日記

ぐだぐだ喋りませう

◆ドフトリ夢主で小話 

欲しがらないわけではないが、多くを望まない夢主に手ずから何かを贈ろうとしてもなかなか叶わない。この世にふたつと無い宝石やドレス、果ては島だってドフラミンゴなら用意出来た。けれどそれらを贈りつけたって期待通りの反応をしてくれないことはいい加減理解している
『ぅわっ』
「危ねェ、気をつけろ」
雪に覆われた冬島に上陸し、ディナーを終えてメインストリートを二人で歩く。足を滑らせた夢主の肩を抱いて支え、そのまま引き寄せてぴったりくっついても彼女は何も言わず受け入れた。街は無数のアイスキャンドルが点灯していて幻想的に煌めいている。視線をあちこちに滑らせ、その煌めきを瞳に映しながら歩く夢主の様子を横目で見たドフラミンゴは、夢主にならって風景に目をやった。綺麗だと思うがそれ以上の深い感情はない。どころか、久しぶりに履いたブーツが歩きにくいなとばかり考えた。それでも黙っているのは他ならぬ夢主の為だろう。欲しがらないわけではない。望まないわけではない。この風景がみたいと彼女が口にした。叶えて当然だった。結局ドフラミンゴの視線は夢主に戻り、新雪の上を歩く夢主がまた足を滑らせないかを気にした
『綺麗ね』
鼻を赤くさせた夢主が白い吐息を吐き出しながらふいに言う。目を回すほど高価な贈り物でもない、小さい島の毎年この時期に繰り返す街並み。そんなちっぽけなものが夢主の表情をとびっきり輝かせるから時々おもしろくなくなる
「…そうだなァ」
だけど彼女の為ならばこっそり遠回りをして帰るくらいのことはしてしまうのだ。尽くしている自覚は無く、ただ夢主の喜ぶ顔が気に入っているだけのつもりでいつだって何かを与えたがる

「……アァ、綺麗だ」
振り返ると二人の足跡が並び続いていて、彼にとってはこちらのほうがよほど素直に綺麗だと思えた。帰ったら夢主の淹れた紅茶を飲もう。前を向き直したドフラミンゴはやはり夢主ばかりを見ていた

クリスマスは過ぎたけど…冬っぽい話。追い詰めてばっかりだと可哀想だから少し甘めもたまにはね!

2018/12/26(Wed) 14:22

[コメント書込]

[戻る]
[TOPへ]
[カスタマイズ]



©フォレストページ