final fantasy

□恋 人
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響き渡る轟音。

赤い機体がゆっくりと着陸し

タラップが下される。

だが、それよりも早く

飛び出して来たのはスコール。

ガンブレードと必需品のみの荷物は

他のゼルとアーヴァインに比べ

簡易的ではあった。

その僅かな荷物を持ったまま

着陸ままならないラグナロクから

一気に飛び降りたのだ。

普段の冷静沈着、クール過ぎる

絶対零度な彼ではなかった。

一体、何が彼をこんな風にしたのか。

それは・・・。







「あ・・・スコール〜!」



「リノア!」







駆けて行くスコールの先に居たのは

出迎えに来ていたらしいリノア。

ただ、リノアのその頬を

涙が濡らしていて

表情も僅かに悲しげだ。

そんなリノアを見るなり

スコールもまた表情を険しくし

荷物を地面へ放り出して

柔らかな体を抱きしめた。







「・・・すまない」



「ううん・・・私が、悪いの」



「いや・・・俺が、もっと

リノアの話を聞いてやるべきだったんだ」



「だって、スコールはお仕事でしょ?

無理はしてほしくないよ」



「そんなこと気にしなくてもいい。

・・・俺は、リノアといれば

疲れなんて吹き飛ぶ・・・

だから、少しの時間でも一緒にいたい」



「スコール・・・」







互いに見つめ合うと

更に確かめ合うかのごとく

しっかりと抱き合う二人。

その様子を

やっとラグナロクから下りて来た

被害者ともいうべき男二人。

目の前で繰り広げられている

バカップルの甘〜いラブシーンに

乾いた笑みしか浮かばないアーヴァイン。

そして、顔を真っ赤にしながら

動揺しまくるゼル。







ア「あはは〜・・・

完全に二人の世界だね」



ゼ「こ、こんな、人前で何やってんだよ。

っていうか・・・この流れって

報告書とか諸々は・・・」



ア「・・・うん。

頑張って二人で終わらせよう、ゼル」



ゼ「やっぱそうだよな〜」







そんな会話が成されていることも

抱きあう二人の耳には届いていない。



スコールが何故あんなにも慌てていたのか。

それは、任務の前にリノアと喧嘩になり

そのまま出発してしまったから。

その後、最後に見たリノアの泣き顔が

脳裏をチラつき気になり

尋常でないスピードで任務をこなし

ありえない速度で

ラグナロクをぶっ飛ばして帰還した。

それに付き合わされた

哀れな男二人は

巻き込まれるのはこれが初めてではなく

度々あるようだった。



こうなってしまっては

他のことなどどうでもよくなってしまう

それがバラムガーデン名物バカップル。

なので、今回も後処理は全て

アーヴァインとゼルが行うこととなる。



気落ちするゼルを連れて行きながら

アーヴァインは

喜びを露にする二人の姿を

そっと見つめて

柔らかく微笑むのだった。











〜END〜


 

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