華鬼

□理想の愛を貴方に
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「え・・・」



「だからっ・・・受け取れ」







目の前に差し出された小さな包み。

突然のことに驚いて

ジッと見つめていると

痺れをきらした華鬼が

強引に私の手の上に置いた。

受け取った後もまじまじと見ていると

小さくでもはっきりと聞こえた

華鬼からの溜息でやっと

思考が働きだした。







「ぁ・・・コ、レ・・・私に?」



「お前以外に誰がいる」



「っ・・・開けても、いい?」



「ああ」







緊張しながらも

震える手でゆっくりと

包みを開いた。

中から出てきてものは

綺麗なネックレス。

いたってシンプルなものだが

トップには何枚にも花びらが重なり

一つの花となっていて

その中央に淡いピンクの宝石が

埋められていた。



手に取ったものの

あまりにも驚き過ぎて

どうしたらいいのか分からず

火照る頬も気にせず

ただ華鬼を見つめた。







「あ、の・・・どうして・・・」



「今日はクリスマスだろ?」







そう言われてまた驚いた。

こういった行事は

あまり興味がないと思っていたのに。

華鬼自らこうして

プレゼントまで用意しているという

サプライズをくれるなんて。

こんなにも幸せでいいのかな。







「華鬼、ありがとう」



「気に入ったか?」



「うん!」







とても嬉しくて

満面の笑みで思わず

思い切り頷いてしまった。

すると、華鬼が僅かに

ほっとするのが分かった。







「どうしたの?」



「・・・何でもない」



「?・・・あ、あのね

私も華鬼に、渡したい物があるの」



「え?」







そう言って私が華鬼に渡した物は

男性物のブレスレット。

アクセサリーの類は

あまり身につけない華鬼に

このプレゼントは喜んでもらえるか

正直あまり自信がなかった。

それでも、どうしても

このブレスレットを

華鬼にあげたくて。







「神無・・・」



「はい」



「・・・ありがとう」







そう言って優しく笑ってくれた華鬼と

嬉しさを溢れさせる私の

それぞれの胸元と右手首には

同じ椿の花が揺れていた。











〜END〜


 

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