華鬼

□あれから僕らは・・・
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『華鬼〜華鬼×神無〜』





さらさらと流れる髪を

ぼんやり見つめていると

出会った頃よりも長くなったそれが

過ごした時間の長さを語っていた。

共にいることが自然となって

隣りにあることが当たり前となり

腕に抱くことさえ

呼吸をするかのように

極々、当然のこととなっている。



彼女がいなければ

感じれなければ

生きていくことができない、と。

真剣にそう思える程に

なくてはならない存在だ。







「華鬼?」



「何だ?」



「・・・ううん。

何だか、今日は静かだなって

思っただけ」



「・・・俺はいつでも静かだと思うが」



「ん・・・そうだけど・・・

いつもより、静かで

ずっと見られてるような気がして」







照れているのか、困惑しているのか

多分両方なのだろう。

視線を俺から逸らしながら

ぽつりと語る彼女。

小さく音が紡がれる度に

開閉する薄桃色の唇が

誘っているように思えて。

頭で考えるよりも先に

体は勝手に動いていた。



隣りに座る彼女を押し倒しながら

魅惑的な唇を奪っていた。

瞬時に感じる柔らかさや甘さに

脳髄が彼女に侵されていくような

そんな錯覚に陥る。

このまま感じていたい、と

そんな欲に流されてしまおうかと

そう思ったのもつかの間。

胸元を彼女の手に叩かれて

息苦しそうにしてる様子に

渋々体と唇を離した。







「っ、は、ぁ・・・あ・・・」



「・・・大丈夫か?」



「華、鬼・・・いき、なり・・・すぎ」



「・・・すまない」



「んっ!?」







彼女に謝罪しながらも

止める気などない俺は

何度も何度も彼女に口づける。



あの頃と変わらない想い。

いや、どんどん深まっていく

彼女への想いは

決して鬼の本能故のものではない。

俺が彼女へ抱く心そのもの。

強く濃くなりすぎたこの想いは

もう、誰にも止められない。

そう・・・俺自身にも。








〜END〜


 

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