final fantasy

□きっと、始まる
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『俺を憎む権利はお前にはある』       

        

『・・・お前のことを教えろ・・・・・

お前のことを知りたい』       

         



彼に言われたこの言葉。        

少し気になる存在から・・・

心から想う相手へと変わったきっかけ。



今まで知らなかった。       

こんなにも一瞬で・・・

誰かを強く想うようになるなんて。      

これが・・・恋なのだと

私は本能的に知っていた。         

             



私は・・・・・カインに、恋してしまったんだ。         

              


けれど、カインが好きなのは、私じゃない。

私は、その人のように・・・大人ではない。

私は、その人のように・・・美人ではない。

私は、その人のように・・・

彼を喜ばせる方法を知らない。        

私は・・・その人のように、彼のことを知らない。       

           

比べることじゃないことは

私が一番分かってる。       

でも、私は・・・彼に笑って欲しい。

その人を見た時と同じように

柔らかな表情でいて欲しい。

私を見る、罪の意識や懺悔の心に

囚われたものじゃなく。         

私にも優しい笑顔を向けて欲しい。

ずっと心にあった願い。望み。希望。

どうして、そんな風に思うのか

・・・ずっと分からなかった。        

でも、彼と気持ちを交わす内に

・・・やっと、分かった。       

だからこそ、私はあの時彼に伝えた。           

           


『カインも傷ついてるって・・・

今の私なら分かるよ・・・・・

憎んだり、恨んだりって・・・

される方もする方も、辛いんだよ?』


          
『もっとカインのこと・・・知りたいの』         

           


偽りなんてない。

ありのままの私の気持ち。         

彼のこと・・・一番理解したいから。

もっと、知りたい。       

もっと、教えて欲しい。        

そう・・・これが、恋なんだと

・・・やっと、分かった。         

           



今はこの抱いた恋する気持ちを

伝えようとは思わない。       

やっと、彼を知ることを許されたのだから。  

そして・・・彼も

私を知りたいと言ってくれたから。      

知ろうとしてくれているのだから。

だから・・・伝えない。         

きっと・・・まだ、始まったばかりだから。

ゆっくりとこの淡いものを

濃く確かなものへ・・・。

彼と一緒に育てていきたい。       

戦うこと以外にできた、私の生きる希望。       

           

         

           


 

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