final fantasy

□ボクノモノ
1ページ/1ページ








「ライトさん」    

      

「ん?どうした?ホープ」     

      

     

     

急に大きな声で名を呼ばれたライトニングは

驚きながらも呼ばれた方へと振り返った。

そこにはいつものような無邪気な笑顔ではなく

無表情で冷たい瞳を称えたホープがいた。

普段とは違う様子とその瞳の鋭利さに

ライトニングは思わずたじろいでしまった。      

        

       

       

「どうかしたのか?・・・・・ホープ?」       

        

        

       

できるだけ相手を刺激しないよう

普段よりも柔らかな口調で      

名を呼んでみたライトニング。      

しかし、呼ばれた本人は無言のまま俯いている。

ライトニングの名を呼んだきり

何も話そうとしない。      

どうしたものかとライトニングが困り果てていると      

急にホープが近づいて来た。      

突然の行動にライトニングは

ピクリと体を揺らしたが        

ただ目の前の少年の行動を見守っていた。      


ホープは触れ合える程にライトニングに近づくと

無表情のまま彼女を見上げ

フッと口元を緩めた。     

だが、見上げるその瞳は

未だ冷えた鋭さを保っている。      



ライトニングが目の前の少年の

瞳の奥にただならぬものを感じ取ったその瞬間。

腕を掴まれ引き寄せられた

ライトニングの唇に柔らかい感触が重なった。

視界に広がるホープを認識して

やっと今少年に口づけられているのだと理解した。        

        

         

        

「何を・・・・・んっ・・・ぅ・・

・・・ん、ん・・・ふ、ぅん・・・

ぁ、っ・・・ん・・・」     

         

        

        

触れるだけのものから

角度を変え深くされた口づけに       

ライトニングは翻弄されていた。      

7つも年下の少年という響きが合うようなホープに      

今の自分は抵抗も拒否も出来ないでいる。

ライトニングは悔しさを感じたが

それも初めの内だけ。     

後にあるのは与えられる羞恥と

溺れるような快楽。      

ちゅっ・・・と淫らな音を

わざと奏でるホープに耳からも侵される。       


長い口づけから解放されたライトニングの唇は

互いの唾液で潤いホープの唇とを銀糸が繋いでいた。     

力が抜けたライトニングは

ホープに縋るようにして     

膝から崩れ落ち座り込んでしまった。

そんな彼女を支えながらホープは息一つ乱さずに

口端を釣り上げ自分に縋る

ライトニングを見下ろしていた。

      

        

       

「ん、ぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」      

        

「・・・ライトさん」     

      

「は、ぁ・・・い・・・き、なり・・

・・・何を、するん、だ・・・はぁ・・・」       

       

「・・・ライトさんが、悪いんですよ?」       

       

「なっ・・・・・!?」      

       

        

        

ライトニングの抗議の言葉は発せられなかった。

ホープは座り込むライトニングに

屈み込むように顔を近づけた。       

また、口づけられると思った

ライトニングはキュッと目を瞑った。

しかしホープは口づけることはなく

ライトニングの柔らかな髪、そして頬に触れた。

触れられた瞬間に目を見開き

見上げたライトニングの目に映ったのはホープの笑み。      

ただ・・・・・いつもとは違う。

違和感がある。       

口元は孤を描いているのに、目が・・・・・

瞳の奥が笑っていない。      

言い知れぬ恐怖にゾクリと悪寒が走る。       

        

        

        

「さっき・・・スノウが触ったでしょ?

この髪を・・・」       

       

「えっ・・・」      

       

        

         

それはさっきの戦闘後のこと。       

戦闘を終えたスノウが

ライトニングの髪についた砂埃を払ってくれた。

いきなり触られたので何事かと

驚いたライトニングだったが      

スノウの親切心に素直に礼を言った。

その場面を同じく戦闘に参加していたホープは見ていた。       

         

         

          

「あれは・・・髪についていた

砂埃を払ってくれた、だけだ・・・」       

        

「ええ・・・そうですね・・・・・でも、ライトさん?」       

       

「な、んだ・・・」       

         

「僕より先に・・・スノウなんかに触らせたでしょ?」      

       

「えっ・・・」      

       

      

       

次の瞬間、ホープはライトニングの体を押し倒した。      

そして、自分はライトニングに跨った。

突然の事に混乱し始めるライトニングだが

なんとか頭を働かせながらホープに留まるよう訴えた。

         

        

        

「ホ・・・ホープ!待てっ・・・」       

       

「ねえ・・・ライトさん?」       

       

       

        

ホープは嵌めていたグローブを取り外し

首にまいていたスカーフも外して

ライトニングの顔の横に両手をつき覆い被さった。      

迫りくる少年はライトニングが知る

無邪気さや純粋さ等微塵も感じられない。

今覆いかぶさるホープはただの「男」だ。     

       

        

          

「ぁ・・・・・ま・・・って・・・・・」       

        

「僕も”男”・・・なんですよ?

自分以外の男が貴女に触れれば嫉妬もします」         

        

        

        

狂気ともいうべき空気を纏うホープ。

戸惑い震えるライトニングを

楽しそうに見つめながら       

ゆっくりと顔を近づけてきた。      

唇に吐息がかかる程の近さに

ライトニングの頬は淡く染まっていく。        

         

        

         

「いい加減、自覚して下さいね?

・・・・・貴女は”僕のモノ”ですからね」       

        

         

          

その呟きにも似た言葉を最後に

ホープからの口づけが一つ、また一つと

ライトニングの唇におとされていく。

それは彼女が「自分は誰のものなのか」を

深く理解するまで続いた。








 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ