牛蒡夢

□はじめまして、義母です
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チ「へ?」



『・・・・・・美人さんだぁ』



空「だから、コイツが

オラの母ちゃんなんだって」



飯「お母さん、信じられないとは

思いますけど・・・」



天「お姉ちゃん、来てくれたんだね」



『うん!悟天くんから

ずっとお誘い受けてたからね』



「ミルク、いちいち

そのガキに近づくな」







ぐいっとバーダックに腕をひかれ

そのままポスっと逞しい腕の中へ

閉じ込められてしまった。

瞬時に薫る彼の香りに

キュンとトキメキと覚えながら

そういえば・・・と思いなおす。

今日は私の義娘のチチさんに

ご挨拶に伺ったのです。



悟空さん達が訪ねてきて数日間。

ほぼ毎日のように悟天くんが

私達の家に遊びに来ていた。

そして必ず帰り際に言われた。





「お姉ちゃん、ぜ〜ったい

遊びにきてね〜!!」





あの無邪気な笑顔は

本当に母性愛を擽るというのか。

何でも言うことを聞いてあげたく

なってしまうのは、仕方ないはず。

バーダックは気に食わないみたい。

子供だろうとなんだろうと

男は男と言って

私に近づくのを酷く嫌う。

そんな心配はいらないのに、と

そうは思うものの

こうも嫉妬を露にされてしまうと

不謹慎にも嬉しくなってしまう。



・・・と、話が逸れてしまったけど。

そんな悟天くんのお誘いもあって

私も悟空さんのお嫁さんに

会ってみたかったので

バーダックのお仕事がお休みの日に

こうして孫家を訪ねたのです。







チ「や・・・はあ〜・・・

たまげたなぁ・・・

まさか、こんな若えお義母さんが

できるだなんて・・・」



飯「僕も、こんなに若い

お祖母さんなんて・・・

むしろ姉さんか妹の方が

しっくりきそうな・・・」



空「オラもよぉ・・・

気にしねえって言ったけど

自分よりも若え母ちゃんって

何か変な感じだな」



『あ〜・・・な、何か・・・

ご、ごめんなさい・・・?』



「何お前が謝ってんだよ。

何も謝るようなことしてねえだろ

・・・っつうか、いい加減に

ミルクから離れろ!クソガキ」



天「イヤだ!!

お姉ちゃんと遊びたいもん!!」







戸惑う息子と孫と義娘に

なんだか申し訳なくなって。

しかも、息子夫婦は私よりも年上で

でもでも、義娘は私なんかより

ず〜っと美人でキレイで

・・・なんだろう。

どちらかというと、チチさんが

私の“お母さん”みたいに思えて。

ふと頭によぎるのは

昔生きていた頃の母親の姿。



未だ私を抱きしめるバーダックが

私の足元にじゃれつく悟天くんと

言い合ってるのを聞きながら

何となく懐かしさとか寂しさを感じた。

すると、戸惑っていたチチさんが

柔らかい笑みを浮かべ

すっと手を差し出してくれた。







チ「最初に聞いた時は

驚れえたけど・・・

悟空さの家族なんだから

喜んで歓迎するだ」



『!はい!』



チ「それに、ミルクさまだ若えだろ?

そんな義母だの義娘だのって

気張らなくてええだよ」



『え・・・良いん、ですか?』




チ「んだ!そういうの関係なしに

おら達家族とも仲良くしてけろ」



『っ・・・はい・・・

ありがとうございます!!』







うん、やっぱり

主婦歴長く一家を支えて来た人だ。

本当に母親みたいな

この大きな優しさは

私でもとても心地が良い。

差し出された手をとって

握手をしながら笑みを交わした。

何だか受け入れられたって

そう実感できる、気がする。





私の足に絡みついていた悟天くんは

気をきかしてくれた悟飯くんが

引き離してくれていた。

表情こそ変わらないものの

満足げな雰囲気を纏うバーダックも

私とチチさんのやりとりを見て

少なからず安堵しているような

そんな・・・気がした。





私の新しい家族は

宇宙一強く、宇宙一優しい

そんな人達です。

でも、宇宙一カッコ良いのは

バーダックだけどね?







〜END〜



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