氷帝学園で過ごす

□5月、授業中にて
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氷帝には映画館顔負けのシアタールームがある。むしろそこらの映画館より豪華だ。あたしは今そのシアタールームでドイツ語の映画を観終え、その映画の感想をドイツ語で書くと言うハイレベルな授業を受けていた。ドイツ語は選択科目のひとつで、望んで選んだものとは言え難しさがハンパじゃない。でも外国語は他にギリシャ語・フランス語・スペイン語・アラビア語と言う狂ったラインナップだ。選ばざるを得ない状況でドイツ語かフランス語に絞り、ドイツ語の先生がドイツと日本のハーフでやたらイケメンなのを理由にドイツ語を選択した。ちなみに一番人気はアラビア語で、氷帝に通う生徒のサラブレッドぶりが窺える。この授業は学年合同の選択科目な為、他のクラスも混じっている。でも他のクラスで知ってるのは忍足しかいない。なんかすごい後ろにいるし。あたしは先生の顔をよく見たかったので一番前の先生に近い席に座った。残念なことにその先生も席を外してしまったわけだけど。あとA組からの参加者はあたしを含めたった3人。この時間は外国語以外にも音楽や美術など複数の科目を選べるので生徒はかなりバラけるのだ。よっちは1年のときに音楽留学するほどヴァイオリンのレベルが凄いので当然音楽を選んでいるし、クラスで仲良くなった子は漏れなく他へ行き、中にはアラビア語へ行ってしまった子も居る。その子はガチで将来石油王と結婚しそうなセレブだ。先生居ないしドイツ語ムズいしつまらんなぁと、身が入らないあたしはついつい隣を巻き込んでしまう

『跡部、跡部』
「…なんだ」
間を空けて返事する跡部は、めんどくさい女の隣に座ってしまったと後悔してるだろう。それでも返事してくれるあたりが跡部の優しさと言うか器の広さだ。もうひとりのA組は松井と言う男子だが、コイツは他のクラスに居る彼女と一緒にこの授業を選択したようで彼女と並んで座っている。ムカツクので教室に戻ったら消しカスでもぶつけようと思っている
『終わった?』
「ああ。苗字はどうだ」
『相変わらず早いねー。あたしもうちょい』
「わからねぇとこでもあんのか」
『いや大丈夫(わからないところがわからないし)、てかさ跡部ってハーフ?クォーター?』
「なんだいきなり…クォーターだ」
『フランスでしょ』
「ちげぇ、イギリスだ」
『えっほんとに?あたし去年イギリス留学したけど跡部ほどキレイな顔した人現地にだっていなかったよ?だからなんとなくフランス系なのかなって』
「…そうか」
『子供の頃とかお人形みたいだったろうねー』
「さあ、どうだろうな」
『いや間違いないって、今でそんなキレイなら子供の頃は天使だって。そう言えばさ、この前田中先生に子供の頃の写真見せてもらったんだけどすっっごい可愛いの。ちっちゃい頃誘拐されかけたことあるんだって、レベル高いよねー』
田中先生とはドイツ語担当のイケメン先生で、ハインリッヒ・田中先生である。名字で呼ぶと詐欺にしかならないが相手が先生である為みんな田中先生と呼ぶ。そのギャップもまた良い。子供の頃が激可愛で大人になった今はテライケメンなのだから世の中不公平でならない。小さい頃に可愛かった人は大人になったらあーうんそうねそうねみたいになるんじゃないの?なんかそんな法則無かった?不公平だ

「…それより感想文さっさと終わらせろよ、そろそろチャイムなるぞ」
『えっやばいじゃん。跡部、ここの文って意味繋がる?』
「どれ。…ああ大丈夫だ」
『よし、じゃああとこれ書いて………はいできた』
「おいずいぶんアッサリ書いたがまさか適当じゃねぇだろうな」
『大丈夫大丈夫、田中先生に良いとこ見せたいから内容はきちんとしてるよ』
そしてチャイムが鳴ったと同時に先生が戻ってきて授業は終わった。跡部がじっと見てきたけど、そんな心配しなくてもA組に泥を塗るような評価は(多分)もらわないので信用してほしいんですけど。自販機でジュースを買いたかったので先生に挨拶してそそくさとシアタールームを出る。出て行く寸前に忍足がこっちを見てるのに気づいたので手を振っておいた
























まばゆいほどの美しさもきみが見てくれなきゃ価値がない



(やい松井!授業中ずっと彼女とイチャイチャしやがって!くらえ!)(や、やめろよお!いいじゃねーか!だって彼女H組なんだぜ!?遠いんだよ!)















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わかってると思うけど授業も何もかも捏造/(^o^)\

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