ハイスコア×ワンピース

□かおりと恋バナ
1ページ/2ページ

※サッチ視点





『あ、この人エースの弟くんで京介の身元引き受け人』

「えっどれどれ」

『これ』

「わ、いい人そー」

『笑顔ステキだよね』

「うんうん!」

『チョッパーくんの可愛さがたまらないし』

「きゃー可愛い!」

『あ、これがさよんとこの身元引き受け人』

「わっ、目の下すっごいよ…まさかコレさよ…」

『さよは元からだって言ってたけどどうかな…』

「…心労じゃなきゃいいけど…」

『ね……あっ、それでこの可愛いのがベポ』

「えっ、きゃー可愛い!」



オアシスだ。ここはオアシスだ。普段はむさ苦しくて気持ち悪い食堂が今はオアシスと化してる

夕飯の仕込みをするおれとガールズトークをする名前とかおりちゃんしかいない食堂は心なしかフローラルな香りさえ漂う。昼過ぎ突然かおりちゃんが遊びに来た。もちろん名前と遊びにだ。しかし名前はマルコに言われて山積みの手配書に写る海賊達を記憶させられている真っ最中だった。万が一にもおれ達とはぐれた時に他の海賊にかどわかされねェように顔を覚えることで出来る限り自己防衛をさせたいらしい

おれもその気持ちはわかるしある程度覚えておくのは大事だと思うがそれにしたってマルコの用意した手配書の量がハンパじゃなかった。グランドラインにはまだ居ねェだろって小物からいつのだよってくらい古いのまで、どうやら片っ端からかき集めたらしい。なにこいつ名前に海賊狩りでもさせてェの?心配性が過ぎてただのウザいお父さんだ。かるく引き気味の名前におれはとりあえずスペード海賊団の船長には近付くなと言っておいた

そしてマルコは静かなほうがはかどるだろうと言い、クルー全員に名前が覚え終わる(もしくは夕飯まで)食堂の立ち入りを禁止した。そこまでする?お前それ絶対お前が今日忙しくて相手してやれねェからその間の虫除けだろ。ブーイング総無視だもんな。それとなぜ自室ではなく食堂かと言うと億が一にも名前の身に何かが起こった時に躊躇い無く中に突入出来るからだそうだ。このおっさん名前の部屋に入るの躊躇うのか。思春期か

おれこの前ビスタと一緒に名前の部屋でお茶したけどな。それこそフローラルな香りがしてマルコじゃねェが少し緊張してしまったわけだが、そのあと用事があってビスタの部屋に行ったら名前の部屋に居たときとまったく同じ香りがして、そういやおれずっとビスタの隣に座ってたなと気づいてちょっと泣いた

話が脱線したが、そんな名前の様子を聞いてかおりちゃんがあたしも一緒に覚えるとなんとも健気で愛らしい発言をして今に至るってわけだ。その流れで一緒に食堂に入ろうとしたエースがジョズに取り抑えられていた。ちなみにおれはコックなため出入り自由である。夕飯の準備をすると言って食堂に入ろうとしたおれの後ろをハルタがついてきそうになったがイゾウに取り抑えられていた。フハハハ!役得役得!

おれ的にはこの二人の絵面が一番好きだからまさに至福の時間である。めぐみちゃんやさよちゃんはそりゃとんでもねェ美少女だがなんせデンジャーでバイオレンスなマッドガールだ。さよちゃんなんか虫も殺さぬような顔して虎視眈々とマルコ(つーか不死鳥)を狙ってやがるし、めぐみちゃんはこの前来たとき「そばかす狩りだ!ひゃーい!」とかなんとか言ってエースの顔面に悪魔が持ってそうなバカでかいフォークをぶっすぶす突き刺していた。いくらエースが物理攻撃効かねェからってあんまりだ

てなわけでおれは人畜無害でおれの作った菓子をそれはそれは美味そうに食ってくれるかおりちゃんがお気に入りだ。おまじないに巨人のうぶ毛が必要だからと言ってオーズに会わせてほしいとお願いされたのはオヤジだしな…うん、無害無害!(巨人が大きければ大きいほど効果的らしいが用途不明)



『あっ、こっちの人は嵐士のとこのキャプテン』

「えっ!どれど…、ひえっ!?」

『大丈夫だよ、見た目ほど危険な人じゃないから』

「そ、そっか!ならよかったー!へぇー、嵐士はこの人と居るのかーいいなー会いたいなー」



おっ、どうやら話題がかおりちゃんの想い人に移ったようだ。何度か本人からも聞いているが、かおりちゃんは1年近くその男に片思いしていて恋が実るように沢山のおまじないを試してるらしい。…もしかしてオーズのうぶ毛は運命の糸的役割を果たすのか?効かなさそうな気がすんのはおれだけか?



『うーん…普通に航海してたらけっこうすぐ会えそうな気もするけど、好きな人に会えるおまじないとかないの?』

「あるにはあるけどー…ホーキンスさんがやっちゃダメって」

『ただ会うだけのおまじないなのに止められるほど過激なものが必要なの?小人のうぶ毛とか?』

「ううん、満月の夜に月光を浴びながら誰にも見られず月の精霊様へ祈りのダンスを捧げるんだけど」

『ダンス?』

「そう!(じたばた)」

『うわ!?急に暴れないでよ!ってか顔顔!!』

「はぁはぁ…このダンスを20分踊り続けなきゃいけないの…はぁはぁ」

『長いわ!いやそれより白目剥いてたけど!?』

「この顔でなきゃダメなの」

『そら止められるわ。見えないとこでとは言え自分の船でそんな怪しい儀式されたくないって』

「最後まで白目を貫き通せれば月の精霊様の恩恵で会いたい人に会わせてくれるんだよ」

『ダンス必要無くね』

「ダンスのキレの良さだって重要だよ!」

『…えー…。…でもそれやったら本当に会えるのかなぁ…』

「月の精霊様は恋する乙女の味方だからね!」

『言い切った!恋する乙女にそんな変顔させるくせに!?』

「でも会えるんだよ?」

『…や、うん……確かにそれは揺らぐけど…』

「あっ!?もしかして名前、」

「ちょいまち!!名前がそんな異常行動してまで会いたい野郎が居るだなんてサッチさん聞いてませんよ!!」



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ