過去ドフラミンゴトリップ

□安定の突然スタート
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「うぐ…っ!?」
昼下がり、自室のソファで仮眠を取っていたら突然、本当に気配も前触れもなく体に何かがのしかかってきた。バチッと音がしそうなほど勢いよく目を開けたドフラミンゴの眼前には、目を点にした女がいた
『……、……え…?』
鼻先がくっつきそうなほど近い。覆いかぶさっている女は頭の中が真っ白なのか、体を固めて動かない。瞬きを忘れた女の瞳から一切視線を逸らさないまま、ドフラミンゴはとりあえずキスをした





「フフフフ、落ち着け。誘ってきたのはそっちじゃねェか」
『……』
ソファに座るドフラミンゴから距離を置いて立つ女は目が据わっている。心底軽蔑してる目だ
「ここはおれの部屋だ。どうやって侵入した」
唇を思いっきり噛まれた上に腹筋をねじるようにつねってドフラミンゴの上から飛び降りた女をまじまじと見ても、まったく記憶にない。高額の手配書でも見ていないし、遊んだ女の中にも居なかったように思う。後者に関してはすぐ忘れるので定かではないが、気に入っている女の中には居ない。だが、気配も無く突然部屋の中に現れたのだ
「能力者か」
そう判断する以外に無いが
『……は?…能力…?何言ってるの…』
意味がわからないと眉間にシワを寄せて首を傾げる女が嘘をついてるようには見えない…と言うより、隙だらけで無防備も良いとこだった。ドフラミンゴに覆いかぶさった段階で命を取らなかったのだから、その時点で疑うのもバカらしい。だからこそ、現状を何も理解していない女に興味が湧いた。にんまり笑うと女はさらに一歩下がる
「フフ、フッフッフッ!もう一度言うぞ、ここはおれの部屋だ。アジトの奥に位置するこの場所にどうやって侵入した。突然現れたんだ、悪魔の実の能力者でないなら一体何者だ」
『……、…は』
口を開けてドフラミンゴを凝視する女は内心パニックだ。アジト。突然現れた。これはまだ良い。よくないが、まだマシだ。問題は悪魔のなんちゃらと言うやつだ。この男どうかしてる。軽蔑の眼差しから痛々しいものを見る眼差しに変わる。どうみても大人のくせに、悪魔がなんたらなど完全にゲーム脳だ。風貌だってそう。サングラスに黒シャツネクタイ、ピンクの羽毛のコート。自分に何か設定を付けてるのか?きっとそうだ。これはおそらく話が通じない、あかんやつ

「…なら質問を変えてやる。おれを知ってるか」
ドン引きで顔を青くさせてる女が黙ったままなので、ドフラミンゴは別の質問をする
『…知りません』
「…!そうか…フフフフ!そうか!」
『…!?』
愉快そうに笑うドフラミンゴにぎょっとする。こんな危ないやつ初めましてに決まってる。対してドフラミンゴは、女が海賊として顔が売れている自分を知らずにこの場所に居る事実が愉しくてしょうがない
「なァ、名前を教えてくれ」
『…………名前…』
女は視線を彷徨わせて少し考えたのち、小さい声で名乗った
「名前…。フフ、名前チャンかそうか。おれはドンキホーテ・ドフラミンゴだ」
『ドン…?え?』
「ドフラミンゴだ」
『…ドフラ……へぇ…そう…』
「…!フッフッ…!そうだ、ドフラだ」
こわいこわいこわい。コレ絶対本名じゃないじゃん!
「フッフッフッ。その様子じゃおれが海賊だということも知らねェな」
『まだあるの!?』
名前は脳内設定の本気に慄いた。こんなことなら名乗らなければよかったと後悔した。そりゃあ初対面の相手にキスも平気でするわ。頭おかしい
「?まだ?まだとはなんだ」
『…そんなふざけたこと言われてもこっちだって困るから本当に』
頭痛くなってきた…とこめかみを押さえる名前に、今度はドフラミンゴが首を傾げる
「…海賊と聞いて怯えねェのか」
『いや怯えてるわ。恐怖しか感じないわ』
違う意味でだが
「フフフ!まァいい。なら聞くが、名前チャンはどこから来た」
『どこって…自分の家に居たけど…』
そう、自分の家に居た。ただ家に居ただけなのに、ハッとした瞬間にはもう目の前にこの男が居て、押し倒すような体勢だったのだ。そしてキスされた。いやなんで?コレもうこの男が犯人なんじゃないの?初見でキスってお前

『…ねえ、家に帰して』
「この町に家があるのか」
『この町って…?』
「スパイダーマイルズだろう」
『……は?』
この短時間で何度聞き返したかわからない。さも当然だと、さらりと告げるドフラミンゴの様子に、名前はこいつ本気で言ってるのでは?と思い始めてきた。サングラスのせいで表情が読めないが、もしこの男の言うことが嘘ではないとしたら…?まあドフラミンゴは最初から嘘は吐いていないのだが、行いが悪過ぎたのだ
『……なんか今、すごく恐ろしい考えが浮かんだ…』

その後のやりとりは割愛するが、こうして名前はドンキホーテファミリーに加入するのだった















眠らなかったプリンセス、それでも君はぼくのもの



(さて、そういう訳でファミリーに挨拶に行くぞ)(どういう訳……って、はぁ!?…!?あんた大き過ぎない!?)
























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ちなみに夢主はジーンズにTシャツ姿でトリップ。
スウェットではない。

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