ハイスコア×ワンピース

□2Aメンバーの旅立ち
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「ねぇ見て!図書室で見付けたの!」



かおりが目をきらっきらさせながらズズイッとあたし達の前に出してきたのは、“妖しい”を具現化させた一冊の本だった



『…なにこの明らかにフラグを立てた本…』

「さよと図書室で本探してたら見つけたの!」

「あんまり素敵な本だから慌てて借りてきちゃった」



おいこら、あんたら二人で保健室と図書室は行くなってあたしがあれほど言ってるのに何をサラッと…。ていうか、さよを慌てさせる程の本ってお前それもうアウトじゃん



「へぇー、さよが慌てるとか珍しいね。なんて本?」

「てかその本スゲーな、魔法使いが武器にしてそうなんだけど」



えみかはいきなり天然が入るから困る。アンタさよの幼なじみでしょうが。さよが慌ててる時なんてあたし達にとったら碌でもない時だけだってなんで気づいてくれないの。そしてめぐみナイス、そうなのその本どう見ても学校の図書室に並べていいものじゃない

真っ黒で分厚いハードカバーのその本にはタイトルがどこにも書かれてない。本当に真っ黒なだけ。そして本の厚みもかなりあって辞書くらいなんじゃないだろうか。…どう考えてもイヤな結末しか浮かばない。これはアレだろ、また悪魔だの精霊だのを呼び出す系だ

えぇーちょ、かおりアンタんとこには既にゴンちゃんが居るでしょうが。それ以上得体の知れない…いやゴンちゃんは和泉の守護霊らしいけどでも見た目が妖怪だし…うん、とにかくこれ以上そんな得体の知れない生き物を増やしてどうしたいの。そんな奇妙な生き物達の力添えで結ばれる恋でいいのか

大声で言いたいけど、いかんせんゴンちゃんの存在はあたしとかおりしか知らない何気にトップシークレットだ。なんであたしにゴンちゃんを紹介したんだかおりよ…。悪い奴ではないけど見た目的なアレでやたらと人目に触れさすなとやんわり釘を刺したんだけど、なんとゴンちゃんはあの姿で日々人助けに奮闘してるらしい。マジでか

…って、話が逸れてるうちになんか勝手に盛り上がってた



「なんかね、この本に書いてある通りにするとメルヘンパワーで不思議な体験が出来るんだって!」

「不思議な体験…って例えば?」

「えみか、その本には“ただ息して普通に一生を終える者には想像もつかない不思議な体験が出来る”としか書かれてないの」

「うさんくさっ!」

「めぐみの言う通りだよ、絶対ふざけてるだけだってソレ」

「えーっ?そんなのやってみなきゃ分かんないじゃん」

「そうよ、それにこの本に書かれてる魔方陣…とっても素敵だわ…」

「逆に素敵じゃない魔方陣てなに」

「…いや、まあ二人がそれで納得するなら試すのは別にいいと思うけど」

「「ほんと!?」」

「じゃああたし嵐士達呼んでくるから、さよ準備お願い!」

「わかったわ」

「え?なんで嵐士達呼ぶの?」

「フフ…これは9人居ないと出来ない呪術なの」

「はぁ!?アンタらあたし達巻き込むつもりか!やだあたし今から政宗先輩のとこ行くのにー!」

「試していいって言ったじゃない」

「えみかテメー!」

「ご、ごめん!でもまさか9人でやるなんて知らなかったし!」

「お待たせっ!皆連れてきたよ!」



えぇぇえぇー…!問答無用でフラグ回収パターンか!

おかしいって待って。まずさよのヤツ呪術って言っちゃってるからね。呪術ってオイコラ。しかも呼び出す系じゃなくて出向く系とかデンジャー過ぎるって…。こんなヘビーなフラグを回収されるとか死ぬ…!

そんなあたしのガタブルは気付いてもらえず、かおりは嵐士・泉水・京介・ミッキーを連れてきた。泉水は何やら文句を言ってるけど、他はそこはかとなくノリ気だ。なぜだ



「はい、じゃあみんな手を繋いで輪になってー」



かおりの呼び声で各々手を繋ぐ。そしてさよが本のどっかのページを開き輪の中心に置いた。わお、流されてるー



「じゃあ行くよ皆、あたしとさよに続いてね…せーのっ」

「「モケモケギョギョッチョペッペケペーペロリーポポッチョ」」

『言えるかっ!!』

「おいゴルァ!!お前ら何してやがる!?校内でのまじないは禁止っつったろ!!」

「ヤベーボスだ!」

「わわっ!み、みんな早く早くっ!」



あたしのツッコミに食い気味で響いた怒声は我らがボスこと、大門先生だった。やった…!これで助かる!なんだかボスがナイトに見えた

…が、どっこいそうは問屋が卸さない。反射的に手を離そうとしたあたしとは逆に、あたしの右手を繋いでためぐみがボスの声にビビって強く握ってきた。…めぐみアンタまた大門カード溜まるのか。そしてさらに、あたしの左手を掴んでるかおりも焦り出してぎゅうぎゅう握ってきた。あたしなんでコイツらと手ぇ繋いだの

そんな中、誰かが「せーのっ」と言った。条件反射で全員が息を吸う、そして



「『モケモケギョギョッチョペッペケペーペロリーポポッチョ』」



9人の謎の奇声が木霊した瞬間に視界がぐにゃりと曲がった

…おいぃぃぃ!ダレだ「せーのっ」って言ったヤツ!修羅レベルのフラグだったよこれぇ!















意識が途切れる最後に見たのは、満面の笑みを浮かべたさよとその背後に迫る般若のようなナイト…もといボスだった




















あたしは息するだけの人生にだって満足して生きていけるのよ



(さよお前が犯人か…!)















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男性陣が空気(^O^)/

だって9人全員喋らすとかそんなスキル持ってない!



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