バサラトリップ
□外人こわい
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『うーみーはーひろいーなおおきーいなぁー』
怪我も治り恐怖のおにぎり一択軟禁生活から抜け出した今日この頃、城での疲れを癒すべく浜辺をのんびり散歩中。なんてったって元親との熱愛の誤解が解けないままなんだもん、城中の人達からの生暖かい眼差しのせいで精神的疲労がとんでもない
てゆうか元親がもっとハッキリキッパリ否定してくれりゃあ、あたしはこんなにげんなりしないよ。皆になんとか言ってよって促してもモジモジするだけだし。何考えてんだあのへタレ。デカイ図体でモジモジされると無性に腹立つね。国主様だろもっとシャンとしろ。昔の日本って男尊女卑とかそんなんじゃなかったの？いや今更この世界にツッコミは入れるまい。国主が(これも今更だけど)得体の知れない女に足蹴にされてるのをスルー出来る現代でもかなりの高クオリティを持つ家臣＆女中がいる世界だもんね
『まあ気が楽でいいけどさ。楽しいのが一番だし』
「ウーミーハーヒロイーナオオキーナー」
『えっマジか。流石ピーたん賢いね、上手上手』
「ピータンカシコイネ！」
元親曰く「気付いたら船に住み着いてた」このオウム(だよね…？なぜ日本に…いやいやダメだってばこんな普通の事を考えちゃ)、名前は特に無いとのことだったのであたしはいつもピー子ピー助ピーたん等々とアバウトに呼んでいる。そのせいか、最近では元親や野郎共に「おい、鳥」と呼ばれてもドヤ顔(に見える)を向けるだけで絶対に側へ行こうとしなくなった。しまいには頑なに呼び方を改めない元親にうんこを投下する始末。国主にうんこを…ごくり…さすがにあたしも無理だそれは
そこまでされても、ピーたんなんて呼べるか！って硬派っぷりをアピールする元親だったけど、じゃあピー助とでも呼べばいいじゃんって話だよね。つーかお前はチカたんだけどな昔女装癖あったってネタ上がってんだからな。それよりうんこぶっかけられるほうがプライドとか威厳的に問題じゃないの？…って、なんだろうあたしちょっと荒んでるなぁ…キャラが迷子じゃんこれはマズい。両方出来るに越した事はないけど、やっぱボケかツッコミかは定めるべきだよね。うん、とにかくまずは気分を切り替えよう。ようやくの外出なんだから。あたしは一呼吸吐いて波の音を聴いた
…うん海が近いって最高だ。ゆったりとした波の音のヒーリング効果は計り知れないね。少し離れたところには元親の海賊船が見える。今日の彼の仕事はあの船をメンテナンスすることらしい。いやそれただの趣味じゃん遊びじゃん仕事チガウとか思いながら、肩に止まるピーたんと海原を眺めつつ歩く
砂浜を歩く時は着物のほうがいい。たくしあげやすい。だからと言ってあんまり太ももまであげてたら元親が煩いんだけど。前に「ななな何考えてんだはしたねぇ！隠せ！隠せ馬鹿！」って怒鳴りながらも顔を真っ赤にしてチラチラと太ももを見るもんだから大人しく裾を下ろしたらあからさまにガッカリオーラを出した元親に、この国の将来を案じて溜め息が出た
絶賛思春期中かお前は。女慣れしてなさすぎじゃね？育ちのいい人って皆こうなの？お殿様ってこんなもんなの？だいたい、いくら男でも乳首ポロリのほうがどうかと思うけど。それこそはしたないだろ。それを、ももチラくらいであんた…。だったら海女さんとか海辺で働く女の人達は毎日元気にももチラしてんじゃん。それは平気なのかよ。それとも働いてる人達にも同じく下心丸出しなの？おいおいまさか働く女性達をそんな目で見てるってか
『うわ、元親サイテー』
「サイテー。モトチカサイテー」
『ウブだからってそれは許せないね』
「ウブ！ウブ！」
『てかお殿様だったらとっくに結婚しててもおかしくないよね。…まあ此処では何が普通かわかんないけど…許婚くらいいないのかな』
「イナイ！イナイ！」
『…ですよねぇ。居たらあんな噂立たんってね。まああの人についていけるお姫様を探すのは大変か…いやでもお殿様なんだからいざとなったら最強のパワハラが使えるよね…てゆうか、あたしさっきからずっと元親の事しか考えてないんだけど…。だから勘違いされんのかな、やだもう友達欲しい野郎共じゃなくて胸張って友達と呼べる人が欲しい。あたしロンリネス過ぎる』
「オーウ！ダッタらー、ワターシが居るヨー！」
『ひっ！？』
「今からワタシがアナタのトモダチヨー。嬉しいネー幸せネー、コレ総て愛のオカゲなのネー」
「トモダチ！トモダチ！」
『…！？…え、や…何！？』
「ソシテー、ザビー教で愛を学べばトモダチ百人出来るカナー！」
『や、ちょ…！？だ、だから何？ざ、ざびー教！？』
「ソウ！ザビーによるザビーの為のザビー教ヨー！」
「ザビー！ザビー！」
「アナタお金どのくらいアルー？」
『は！？お金！？』
は？なに？なにこれどうした？誰？誰こいつ。デカイくどい激濃ゆ。ガチでソース顔ってか外人だしね。いやいやいや、一体どこから沸いて出た？つい数秒前まで絶対に居なかっただろ。何この世界の住人は突然現れるのがデフォなの？そして入信？カツアゲ？ヤバいこれヤバい、危険な香りしか臭ってない。人を見かけで判断するなってよく聞くけどコレは見かけで判断していいだろ
『…は、入りませんお金ありませんノーセンキューです』
「アナター、とってもヤマトナデシコだからサービスするヨー？」
どこの客引きだよ！話通じないタイプだこれ。ますます危険だ絶対逃げたほうがいい。うわ着物とか走りづらいなマズいなこの世界の人達って身体能力がチートなんだよな。コイツも見るからに規格外っぽいし。走っても無駄にしかならなさそうだけど走るしかないよね…はあ………よし！
『ピッピたん目潰し！』
「ガッテン！メツブシ！」
「ノオーーー！！？」
『今だ逃げろ！』
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