牛蒡夢

□意地悪な笑み
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「おい」



『・・・何?』



「いつまでそうしてんだ」



『っ・・・だって』



「・・・後10秒で出て来なかったら

無理やりこじ開けて犯すからな」



『えぇえ!?』



「10、9、8・・・」







彼がくれたプレゼント。

誕生日でも記念日でもない。

何もないけれどくれたプレゼント。

彼に言わせれば

「いつも我慢させてる詫びだ」

だそうです。

別に、我慢をしてるつもりはない。

仕事が忙しいのは仕方がない。

彼が大人で、私が子供なのも

変えようのない事実で。

自由なようで自由でない

互いの色んな事情も仕方がない。

だから、我慢なんてしていない。



でも・・・・・・でも、ね?

ほんの少しだけ・・・

ちょっとだけ、ね・・・

寂しいなって、思うことがあるの。



内緒だったのに。

バーダックさんには

いつも見破られる。

私のことなんて

何でもお見通し、なんだよね。

そんなことが

私の寂しいっていう

心の隙間とか、暗い部分を

パァってお日様みたいに

照らしてくれる。

本当に大好きだなぁ・・・。



そんな風に思ってる彼に。

今は何故か追いつめられるいる。

渡されたプレゼント。

嬉々として開けてみれば

そこから出てきたのは

フワフワのネコ耳と

ヒラヒラ、スケスケの

エッチな下着とベビードール。

しかもガーター付き。

しばらく見つめた後

ボンっと音がする勢いで真っ赤になり

思わず彼を振り返れば

ニヤリと口端を上げて

意地悪な笑みを浮かべていた。

そして、着替えさせられて・・・。

今に至るわけです。







「5、4、3、2・・・」



『え・・・ま、待ってぇ!!』



「1・・・0・・・時間切れだ」



『ま・・・あ・・・』



「くくっ・・・焦っても

逃げ場はねえんだ。観念しろ」



『あ、あのっ・・・きゃっ!?』







バンっと扉を開けられて。

プレゼントの中身を

しっかりと着こんだ私を

彼に見下ろされながら見つめられる。

その視線に、恥ずかしさに

顔さえ上げられなくて。

でも、一向に何もしてこない彼に

何となく違和感を覚えて

恐る恐る視線を上げて見ると。



恐い程に見つめられていた。

そのギラついた瞳も

舐めるように向けられる視線も

ニヤリと歪む唇も

全てがとても妖艶で。

全身が熱くなりながらも

彼に魅入ってしまった。







「ああ・・・思ったとおりだな」



『っ・・・え?』



「エロくて、やらしくて・・・

お前に似合ってるぜ、ミルク」



『っ、ひゃぅ!?』







耳元で囁かれて。

その熱い吐息と低音に

変な声が出てしまう。

もう、訳が分からなくて

立っていることもままならず

くたりと彼に倒れかかってしまった。

抱きしめてくれるその手が

背中や腰をイヤらしく撫でてきて

もう、堪らなくなってしまった。







『あ・・・は、ぅ・・・

ん・・・バーダック、さぁん・・・』



「・・・ん?」



『あの・・・ん・・・あの、ね』



「どうした?ミルク」



『んっ・・・あのね・・・

・・・エッチ、したい、よぉ』



「・・・ぶはっ・・・くく・・・

相変わらずストレートだな」



『・・・だって・・・』



「いいぜ?たっぷり可愛がってやる」



『うん・・・あの、ね?』







ひょいと横抱きに抱きあげられ

彼の首にするりと腕を回しながら

少しだけ心配だったことを

そっとお願いしてみた。







『乱暴に、しないでね?』



「ああ?」



『さっき、犯すって・・・』



「ああ・・・・・・不満か?」



『・・・痛いのは、やだ。

恐いのも、やだよ」



「激しいのは好きだろ。

いつもヤラしい声出してんもんな?」



『っ!?もう・・・ばかぁ!!』







言われたことが恥ずかしく

肩口に顔を伏せて

意味のない抵抗をしてみた。

でも、そんな私に

「本当、可愛いな」

なんて、彼からの言葉。



何だろう。

もう、どうなってもいいや。



そんな風に思う頃には

私はベッドの上に下されていた。








〜END〜



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