ワンドオブフォーチュン

□おいしく召し上がれ
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ふわふわ揺れるピンクの髪。

そっと触れるとその柔らかさにときめく。

ゆっくりと髪に手を差し込むと

絡みつくサラリとした感触が

まるで俺の心まで絡み取られるようで。

顔を近づけていくと

仄かに香る甘いその香り。

まるでお菓子のようで

思わず食べてしまいたくなる。

現に今だって・・・。







「んっ・・・ぁ・・・ユリ、ウ、ス・・・」



「・・・は、ぁ・・・何?」



「ん・・・ちょ・・・待っ、てぇ」







深く重ねる唇を僅かにずらして

小さく抗議するルル。

ほとんど無意識に答えたけども

頭には入っていない。

制止の声さえ聞き流してしまって

香りと共に甘い、甘い唇を

食むように貪る。

彼女が何やら言葉を紡ごうとしているのは

よく分かるけれど

今はそれどころじゃないから。

彼女をもっと味わいたくて

もっと感じたくて。

深く合わせる唇の隙間から

ソロリと舌を差し入れて

絡ませていく。

淫らな音が響くけど

舌先から広がる甘さが

俺を酔わせていく。







「ぁ・・・ん、ぅあ・・・あ」







彼女の可愛い声が水音に重なって響く。

俺の中にあった残り僅かな理性が

崩れていくのが分かる。

唇をゆっくり離すと

俺と彼女を銀糸が繋ぐ。

互いの唾液が混じり

彼女の唇が濡れていて

とても・・・扇情的だ。

息を詰めると白い首筋へと

顔を埋めて大きく息を吸い込んだ。

あの甘い香りで体が満たされていく。

熱が孕むのも感じつつ

彼女の体も熱を伴うのが分かった。







「今日のルル・・・すごく、美味しそう」



「っ!し・・・知らない」



「ねえ・・・食べても、いい?」







可愛らしい真っ赤な耳に

囁きを落とすと

わずかに体を震わせた。

こんな反応をされると

我慢なんてできなくなるのに。

唇を押し当ててそっと息を吹きかけて

答えを強請ると

キュッと俺のシャツを握る

小さな手を感じた。







「・・・き、聞かなくても・・・いい、の」



「どうして?嫌じゃないの?」



「だって・・・ユリウスなら・・・

何でもいいの・・・

何、されても・・・嬉しい、から」







ああ・・・

これで、今日はもう君を離せないよ。



壊れた理性と溢れ行く本能を自覚しながら

目の前の彼女を抱きしめる。

俺だけの美味しいお菓子。

君の許しを得た今

もう、俺を抑えられるものは何もない。













〜end〜


 

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