしている)クルー達を恨めしげに睨んだが、誰一人 名前へ視線を向けなかった

不死鳥マルコとの出会い、エースとの再会は名前をとても楽しませたがその代償は大きく、足の怪我とドフラミンゴの束縛の悪化という ろくでもない結果を残した。ぶっちゃけ、あの二人との出会いにそこまで捨て身になれと事前に聞かされていたら断っていたレベルである。と言うかこれまでを振り返っても、誰か良い人と知り合うたびになぜいちいち身を削っているのか納得いかない。もはや裏でドフラミンゴが手を回してると言われたほうが腑に落ちるくらいだ。おかしい
『……つらい…』
顔をしかめ 目を閉じてしみじみ呟いた

「名前チャン見てみろ、虹色の海王類だ。ありゃ美味いぞ」
これ以上ないくらい心を込めた嘆きも無視され苦悩の元凶が楽しそうに声をかけてくる。 そこも腹立つがそれよりも、2秒ほど目を閉じてる隙に何が起こった?どうして船より大きい虹色の生き物が船のすぐ横でジャンプしてる?しかも美味しいってなに?食べるの?魚じゃなくもはや怪物なのだが?
『え もう全然わからない』
いい加減この海には慣れたけども。けどもさ。精神的に追い詰められてる今、船を呑み込もうとして大口開いた謎の生物とソレに嬉々として立ち向かうクルー達はキツい。カラフルな出で立ちの野郎どもが虹色の生き物とバトルするのを見るのはなかなかキツい。見てるだけで疲れる
「どうした名前?足に響くか?」

そうじゃねえわ。焦り気味に気遣ってくるドフラミンゴに名前は無言で首を横に振って答えた。そもそもドフラミンゴにがっちりホールドされてるのだ、船が揺れようと関係ない。こんな気遣いが出来るのなら名前の心情をもう少しおもんばかれよ、と思うがこの男は自分の好きな部分だけ切り取って優しくしてくる 人でなしだった
『…』
名前は半目になって、バトル中なのに妙に楽しそうにきゃいきゃいしてるクルー達と、怪我した足首を執拗に撫でさすってくるドフラミンゴを交互に見た
『いまさらすぎるけど此処は様子がおかしい』
この世界に来てすっかり慣れたはずの日常はやはり異常だと実感する



『…だけど美味しいからどうしようもない…』
「ン?なんか言いました?」
『ううん』
7色の怪物は想像以上の美味しさで名前はまた溜め息を吐く。美味しいのに複雑なこの気持ちはなんなのか。コックが7色の部位それぞれを違った味付けで調理しているのを眺めつつ、あっという間に宴会が開催されて賑やかなダイニングのカウンターで名前は静かに食事する。ドフラミンゴがトイレに立ち席を外しているこの一瞬が名前の自由時間だった。ここしばらく のびのび過ごす時間が多かったせいか今改めて自身に襲いかかる不条理に悩む

いや、いうてあたし何もしてないじゃん?世界を跨いでるってどういう事態?てか海賊(笑)って……。こんなの今更過ぎて名前自身考え直すのも恥ずかしいと思える初歩も初歩の疑問が唐突に湧き上がるのは、この世界に来た当初と同じかそれ以上に現在ドフラミンゴに構われまくってるせいだった。トイレと風呂以外で視界に映らなくなる時間が無い。その存在が常に視界にあるとか下手なホラーかよ。身体の一部かよ。こわい。発狂しない自分の精神力もいっそこわい。繊細だと思ったことないが図太いとも思ってなかったのにどうやら違ったようだ…

『…もう寝ようかな』
「えっもう!?名前さん最近寝るの早いですね」
コックが目をぱちくりさせるが、この現実から逃れるには睡眠一択だ。あと単純に精神的に疲れた
「…もしかして、体調悪いんじゃ…?」
『え!?いやちが、』
「そうなのか名前」
『……』
このタイミングよ
「すぐ部屋に戻るか?アァその前にガルを呼んで、」
『ちがうちがうちがう。ちがうから元気だからお腹いっぱいになって眠くなっただけだから』
必死な言い訳に船医の召喚は避けられたものの、おれも部屋へ戻ると言い出した為にやはり名前はドフラミンゴの執心から逃げられないのであった
















そして絶望せよ



(島に上陸するのはいつ頃?)(ひと月くれェだな)(うそだと言ってよ)



















ーーーーー
精神削られてる

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ