final fantasy

□君のその心は・・・
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「ねえ・・・傷つけてしまうこと

避けられないってわかってて・・・

どうしようもなく傍にいたいって思ってしまったら

・・・どうしたら、いい、かな?」   

   

          

        

突然の質問。   

なかなか寝付けなくて

一緒に星でも見ようと彼女に誘われた。   

激しい戦いが続いていたせいで

星を見るなんて穏やかなことを   

ここしばらくは思いもつかなかった。   

彼女に誘われるまま

就寝する皆の傍から少し離れて   

暗い闇に浮かぶ小さな光を二人で見上げていた。

そんな時に、突然彼女からされた質問。   

        

         

          

「・・・どういう意味だ?」       

          

「そのままの、意味。

きっと、自分が傷つけてしまう・・・

ちゃんとわかってるの傍にいたらいけない、って。

わかってるのに・・・

私は、ずっと傍にいたいって望んでる・・・

ダメだってわかってるのに・・・」   

          

「・・・・・」   

           

「その人には、ちゃんと幸せになって欲しい・・・

その為には、私がいたらいけないの。

でも・・・・・離れてしまうことなんて

考えられない、の」   

        

          

             

彼女の戸惑いと悲しみが溢れる声を聞きながら

俺の心に沸々と湧き上がる何か。   

何か?白々しいな。   

本当はわかってる。

ただ、認めたくないだけだ。   

          

           

          

「幸せを願いながら

傷つける行為を望むなんて、矛盾、してるね」   

         

「・・・・・」   

          

「でも、その人のこと・・・

本当に大切、なの。

だから・・・私にできること、全部で

守れたらって、そう思うの」   

        

           

             

・・・やめろ。これ以上、聞きたくない。   

彼女の俺以外に抱く想いなんて

聞いていたくない。   

所詮俺は、一緒に戦っている仲間。

守ってほしいと依頼された   

ボディーガードとクライアントの関係。   

それ以上にも以下にも思われてはいない。

ましてや、俺が思ってほしいと   

望むような感情でなど

見てくれることはありえない。   

   

         

           

「・・・クラウド?」   

       

「!?・・・なんだ?」   

        

「えっ・・・ずっと、黙ったまんまだから

どうしちゃったのかなぁって、思って・・・」   

         

「・・・なんでもない・・・それで?

アンタはどうしたいんだ?」    

    

        

          

ああ・・・馬鹿だな、俺は。   

こんなことを聞いてどうする。   

さっきから彼女に聞かされている想いに

苛つき余裕なんてない程に嫉妬しているくせに・・・。   

これ以上、彼女の想いを聞くことになると

わかって尚もこの話を聞こうとする自分。   

何故?・・・理由なんて最初から決まってる。

嫉妬する自分を理解してる時点で

わかりきっている自分の心。   

ただ、彼女といるこの時間を

この空気を・・・もっと感じていたい。   

   

          

          

「うん・・・本気で、傍を離れようかとも思ったのよ?

・・・でも・・・自分の気持ちに

嘘、つくこともしたくない、から」   

         

「・・・ああ」   

         

「だから、ね?自分に、正直になることに、決めたの」   

          

「・・・そう、か」   

          

「だから・・・ね、クラウド」    

    

         

          

急に俺の目の前に迫り、名前を呼ぶ彼女。   

必要以上に近づいた顔が

可愛いとか、触れたいとか   

そんな何ともいえない不純な想いを湧き上がらせる。    

そんな俺の心の内に気づかない彼女は

いつもと少し違う   

頬をうっすらと赤く染めて

照れるような表情で微笑んでいた。   

思わず・・・見惚れてしまった。   

   

         

         

「私、傍に、いても・・・いい?」   

         

「・・・えっ?」   

   

        

         

一瞬何を言われたのかわからなかった。    

そのせいで、返事が遅れてしまい

おまけに間抜けな声しか出なかった。   

   

        

         

「もう!私、真面目なんだから、ね!」   

        

「あ、ああ・・・じゃなくて!

エアリス・・・誰の、傍にいる、って・・・?」   

        

「・・・クラウド」   

        

「・・・・・」   

           

「やっぱり、ダメ?やっぱり・・・

ティファで、なきゃ、ダメ?」   

            

「な!?そんなことない!

何でここでティファが・・・

いや、あの・・・駄目なはずがない」   

    

        

         

俺は目の前の小さな彼女の体を抱きしめた。

この腕の中にすっぽりと納まる彼女は

本当に小さくて、少し力を入れると    

壊れてしまいそうで・・・。    

この小さな体で

たった一人大きな運命を背負っているのだと

改めて気づいてたまらなくなり・・・

抱きしめる腕に知らず力が込められる。   

   

         

          

「アンタが・・・いい。

・・・・・エアリスが、いい。

・・・エアリスでないと駄目、だ・・・」    

         

「ホント?」    

          

「・・・嘘で、こんなこと、言えるはずがないだろ」   

          

「くすっ・・・そうだね」   

   

         

         

彼女の楽しそうな声を聞きながら

自分が彼女に向けて言った言葉に    

今更ながら照れて・・・

でも、どこかホッとしてるのも事実で。   

今自分に向けられている彼女の想い。   

コレをなんとしてでも引き留めないといけない。

そんなことを思いながら

彼女の体を更に抱きしめた。 










この瞬間・・・・・

彼女が感じていた焦燥感にも

先に待つ別離にも気づかずに・・・。   









 

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