ハイスコア×ワンピース
□泉水とえみかと日常茶飯事
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※ベン・ベックマン視点
「えみか!えみか!ヤベェどうしたらいい!?頼む!助けてくれ!」
「えええぇー!?ムリ!ムリムリ!ムリですって!」
「そこをなんとか!この通りっ!」
全力で拒否をしてる少女へ、びしっ!と直角に腰を折る我らが船長を見て、吐き出す紫煙と共にどこか遠くへ行きたくなった
過去数度見かけたことのあるこのやり取りには正直関わりたくねェ。どうせ内容もこれまでと同じなのだろう、イイ歳したおっさん(しかもこの船のトップ)に頭を下げられめちゃくちゃ困っているえみかにゃ悪いがおれは何も見ていない。とっとと立ち去ろう
「あっ!ベン!いいところに!」
「ベンさん!助けてください!」
「……」
見つかった…。二人同時にパッと目を輝かせおれに詰め寄る。ちょっと離れた場所からヤソップが「危ねェ危ねェ」と呟き来た道を戻って行くのが見えた。おれが逆の立場でも同じ行動を取っただろうがそれでも内心で舌打ちをしてしまう。おれ一人でこれを処理しろってか…
「助けてとはヒデェ言い種だなえみか!つーか助けてほしいのはおれのほうだろ!」
「だからムリですってば!あたしにはムリです!」
「ベン!さっきからおれが誠心誠意お願いしてんのにえみかならムリの一点張りなんだぜ!ヒデェと思うだろ!?」
「ベンさん!シャンクスさんがまたあたしを巻き込もうとするんです!というかそれ以前にあたしじゃどうにも出来ないって言ってるのに!」
「ムリじゃねェ!えみかならやれる!」
「ほらまた!ベンさん!」
「ベン!」
「……」
それぞれに両腕をがっちり掴まれ訴えられる。お頭はさることながらえみかの握力が半端じゃねェ。クルーの何人かに腕相撲で勝っていたパワーは伊達じゃないらしい。二人に掴まれてる部分は完全にアザとなるだろう
逃げるのは無理かと諦めのような納得をして、ひとまず銜えている煙草を口から離すためにお頭に掴まれてるほうの腕を振った。ベン!おれを裏切るのか!と喚くお頭を無視して短くなった煙草の火を手のひらで揉み消す。ポケットから煙草の箱を出すと、察したらしいえみかが腕を離した。えみかは良い子だ。マッチに火をつけ新しい煙草を銜えながら感心する。すがるような二人の眼差しはそのままだが
これでは両腕にくっきりついた手の跡もひとまず無視するしかないだろう。…だがお頭につけられたほうが色が薄いのはどういうことだ。お頭もあまり加減をしていたとは思えんが…いや、今はこんなこと考えても仕方ない
「…ハァ……。で、今回は何が理由で泉水を怒らせたんだ」
「!さすがベンだな、泉水のことだってわかってたか!」
「アンタがえみかに頭下げんのはだいたい泉水に何かしでかしたときだろう」
「しでかしたってお前失礼だな!」
「違うのか、だったらすぐに解決出来るだろう。おれは行かせてもらう」
「違わないです!」
「……」
キリッと言い放つお頭から視線を外しえみかに移す。溜め息は噛み殺す
「…お頭は今度は何をしたんだ」
「それが、泉水ちゃんのことバカにしたらしいんです」
「そりゃお頭が悪いな」
「待て待て誤解だ!バカになんかしてねェ!」
「あたしが話しを聞いた感じだとシャンクスさんが泉水ちゃんをバカにしてそれに泉水ちゃんがキレたみたいです」
「なるほどお頭が悪いな」
「だからバカになんかしてねェんだって!ちょっと笑っただけだ!」
「…何に対して笑ったんだ」
「泉水ちゃんが最近筋肉ついてきたって言ったら笑ったらしいです」
「全面的にお頭が悪ィじゃねェか」
お頭のことだから返事の代わりにいつもの「だっはっは!」っつーあの笑い方でもしたんだろ。お前そりゃキレるだろう。そもそも泉水の筋肉ネタはデリケートに扱ってやんねェとダメだって何度も言ってんのに
「こりゃしばらくシカトされんな」
「ですよねー」
「だからそうならねェように助けてくれってお願いしてんじゃねェか!」
「まァおれには無理だ」
「同じくあたしもです」
「人でなし共め!」
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