final fantasy

□Valentine(2012)
1ページ/1ページ







「カイン!」



「・・・何だ?」



「あの、ね・・・・・・はい!」



「・・・・・・」



「ローザから、ね。教えてもらったの。

今日はバレンタインっていう日だって」



「・・・・・・それで?」



「大好きな人にチョコを渡すんだって

ローザが教えてくれて

それで、一緒に作ったの」



「・・・・・・」



「私の一番大好きな人はカインだけど

セシルとギルバートは

お兄ちゃんみたいで好きだし

エッジはお友達だから好きだし

ヤンはお父さんみたいで・・・」



「ようするにお前は

俺以外にも誰彼構わず

配ったってことだな」



「?でも・・・

好きな人にしかあげてないよ?」



「・・・・・・お前は

そんなに大勢好きなヤツがいるんだな。

だったら俺は、それは受け取れない」



「えっ・・・」



「・・・俺が欲しいのはソレじゃあない。

ソレはいらない」



「っ・・・なん、で?

・・・・・・迷惑、だった??」



「・・・お前の言う好きと

俺の好きはイコールにならない」



「?どういう、意味?」



「俺が想ってる好きは

お前のように分け隔てなく

大勢に向けられるようなものじゃない。

たった一人にしか向けないし

その一人にだけ

全身全霊で想いを寄せている。

・・・だから・・・

大好きな皆の中に、俺を含むというなら

俺はお前の気持ちを受け取れない」



「違うよ!!」



「・・・何が違う?」



「確かにみんなのこと好きだけど

それは、仲間としてってことだよ。

みんなのことは好きで

そこにはローザとかポーチカも

入ってるけど・・・

カインは違うもん!!」



「・・・・・・」



「みんなのことは"好き"だけど・・・

カインのことは"大好き"で

みんなと一緒じゃないよ。

カインは特別で、カインだけだもん。

カインだけがこんなに一杯

ドキドキさせるんだよ!!」



「・・・そうか」



「そう・・・・・・・・・?

カイン、嬉しそう??」



「・・・ソレは、皆とは違うのか?」



「・・・みんなに渡したのは

ローザが用意してくれた

お城のシェフが作ってくれたものなの。

お菓子作りなんて

初めてだから失敗して

・・・でも、ね。

他のみんなには

それでもいいって思ったけど

カインにだけは、どうしても

手作りを渡したくて。

ローザに無理言って

一杯作り直して・・・」



「・・・開けてもいいか?」



「・・・うん・・・

チョコクッキー、なの」



「・・・初心者のくせに

また難しいものを選んだな」



「え、難しいの??」



「はぁ・・・初めてなら

チョコを溶かして

固めるだけですむものが

いろいろあるだろう?

型に流し込むとか

丸めてトリュフにするとか」



「そっか・・・

カイン、やっぱり詳しいね」



「・・・今度教えてやる」



「ホント!?ありがとう!!」



「・・・ああ・・・

・・・見た目は悪くないな」



「・・・うん」



「自信なさげだな」



「・・・だって・・・

一杯、失敗した、から・・・」



「・・・・・・・・・ん、美味い」



「!ホン、ト?」



「ああ・・・多少焦げてるが問題ない。

あまり甘すぎないし、俺好みの味だ」



「はぁ・・・良かったぁ」



「・・・まあ・・・」



「?」



「・・・お前が作ったものなら

何だって美味いに決まってる」



「え・・・そんなこと・・・」



「そんなことある」



「どうして?」



「・・・俺がさっき嬉しそうにしていた

その理由がそれだ」



「?え?・・・え??」



「くくっ・・・

お前の事が大好きで

堪らないってことだ」



「っ!?!!」



「リディア・・・愛してる」



「あっ・・・・・・ぅ・・・

わ、私・・・も・・・愛、して、ます」










〜END〜


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ