氷帝学園で過ごす

□4月、教室にて
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チャイムと同時にSHRが終わる。運動部の何人かはあっという間に教室から出て行った。あたしは掃除当番なのでのろのろと机の中の物をカバンにしまっている。セレブ学校のくせに、教育の一環だと言って教室や主要な移動教室は生徒が掃除をしなければならない。めんどくさいなぁと思いつつ、C組に居る親友のよっちも今日は掃除当番なので一緒に帰る身としては焦らなくていいので気が楽だ。向こうもきっとそうだろう。ケータイを見るとよっちから《今日の掃除は山ピー居るからちょっと時間かかるわ(#・∀・)》とLINEが来てた。山ピーとはよっちのクラスの男子で、あたしも去年同じクラスだった。彼はとても几帳面なヤツなので掃除がやたら丁寧で時間がかかる。お怒り気味のよっちに簡単に返事を打ち、ようやく椅子から立ち上がったときクラスの男子と目が合った

『あれ、跡部まだ居たの?今日休み?』
「いや、今日は生徒会で会議があるからな。部活はその後だ」
『へえ、おつかれさまだね』
「これくらいなんともねぇよ」
『さすが跡部様』
「まあな。…苗字はもう帰るのか」
『や、掃除当番』
「そうか。頑張れよ」
『それはあたしのセリフだよ、がんばってね』
「ああ」
じゃあねと添えて、教室から出て行く跡部を見送る。さて掃除しよう。あたしの分までモップを取りに行ってくれてたクラスメイトにお礼を述べてから掃除にとりかかった









あたしは外部入学で氷帝学園に入った。中学までは普通に家の区域にある公立校だった。本当は高校だってこんなお金のかかる学校を受けるつもりはなかったのだけど、語学留学を希望していたあたしの気持ちを汲んだ両親が氷帝学園を勧めてくれたのだ。ウチが貧乏ではないにしたってさすがに氷帝はお金が掛かり過ぎるからと断ったが、氷帝なら高校のうちからいろんな言語が学べる上に語学留学も出来るからと、あたし以上にあたしがやりたい事について調べてくれていた両親は氷帝推しの姿勢を崩さなかった。両親に多大な感謝をしつつ猛勉強の末に受かった氷帝で、2年のときに短期だが念願の語学留学を果たした。そうして3年になった今年はなんとか特進クラスのA組に入ることも出来た。それはもう必死になって勉強したもんだ。特進に入れば内申点も上がるし、なにより、授業料の免除申請が通りやすくもなる。実際、免除が認められた。金額までは知らないけどお母さんがありがとうと言ってきたので家計はかなり助かったのだろう。よかった。3年目にしても氷帝のセレブっぷりに驚かされてばかりのあたしだけど、同じく外部入学してきたよっちと仲良くなれたし他の友達ともセレブと庶民の差を感じながらもまあ上手くやれて、楽しい学園生活をおくっている。特に今年は最後の年だしこれ以上ないくらい楽しもう

誓ったのは3年生が始まったばかり、4月の終わり頃のことだった



























桜吹雪の幕開け



(迎えにきたよー)(あー名前ありがとー!あとゴミ捨てだけだから!)(よっちが行くなら着いてくよ)(や、これは山ピーにやらせるから問題無い)














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まじめ?な恋愛連載ははじめてかも

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