Black Jack

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「・・・知世」



『・・・先生がいたから

私は初めて歩きだすことができました。

その場に留まることしか

知らなかった私に

立ち上がって歩いて良いって

私のペースで歩いて良いって

そう教えてくれたから・・・

ねえ、先生・・・私、ね

もう、先生がいないと

生きてなんていけないんです

・・・ふ、ぅ・・・っく・・・』







こんな気持ち、本当は

先生と二人きりの時に

言うことだとは思う。

でも、先生が言ってくれたことが

あまりにも嬉しくて。

だから、私もちゃんと返さないとって

そう思ったの。







「・・・そうですか」



『ぁ・・・』



「・・・本当は、今日知世を

引き取ることも考えていました」



『え』



「・・・」



「ですが、それでは

また、貴女を暗闇へ戻すことになる。

しかし、先生。貴方のことを

本当に信用しても良いのか・・・

それだけが心配だったのです」



「それで?

私は、貴女の信用に足る男でしたか?」



「・・・正直な所、信用しきれないのが

事実ではあります。

ですが、知世の笑顔を

初めて見ることができたのは・・・

先生がいるからこそと思うのも確かです」







祖母の言葉に不安になり

思わず先生の手を握り

それだけでは足らず

そっと身を寄せた。

そのことに驚きも拒むこともなく

先生はそっと引き寄せてくれた。



うん・・・大丈夫。

先生が、いてくれるから。







「知世」



『はい』



「・・・先生と幸せになるのですよ」



『は・・・ぃ・・・・・・・・・

・・・・・・え?』



「なっ・・・どういうことだよ

お袋!!勝手に・・・」



「黙りなさい!!

元凶は全て貴方達家族だと

何度言えば分かるのです!!」



「くっ・・・」



「まあ、ね・・・良いんじゃないか?」



「そうね」



「・・・おばあちゃん・・・

本当に知世を認めるの?」



「何度も言わせないで下さい。

この家の現主は私です。

私の意に反するというのであれば

どうぞ、出て行きなさい」



「「っ!?!!」」







その目は私が小さい頃に見た

祖母の目。

祖父も同じ目をしていることが

あったことを何となく覚えている。

強い祖父母を見つめ憧れたこともあった。

でも、私には無理だと

すぐに理解し諦めた。

でも・・・これからは・・・。







「知世」



『・・・先生』



「もう、諦めるな。

自分の思うように生きて良い

必ず、私が傍にいる。

ピノコだっているんだ。

お前さんは、一人じゃない」



『っ・・・は、い・・・はい・・・

ありがと、ござい、ます』







こんなに幸せで、こんなに満たされて

私はきっと、世界で一番

素敵な人に巡り合い、愛されている。

世界で一番幸せなんだって

叫びたいくらい、それくらいに

今幸せですよ、先生。










to be continued・・・


 

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