過去ドフラミンゴトリップ

□とりあえずご挨拶
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「今日からファミリーが増えた。今夜は歓迎会だ。フッフッフッ!」
ぽかんとした顔したファミリー全員に見詰められて、名前も一緒にぽかんとした

いろいろ巻き気味なのはギャグだからである。とにかく名前はいつの間にかドフラミンゴの部屋に居て、なんやかんやあってドフラミンゴと共に生活する流れになった。ファミリーを紹介すると言われて案内された広間には、絶対にクセがスゴいと確信させる面々が勢揃いしてた。あ、ファミリーってそう言う…。名前はこれからの生活に不安しか無い

「あ、あの!私、ベビー5!」
そんな中、真っ先にベビー5が頬を染めて自己紹介した。名前がちょっとよくわからなかったが、可愛らしい女の子なのはわかった。誰かの子供なのか他にも男の子が何人か居て、大人達に比べたらよっぽど普通で名前は少しホッとする
『あたしは名前です。よろしくね』
コレを皮切りに次々と自己紹介を始め、その都度ベビー5がひと言添えてくれるのでとても助かった。誰の子なのか聞きそびれたが、何となくヴェルゴかセニョール辺りではないかと予想する。だけど子供たち全員が同じ親なのかは疑問だ。一番小さいデリンジャーなんかは、ジョーラと名乗ったマダムが抱いてるし、ローと名乗った男の子はベビー5と歳がかなり近そうだ。双子か?よくわからない。ドフラミンゴがボスなのは間違いないみたいで、みんながみんな名前をウェルカムしているのはドフラミンゴがそう言ったからだろう。もしかして、ドフラミンゴとジョーラが夫婦なのかもしれない。完全に紅一点だし。姉さん女房かな?でもそうだとしたら自分にキスしてきたドフラミンゴはあまりにもクズ過ぎる。しかも、回避不可だったとは言えキスした相手がファミリーに居るって妻的にどうなのか。自分なら許せない。悶々と考える名前を置いて、ファミリー達は名前を歓迎するべく話していた

「部屋はどうしような」
ディアマンテがアゴに手をあてて言う
「一番端にある部屋はどうだ。長い間使ってないから汚れは酷いが広いぞ」
「あァ、あそこは広いな。掃除すりゃ問題ないしな」
ヴェルゴの提案にディアマンテが納得したが、名前は驚いた
『え…?部屋まで貰えるんですか?』
「余ってるからな。気にするな」
『そ、そうですか…?でも、そんな…』
衣食住を保証されたとは言え、ひとり部屋まで宛てがわれるとは思ってなかった。有難いが、いくらなんでも申し訳ない。恐縮する名前を見てドフラミンゴが何か口を開きかけたが、ベビー5が先に声を上げた
「じゃあ!じゃあ、私の部屋でもいいのよ!」
『えっ』
手を挙げて主張するベビー5に視線が集中するが、彼女は何も気にしていない
『いいの?』
「うん!」
元気よく返事するベビー5はニコニコだ
『えーっと…いい、ですかね…?』
名前が反射的にジョーラに訊ねれば、ジョーラは首を傾げながら応える
「あーたがそれで良いならかまわないざます」
『じゃあ…ベビー5ちゃんの部屋を一緒に使わせてもらおうかな』
「えへへ!案内したげる!」
「エー!楽しそうだすやん!おれも一緒の部屋がいいだすやん!」
「お前ら…よく知りもしないヤツといきなり一緒の部屋とか…。ありえねェだろ」
「じゃあローは部屋に入っちゃダメ!」
「ハァ?なんだソレ。意味わかんねェ。決めつけるなよ」
「だって一緒の部屋はイヤなんでしょ?」
「入るのまでイヤなんて言ってねェだろ」
「何それ!ありえないって言ったのに!」
「ローは仲間外れになりたくないだすやん」
「そっか!ロー寂しかったの?」
「ハァ!?ちっげェよ!バカじゃねーの!」
「……!」

ローがキレてベビー5が泣く様子を見て名前はぎょっとしたが、どうやらよくある事みたいで誰もタッチせず気にしていない。なかなかのマジ泣きなのにみんなスゴい。とは言え、名前としては自分がケンカの発端になったので居心地悪い
『…あの、そんなふうにケンカになるくらいなら、ひとり部屋使わせてもらおうかな…?』
「…!?ほらァ!!ローのせいよ!!」
「なにがだよ!!」
「ローが意地悪言うから、私まで必要とされなくなっちゃう!」
『!?』
なんか余計泣いてしまった。しかも、必要とされるされないの、何やら重たい話にまで発展した。いつの間にそんな話になったのかよくわからない
『な、泣かないで。あたしは何も気にしてないから…』
びーびー泣くベビー5をオロオロしながらも宥める。頭を撫でても大丈夫かな?このご時世、それすら犯罪と見なされかねないのでちょっとこわい。でも世界が違うしな。あたしもファミリーだとか言ってたし、良いかな?
『ほら、イイ子だから。ね?』
名前の内心も知らず、撫でられたベビー5はぱちくりと瞬きして名前を見た。涙は早くも止まっている。それからみるみるうちに頬を染めて笑ったので、名前の中で完全に癒し認定された。是非とも一緒の部屋になりたいけれど、子供たちの仲が拗れそうなので黙っていよう。そう決意したのに、それを崩すようにドフラミンゴが言った

「おれの隣の部屋が空いてたろう。ベビー5だけなら同じ部屋を使って良い。ふたりでそこを使え」
「!?ド、ドフィ!?お前の隣はおれが、」
「ジョーラ、部屋の掃除をしてくれ」
「ま、待ってくれドフィ、おれ、」
「トレーボル、コックに夕食の準備をさせろ。名前、その間にいろいろと案内してやる」
「お、おれの部屋、」
「行くぞ名前」
『えっ!?でも、えっ、ちょ、ちょっと、』
「若様、私も一緒に案内したい!」
「フフフフ、いいぜ。ついて来い」
早口で次々と指示したドフラミンゴは名前の腕を掴む。反対の手はベビー5がちゃっかり繋いでいて、ふたりに引きずられるように名前もその場を離れることになった。残されたのは唖然とした様子のファミリーで、中でもディアマンテは一生懸命発言していたのにまったく聞き届けてもらえなかった。ドフラミンゴへと伸ばした手が虚しい。沈黙は続く

《カノジョはドフィのなんなんだ》
コラソンが書いたメモ紙にまで気が回る者はいなかった



















ぼくの腕に抱かれてしあわせになるいきもの



(ねえディアマンテ、あの部屋ってもしかしなくてもあなたが使ってたんだよね…?)(…ハハッ!ンなわけねェだろおれの部屋は埃まみれの一番端だ…!)(なんかごめん…。泣かないで)




















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もたつく若に振り回されるファミリー達の話になりそうな予感

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