Black Jack

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注)微妙に大人風味?





『先生になら・・・私・・・

傷つけられても、いいです。

汚されたって、穢されたって

・・・先生なら、何だっていいです』







そう言った彼女の瞳と

愛おしい表情に

脆い理性が崩れてしまった。



傷ついた心と体は

この数週間で幾らかは

緩和したかもしれない。

だが、癒えるまでには

長い時間を要するのだろう。

だからこそ、愛しているからこそ

私自身が彼女の全てを傷つけない為

距離をとろうとしていた。

それなのに・・・

こうも自分の理性や自制が

脆いものだとは思いもしなかった。



彼女から出された了承

触れる許しの言葉を紡がれて。

あんなにも固く心に誓っていたのに

こうも簡単に彼女へ触れている。

そんな自分に問いただしたくなる。

頭では警告音が鳴り響く。





駄目だ・・・触れてはいけない



フレテシマイタイ



傷つけたくない



コワシテシマイタイ



汚したくない



ヨクボウノママニソメテシマイタイ





鬩ぎ合う心の葛藤。

ベッドの軋みも遠くに聞こえ

目の前で、横たわる彼女

知世一色となっていく思考。







「・・・知世」



『ん・・・ぁ・・・』



「唇を噛むな・・・傷になる」



『ぅ・・・ふ、ぇ・・・

だって・・・変な、声・・・』



「我慢しなくていい・・・

感じるままにいなさい」







火照る柔らかな体は

未だ細すぎるのではと

心配になってしまう。

それでも、柔らかさや

甘い香り、滑らかな肌は

愛おしくて仕方がない。

この私を虜にしてやまないのだ。



戸惑いの含む艶声は

どんな歌い手の美声も敵わない。

妖艶なまでの淫靡さは

どんな女優でさえも太刀打ちできない。

全ては彼女だから

彼女にしか出せないモノ。





熱を分けあい互いを奥深くで感じ

全てを曝け出して。

ようやく、二人の心が繋がったと

そう感じられた。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





窓を覆う布越しにも分かる

外の薄明るさに

結局一睡もできなかったと。

腕の中で眠りにつく

彼女を見つめた。

目元が少し腫れぼったいのは

私が散々泣かせたから。

まあ、途中からは

別の意味合いとなったが。

それでも・・・

想いを交わしたにも関わらず

ピノコからも泣かすなと

忠告されていたにも関わらず。

結局、何一つ守れなかったどころか

思い描いていたものとは

別のものとなっている。







「はぁ・・・・・・こんなに早く

触れるつもりなどなかったんだが」







散々触れて交わった後に

言う言葉ではないとよく分かっている。

ただの言いわけでしかないことも。

それでも、本当にそんなつもりは

なかったのだと断言できる。

いずれは、と・・・思っていたが。



小さく身じろいだ彼女を

覗きこんでみるも

未だ夢の中のようだ。

こんな私の苦悩など

知り得ないのだろう。

しかし、なんと幸福な苦悩だろう。





そう思える私は

知世のことを

心の底から想っている。

ああ・・・大切でならないのだ。









to be continued・・・



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