過去ドフラミンゴトリップ

□外出してみた
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「名前、お前は若に命を捧げられるんだろうな」
えっ全然ムリです勘弁ですよ〜なんて言おうものならこの男は大爆発起こすこと間違いなし





人生何が起きるかわからないってよく言うけど、わからないにも限度があるでしょってくらい予測不能な人生が始まって少し。この世界…というか、このファミリーの生活リズムをやっと掴んできたところで用心深いと言うか謎に過保護というか、ずっと渋っていた桃色の鳥がようやく町に出て良いとGOサインを出したのだ。これまでずっとアジト…彼らの拠点である建物から出ることなく過ごしていた。覚えることが沢山あって、殺風景な建物内でも時間は潰せたけどやっぱり外に出られるのは嬉しい。初外出と言うことでとりあえず町をブラブラすることになった。桃色同伴なのは当然で、出来ればベビーも一緒が良かったけど彼女は今日セニョール達とお仕事らしい。あんな小さな子も働いてるって言うのにあたしは…。追い討ちをかけるようにベビーが「姉様、これで好きなもの買ってきて」ってお小遣いくれたんだ…。10歳にお小遣い渡される大人って生きてていいの?凹むを通り越して死にたい。涙目で辛いと訴えたらもう少ししたら出来そうな仕事を回してくれることになった。お金はベビーに返したいけど、絶望した顔されたので受け取ったままでいる。死んでも使わないけど。お守り代わりにでもするさ。そんなこんなで、桃色とふたりかと思いきやグラディウスも一緒に行くことになって、桃色が離れた隙をついて冒頭の発言をされたのである

『…いやあ、捧げる前に全然違うところで死んでるんじゃないかな』
グラディウスの言う命を捧げるとは多分、ヤツに何かあった場合身代わりになったり敵に特攻かけて死ねるよね勿論?ってことだろう。子ども達の為ならわかるったって、あたしの力じゃ身代わり云々の前に真っ先に殺されるでしょうよ。その意味を込めて答えたけど、彼はお気に召さないらしい
「死ぬなら若のために決まってるだろう!違うところってどこだ!どこで死ぬつもりなんだ!言え!」
『キミ無茶苦茶言うなぁ』
すぐ気づいたけどグラディウスって若厨なんだよね。ファミリーみんな桃色が一番!みたいなとこあるけど、彼はホンモノ。崇拝してる。グラディウスの前でうっかりアンタって言った日には二時間くらいキレながら説教?説法?された
「どうしたグラディウス。声がでかいぞ」
「すいません若!その…名前が若をどれくらい大切に思っているか聞いてました」
「…!ほう」
グラディウスは若厨だけど常識人なので、若のために死ねって脅してましたとは言わない。だけどその言い方はやめてくれ。どうして矢印が一方を向いている前提なのか。そもそも矢印出てないからね
「フフフフ。で?どうなんだ名前チャン」
『いやどうって…』
「お前もファミリーなんだ、若が一番だろう」
『……まあ、ボスだし…。…あー…その範囲で大切に思ってる…かな。感謝の気持ちはあるし…』
あたしの発言に、パッと明るい顔したグラディウスに内心ホッとする。下手なこと言うとうるさいので、彼とドフラの話をするときは本当に気を遣う。面倒な小姑ってかんじ。衣食住を提供してくれたことはすごく感謝してるし、まあ嘘は言ってない。大切の度合いやベクトルはグラディウスの考えとはだいぶ違うけど
「そうかそうか、フッフッフッ!なァに、名前もファミリーだからな。遠慮はいらねェさ」
「若もこう言ってるからな、大切に思っても気遅れすることはないぞ」
『はあ…どうも』
二人ともご機嫌になったところで町ブラを再開するがぶっちゃけもう帰りたい。こんな接待散歩やってられないって






結局、あのあと1時間ほどブラついてアジトに帰った。道中あれこれ薦めてくる桃色と、それに乗っかるボマーが居たので買い物までした。いらないと言えばボマーが「若が名前のために選んでくれたんだぞ!」と噛み付いてくるから薦められたもの全て買ってもらうハメになった。ピンク色の服やフェザーのアクセサリーばっかりなんですけど。身につけないとボマーからチェックが入るだろうと簡単に想像ついてげんなりする。今後このコンビとはあまり一緒に居ないようにしよう

「わあ!姉様、服買ったのね!可愛いのがいっぱい!」
部屋で買ったものを片付けてたらベビーとなぜか桃色が来た。ベビーはやはり女の子、ピンク色が可愛いと思うようで目を輝かせてる。あたしだってピンク色が嫌いなわけじゃない。ただ、誰かさんを彷彿とさせるから抵抗あるのだ。崇拝仲間になるつもりはない
「フフフ。今日は楽しめたか」
『あ、うん。……こんなに、どうもありがとう』
「なんてことねェ。少なすぎるくらいだ」
せめてジョーラと買いに行きたかったけどね。ピンク色に支配された服たちが視界に入るとどうしても感謝の言葉が出遅れるのは許して欲しい
「ところで町での話だが」
『町で?なに話したっけ』
グラディウスの若マンセーをただひたすら聞いてるだけだったような
「おれが大切だと言う話だ」
『……あぁ…』
お前それまた蒸し返すのかよ。今ここで?グラディウスも居ないのに?どうした?と言うか、自分で自分が大切に思われてる話なんて普通する?
『まだなにかあった…?』
「嘘じゃねェんだな」
『あー…それさあ、』
「いやいい、おれが大切なんだろう」
『えっ』
「フフ、フッフッフッ!」
えっ何この人こわい。ひとりで勝手に納得して笑いだした。服を漁ってたベビーもきょとんとして若様を見てるよ
「若様たのしそう…」
「フッフッフッフッ!あァ愉しいぜフフフフ!」
「へんな若様…」
『……』
ベビーの言葉に無言で頷く。このファミリー大丈夫?トップの様子おかしすぎない?
「フフフフ。ベビー5、次はお前も名前チャンと出かけるか」
「いいの!?」
「あァ」
「やったー!」
「そうだ、ケーキを買ってきた。食っていいぜ」
「わあーい!みんなの紅茶は私が淹れるわ!」
「頼んだぞ」
「私がひつようなのね!」
『え、ちょ、はやっ!』

テンション上がりきったままダッシュで部屋を出ていくベビー。え、うそ置いてかないで。へんな若様とふたりにしないで。顔色をうかがうと、それはもう楽しそうにしてる。あたしこんなよく分からない人をボスだ、ってこの先大切にしなくちゃいけないの?荷が重いんですけど。自分の今後を思うと憂鬱でたまらない

しかもケーキを食べてたらボマーが擦り寄ってきて若語りをはじめるもんだから、いよいよ此処を出ていくべきか悩むのだった

























僕が居てはじめて成り立つ君のせかい



(んねー名前、ドフィとお揃い?その服ドフィとお揃い?べへへへ、んねー)(お揃いじゃない色が同じなだけそれ以上喋ったらサングラスかち割るよ)






















ーーーーー
大切なことだから何度も確認したい若

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