final fantasy

□蒼と碧の輝き
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煌めく海と澄み渡る空。

陽の光を浴びて、サワサワと揺れる緑葉。

夏を表すそれらは

緑の木漏れ日を並木道に注ぎ

楽しそうに歩く男女を包み込んでいる。   

   




「ふふっ・・・早く!こっち、こっち!」



「・・・転ぶなよ」   

   





この童女のような無邪気さを

漂わせる美女はエアリス。

そして、そんな彼女を見守るように

後方を歩くのはクラウド。

今日はクラウドの仕事が休みということで

久しぶりにミッドガルを出て来たのだ。   

   




「だいじょ〜ぶ。

転んでもクラウドが受けとめて・・・・・

キャッ!?」



「!!!!」   

   





後ろを向きながら歩いていたエアリスは

クラウドに注意されたにも関わらず

躓いてしまった。

しかし、クラウドが素早く

エアリスに駆け寄り抱きとめた。   

   





「はぁ・・・・・・

まったく、言ってるそばから・・・」



「ほら、ね?」   



「えっ?」   



「ちゃんと・・・クラウド

受けとめてくれた、でしょ?」   



「・・・・・・いつもとは限らない」   

   





クラウドはそう言うと

エアリスを立たせ離れて歩き出した。

エアリスもクラウドの後ろを

ゆっくりと歩き出した。   

   





「ううん・・・そんなこと、ないよ」   



「えっ・・・」   



「ピンチの時、必ず助けに来てくれる。

どこにいても、必ず来てくれる。

クラウドは・・・そうして私のこと

何度も助けてくれたもん・・・

・・・そうでしょ?」   

   





エアリスの言葉にクラウドは振り返った。   


彼女は優しい微笑みを放ち

彼を静かに見つめていた。

あまりにも柔らかくて

あまりにも愛しくて・・・

クラウドは見惚れていた。   

いつも微笑み他の者を見守る彼女。

そんな彼女をいつも傍で見守っている。   

こんな風にお互いを想い合えるまでに

二人は幾つもの困難を

支え合い乗り越えてきた。

クラウドは自分でも気づかない内に

優しい笑みを浮かべていた。

エアリスを想うと心が満たされるのを

クラウドはいつも感じている。   

   





「私だけじゃなくて、ティファや

たくさんの人達も助けてきたよね。

正義の味方?

ホントに、クラウドはヒーローだね!」   


「・・・・・興味ないね」   



「えっ?」   



「正義の味方だとかヒーローだとか

俺には興味ない。

ましてや他の奴らとか、全く関係ない。

たまたま危険な場面に出くわして

その危険を回避した結果が

助けたことに繋がった・・・それだけだ」   

   




クラウドは、歩きながら

当然のことだとでもいうように

後方のエアリスに言い放った。   

その言葉にエアリスは、頬を膨らませた。   

   




「なんでそんな言い方するのかなぁ・・・」   


「・・・・・・だけだ」   



「えっ・・・?」   



「俺が本気で助けたいとか

何をしてでも守りたいと思うのは・・・

アンタだけだ」   

   





エアリスはクラウドの顔を見上げた。   

彼の頬はうっすらと紅く染まっていた。   

クラウドはエアリスに見られたことに気づいて

口元を手で隠しながら顔を逸らした。   

エアリスはそんな彼を見て

彼が好きな花のような

満面の笑顔を見せた。   

   





「クラ〜ウド」   



「・・・何だ?」   



「大好き!」   



「!?・・・・・俺も、好きだ」   

   





照れながらも気持ちを

言ってくれることが嬉しくて

エアリスはクラウドの腕にするっと腕を絡めた。

二人は並木道を抜けて

町まで戻ることにした。

たまにはこんな風に

のんびりした時間も悪くはない。   

   



蒼い光と碧の優しさが交わり

夏の暑さにも劣らない二人の熱さが

互いの心を包み込んでいった。








〜end〜


 

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