バサラトリップ

□チャラ男に遭遇
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※慶次視点






「あれ?あんた誰だい?」

『え?』



毎度のことながらまつ姉ちゃんとトシの下を飛び出して面白いことを探すべく、ふらりふらりと旅をしていた。最初は秀吉の処にでも行こうかと思ったけど最近よく行ってるせいでまつ姉ちゃん達が直ぐに嗅ぎ付けてきそうでやめた

ならばと今回は久方ぶりに西海の鬼こと元親に会いにきたわけだけども…はて、元親には姉か妹が居ただろうか?



「此処はもう城の敷地内なはずだけど、あんたは城の者かい?それとも迷子?」

『…あー(えーなに誰?不法侵入?やだこわい…ってゆうか迷子って)…そう、ですね…どちらもですかね…(その通りですがなにか)』

「…城の者なのに敷地内で迷子になったのか?」

『(だからその通りですがなにか)このあたりに来たのは初めてだったので…(てか、この派手なお兄さん不法侵入のくせに随分余裕だな)』



林、と呼ぶには大袈裟だけど多少木々が密集している此処は、城自体からは多少距離があるものの間違いなく領地内で城への近道にもなるから俺はよく利用している。それを彼女は城の者なのに迷子だと言う。それが嘘でなければきっと城に来たばかりなのだろう

元親の姉か妹、という考えは浮かんだものの口にする程の可能性は無いような気がして言わなかったがやはり血縁ではなさそうだ。それにしても、控えめに応えながら恥ずかしそうに小さく笑う彼女はなんていうか、うん、綺麗だ



「…もしかしてあんた、元親の好い人かい?」

『え、なんで元親知って……あぁ、元親に会いに此処へ?(元親の友達なら納得の出で立ちだわ…え、てことはこの人もお殿様かなにか?うそだろこんなチャラいのに…いや、元親も殿様には見えないしな…。あれ、もしかしてそんな人の前で元親とか呼び捨てしたあたしってお前何様状態?)』

「うん…まあ、ね…」

『(切腹こわい)そうだったんですか、それはお見苦しいところを見せてしまって申し訳ありません。…あ、ちなみに元親…様、とは貴方様がお考えになられているような関係では御座いません(そしてなんでみんなして直ぐにカレカノに繋げたがるんだろうか。中坊か)』

「…そう」



元親、か…。あっさりと二人の仲を否定する彼女はそれでも元親のことを名前で呼びあまつさえ敬称を付けなかった。途中、元親様と呼び直したのは俺が元親の知り合いと思い返してのことだろう

事情はわからないけれど、今さらこの城で俺を知らない者など居ないはずだから恐らく最近住まうようになったんだろう。だが見た限りでは侍女でも無さそうな彼女に、俺の興味は俄然そそられる



『……あの、(無言で凝視するの止めてもらえませんかなんて言えない)』

「え?」

『…あの、もしご迷惑でなければ城までご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか…?…元親、様へ会いに来られたんですよね…?(さっさと元親に引き取ってもらおう)』

「…あ、あぁ!もちろん、一緒に行こう!道に迷ってる女の子を置いてきぼりには出来ないからね!」

『ありがとうございます(だから言い方がチャラいよ)』

「俺は前田慶次。君は?」

『(えぇー…!?前田慶次ってめっちゃ聞いたことあるんですけど!うそすごいサインもらうべき?…それにしてもこんなチャラいのか前田慶次)名前と申します』

「名前…か。名前、て呼んでも?」

『(ノリが軟派!)はい、お好きなようにお呼び下さい』

「じゃあさ、俺のことは慶次って呼んでくれよ」

『(だからナンパか!)え?…あ、はい…慶次様、ですね』

「様なんて付けなくていいからさ、元親みたいに俺も慶次って呼んでよ」

『(あぁ、やっぱり呼び捨てにしてたの気づいてましたか)…いえ、そういうわけには…(つーかまさか元親も歴史的有名人だったりするの?確かに名前は仰々しいけど。あたし歴史はサッパリなんだよな…どうしよう、今日までとんだ無礼講だったんだけど)』

「俺がそう呼んで欲しいんだよ、いけないかい…?」

『(おぉーい!やだこの人わざと?天然?現代人くさいな!)…は、はぁ…そうですか…ではお言葉に甘えさせて頂きますね』

「是非!」



にっこりと笑う目の前の彼女に満足した俺は、隣に並んで同じ歩幅で歩きだす

侍女でも無さそうだし元親の好い人でも無い、それなら彼女は何者なんだろうという疑問は元親に会うまでしまっておこう

とにかく今は城までの僅かの距離のうちに彼女から俺の名前を聴ければそれでいい



















きっと今日からもっと楽しい



(名前…!?)(おっ!元親久しぶ、り…?)(え…?なに、なんで涙目?)(名前お前、そいつと四国出てく気なのか…!?)((は?))(俺の船で日ノ本まわるって約束したじゃねぇか!)(え?や、うん?元親?)(慶次てめえ!風来坊やんならてめえ一人でやってろ!名前をたぶらかすんじゃねえよ!)(はあ!?いや、俺そんなこと何も言ってないって!)(…あぁ、やっぱりそういう人なんですか…)(違うよ!?違うからそんな目で見ないで!)
















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ああやは日本史サッパリで元親を知らんかったのでヒロインもそんな感じにしてみました。そのほうが後々楽しいかもしれない



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