final fantasy

□伝えるには遅すぎて
1ページ/1ページ








「エアリス・・・」            

            

         

          

眠るように横たわる君に呼びかける。         

         

          

         

「・・・・・エアリス」          

         

         

         

閉ざされた瞳。       

結ばれた唇。      

温もりを失った頬。      

触れた指先から伝わる。        

残された温もりと広がりゆく冷たさ。         

         

       

         

「・・・エアリス・・・」       

       

      

       

何度も君の名を呼ぶ。     

どうしたんだ?        

いつものように笑って・・・

俺の名を呼んでくれ。       

宝石のような瞳と愛らしい声で・・・

満開の花のような笑顔で。       

        

        

         

「・・・エアリス・・・迎えに、来たんだ」        

        

        

        

君と片時も離れたくないと・・・

ここまで追いかけてきたんだ。

君と共に・・・

君をこの手に・・・

そう、心に決めて。          

          

君を傷つけてしまった自分が

‘‘何者’’なのかも分からくて・・・

不安だらけで壊れそうになった。       

けれど君は、俺の好きなあの笑顔で・・・



『貴方は自分のことだけを考えて』

            

そう俺に言った。        

ああ・・・・・いつもそうだった。

自分のことより周りのこと。

自分のことは後回し。       

神羅に狙われ、膨大な宿命と

重荷を背負っているというのに。

いつだってそんなこと微塵も感じさせず・・・

笑っていた。         

俺の隣にいてくれた。        

いつも気づけば、すぐ傍にいた。


           
そんな君に・・・

俺がどれだけ救われていたのか・・・

惹かれていたのか、君は知っていたか?        

       

         

          

「・・・エアリス・・・・・・好き、だ

・・・好きなんだ、エアリス」            

           

          

          

こんな形で伝えたかったわけじゃない。

こんな君に伝えたかったわけじゃない。 
           
‘‘別れる’’ためではなく

‘‘隣にいる’’ために伝える言葉。       

             


それは・・・・・・・・・もう、叶わない。         

          


君の笑顔を失くしたくなくて         

君の笑顔を守るため・・・

・・・そのことだけを考えていた。

それなのに・・・

・・・俺は守れなかった。       

           








君を長刀で貫いたアイツ・・・        

君を傷つけた俺・・・         

きっと、変わらないんだ。              

          

         

           

           

              




ああ・・・君の笑顔を永遠に奪ったのは、誰? 











 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ