Black Jack

□07
1ページ/1ページ







「知世。

すまないが、これを・・・」



『あ、私っ・・・すみません!!』



「ぇ・・・おい!」







また、やってしまった。

自分の気持ちに気づいてから

私の先生に対しての態度が

一変してしまった。

というよりも、私のせい。

意識してしまうと

どう接したらいいのか分からなくて。

気づく以前はどう話していたのか

どれくらいの距離でいたのか

ことあるごとに抱きあげられて

どうしてまともに接せれていたのか

何もかもが分からなくて。

今、自分がとっている行動は

この気持ちに気づかれたくなくて

逃げまわるという

不審だらけな行動だったりする。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「知世、ろうちたの?」



『え?』



「なんか、先生のことさけてゆれしょ?」



『さ、けては・・・ない・・・

ことも、ない・・・です』



「ろっちなのよさ・・・

先生とケンカれもちたの?」



『・・・・・・ううん。

私が悪いの。

勝手に話せなくなっちゃった、だけ』







カシャ、カシャ、と

ボールと泡立て器のぶつかる

金属音を何気なく聞きながら

自分の言葉を頭の中で繰り返す。



そう・・・全部、私の勝手。

私が勝手に分からなくなって

私が勝手に逃げ回って

私が勝手に・・・好きになって。



先生は何にも悪くないのに。

私の行動って

先生にどう思われてるのかな?

失礼な子?おかしな子?

良い気は絶対していない。

先生に、謝らないと・・・。







『・・・よし!

これで後は焼いたら完成!』



「今日は何作ったの?」



『シフォンケーキ。

生クリームとね

木イチゴのソースを添えるの』



「わぁ〜!おいしそう!!

じゃあ、あたちはお茶の準備ね」



『は〜い』







ごめんね、ピノコちゃん。

このケーキね

本当は先生の為に作ったの。

疲れをとってもらう為に

それと、ごめんなさいの意味をこめて。

でも、もしかしたら

先生は気にしてないかもしれない。

子供のすることだって。

でも、もしかしたら

すごく怒ってるかもしれない。

理由も分からずに何で逃げるのかって。



私は、やっぱりおかしいんだ。

先生が好きって気づいてから

心も思考もおかしくなったんだ。

だって、先生が怒ってくれてた方が

嬉しいな・・・なんて

そんなこと思っちゃってるなんて。



自分の心に戸惑いながらも

生地を流し込んだ大きな型を

オーブンへと入れてスイッチを入れた。








to be continued・・・


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ