ワンドオブフォーチュン

□拍手(4月)
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陽に透けた透明な青が

キラキラしている。

凍えるような寒さが薄れ

昼間の日向はとても心地いい。

見上げる蒼と煌めく青を

独占する形で

ぼんやりと見上げて見つめていた。



すると、ふわりと

大きな温もりに頬が包まれて

あっという間に

私を赤く染め上げていく。

撫でるその仕種で

私の肌を色づかせることができるのは

きっと彼だけなの。

彼を愛しているから。

彼に愛されているから。







「ルル・・・中に入らない?

風邪、ひいちゃうよ」



「ん・・・・・・もう、少し」



「・・・はぁ・・・しょうがないね」







呆れた物言いなのに

見上げる先にある表情は

何故かとても嬉しそう。

もしかして、私の気持ちに気づいてる?

ただ、お昼寝をしたいわけでも

日向にいたいわけでもない。

貴方と、もっと一緒にいたい。

それだけなの。

もっともっと、一緒に。

決して離れることのないように

片時も離れることのないように。

それだけのこと・・・

でも、それだけのことが

私にはとっても贅沢で

最大の願いでもある。

そんな私の心を

貴方は理解していたというの?







「・・・ルル・・・

もう少し、ここにいていいから。

俺のお願いも聞いてくれる?」



「お願い?」



「うん」



「なぁに?」



「くすっ・・・もっと、一緒にいたい」



「え・・・」



「何だか、足りないんだ。

もっともっと、ルルと一緒にいたい

・・・離れたくない」



「・・・・・・」



「ごめん・・・我儘、だね」







どうして?

私と同じ気持ちでいてくれたというの?

同じタイミングで?

物語やドラマじゃないのに

どうしてこうも私を喜ばすのが上手なの。

怒らせるのも、困らせるのも

同じくらいに上手だけれど。

でも、貴方だから"仕方がない"で

許せているんだからね。



あまりの嬉しさに何も言えず

体を起して傍にある広い胸の中に

思いっきり抱きつくことで

彼への気持ちを返した。



ねえ・・・大好きよ、ユリウス。










〜END〜


 

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