final fantasy

□愛し人
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ふと目を覚ますと

カーテンを開けたままだった窓から

柔らかな陽光が室内を照らしていた。

光加減から

どうやら、いつもよりも

遅い起床となってしまったらしい。

自然と眉間に力が入るも

傍らにある温もりに気づき

また、表情が緩んでいくのが分かった。



今日は久しぶりにもらった休暇。

今日から3日間

のんびりと彼女と過ごそうと

約束していた。

それに・・・。







「ん・・・」



「・・・リノア」



「・・・ん・・・っ?

ぁ・・・スコー、ル?」



「・・・おはよう」



「ぅん・・・おハロ〜・・・ふ、ぁ」







トロンとした瞳で

まだ眠そうに欠伸をするリノアが

幼く見えて。

朝から理性が崩れそうになる。

愛らしいと思うのだが

こう、溢れる欲に身を任せたくなる。

リノア限定で俺は我慢がきかないようだ。



体を起してベッドから降りると

タオルと着替えを持って

バスルームへと向かった。







「スコール、もう起きるの?」



「・・・今、何時だと思う?」



「え?・・・・・・えっ!?

も、もう10時前!?」



「・・・約束の時間まであと1時間ないな」



「う、うそ〜!

スコール、何でもっと早く

起こしてくれなかったの!?」



「俺もさっき起きたばかりだ」







俺はバスルームにタオルを二枚と

自分の着替えを置いて

そのままベッドから起き出そうとしてる

リノアの元へと戻った。

慌てるリノアに制止をかけて

俺のシャツをはおっただけの彼女を

横抱きに抱き上げた。







「え!ス、スコール?」



「時間もないし、一緒に入るぞ」



「入る、って・・・?」



「シャワー、リノアもするんだろ?」



「!い、いい!!後で、私はっ・・・」



「おい、暴れると落ちるだろ」



「やぁ・・・ひ、一人で入るから!!」



「・・・今更何が恥ずかしいんだ?

散々、見てるだろ?昨夜だって・・・」



「あ、朝から恥ずかしいこと

言わないで!」







照れから暴れるリノアに

口づけを一つ落とすと

より真っ赤になって大人しくなった。

それを良いことに

そのままバスルームへと入って行った。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





結局一緒に入って

知りつくした彼女の柔肌を

丹念に洗い堪能した。

恥ずかしがっている彼女も

堪らなく可愛くて。

それこそ洗う以上のことに

進展してしまいそうなのを

何度も堪えるのが大変だった。



諸々をなんとかクリアした俺とリノアは

いつもよりもフォーマルな装いで

エスタを目指して出かけた。



エスタに着いた頃には

既に昼を軽く過ぎていた。

それでも、レストランの予約には

まだまだ時間はある。

とりあえずホテルへ向かい

荷物を置くこととなった。

予約していたのは

最高クラスのスイートルーム。

リノアが好みそうな

可愛らしくも煌びやかな内装で

ベッドは二人で寝ても足りる程の

キングサイズ。

バスルームだけでも

ガーデンの俺の部屋が入りそうな程で

キッチンもついているこの部屋は

日常とはかけ離れた気分にさせる。







「わぁ〜!!すごいね!!

こんな素敵な部屋、予約とるの

大変だったんじゃない?」



「ああ・・・本当は

もうワンランク下の部屋だったんだ。

けど、予約した時に

調度キャンセルが出たって」



「そうなんだ・・・ふふ・・・

ラッキーだったね!」



「・・・ふっ・・・そうだな」







とても嬉しそうにはしゃぐリノアを見て

俺も嬉しくなる。

荷物を置いてとりあえず

買い物にでも、と

リノアに声をかけると

また、嬉しそうに飛びついてきた。



今日は、特別な日だ。

普段遠慮がちな彼女を

目一杯甘やかしてやるつもりだ。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「ねえねえ、どっちが似合う?」







リノアとショッピングモールへと来た。

賑わう中、今いるのはブティック。

今日のレストランへ行く為のドレスを

買うつもりだ。

フォーマルドレスは今も着ているが

せっかくだから新しいものを購入し

全身コーディネートすることにした。







「・・・どっちも似合う」



「え・・・あ、そ、そうじゃなくて!

ど、どっちか選ばないと・・・」



「そうだな・・・」







今リノアが持ってるドレスは

一つは深紅のドレスで

大きく胸元も開いていて

スリットも深く入っている。

もう一つは濃紺の光沢生地のドレス。

膝丈でふんわりとしたスカートだが

こちらは胸元と背中まで

大きく開いている。



どちらもリノアに似合う。

だが、このどちらかを着たリノアを

他の男の目に晒すのは

ムカつき過ぎる。

絶対に避けたいところだ。

かといって地味なドレスをと探すも

こんなところに置いてあるはずもなく。

リノアに似合う綺麗なものを

身につけさせたいのが

正直な俺の気持ちでもある。



考えるフリをしながら

周囲に視線をやると

ふと視界に入ってきた一つのドレス。

深紅のと同じロングドレスだが

こちらは淡い水色。

露出は大差ないが

胸下で切りかえられていて

大きめのウエストのリボンがあり

どちらかというと可愛らしい印象がある。

ストールも付いているようだ。







「リノア・・・こっちはどうだ?」



「え・・・これ?

キレイな水色・・・

スコールは、これがいいの?」



「・・・ああ、これの方が

お前に似合うと思う」



「ん〜・・・じゃあ、これ着てみるね」







そう言って俺が選んだ

水色のドレスを持って

店員に案内され

試着室へと入って行った。

リノアに似合うだろうそのドレスを着た

満面の笑みで佇むその姿を想像し

柄にもなくニヤけてしまいそうになった。












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