final fantasy

□キミヘノキモチ
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「・・・ライトさん」



「分かった・・・いや、分かってる」



「どこがですか!」







アルカキルティ平原を探索中の一向。

今までの敵とは比べ物にならないくらいに強い。

そこかしこをうろつく強敵にも

幾度かのバトルで慣れてきていた。

そして、バトルを終えたホープが

何気なくライトニングに目を向けた。

目に飛び込んできたのは

彼女の右腕から滴る真っ赤な雫。

どこか怒りを滲ませた表情のホープは

戸惑うライトニングの腕を掴み近くの岩陰に無理やり座らせた。

そして、冒頭の台詞を浴びせた。







「いつも言ってますよね?

無茶はしないで下さい、って」



「私は・・・自分の力量を把握している。

それ以上のことはしていない」



「そうですね。そんなことは僕だって分かってますよ。

ずっと・・・傍で見てきたんですから」







手当てをしながらあまりにも愛しげに呟かれ

ライトニングは柄にもなく顔を赤く染め上げた。

時々こんな感情が湧き上がる。

ホープが笑いかけてくれた時。

ホープが名前を呼んでくれた時。

ホープが傍にいてくれた時。

泣きたくなるような胸が締め付けられる苦しみ。

傍にいるだけで心が満たされる温かさ。

人は・・・こんな気持ちを何と呼んでいるのか

彼女には分からなかった。

そんなライトニングを知ってか知らぬか

ホープは気にせず言葉を続けた。







「貴女は自分のことをよく理解していると

よく分かっていますよ。

でも・・・だからこそ

一人で何でも片づけてしまうのだということも」



「えっ・・・」



「ライトさんの実力は僕も分かっています。

僕が助けるよりも貴女一人の方が

手っ取り早いのだということも分かります」







そう言いながら紡がれる言葉の端々に

怒りが見え隠れしている。

ライトニングはわけが分からず

ただ黙ってホープを見つめることしかできなかった。







「それでも・・・・・

僕は、ずっと貴女の傍にいた・・・

僕だって出会った頃よりも

力をつけました・・・だから・・・」



「・・・・・」



「・・・僕が言いたいこと、分かりますか?」







そう問いかけてくるホープに

俯いていた顔を上げると目の前にまで近づいていた。

ライトニングはその近さに先程よりも赤く頬を染めた。

膝立ちになっているホープは

自然とライトニングを見下ろす形となり

彼女のなかなか見ることのできない

真っ赤な戸惑うその表情に口端を釣り上げた。







「・・・ライトさん?」



「そ・・・んな・・・分から、ない・・・」



「・・・頼って、欲しいんです。

貴女を守りたいと言ったでしょう?

その気持ちは今も変わりません。

・・・貴女を守りたい・・・

僕が守りたいんです・・・

他の誰かではなくて・・・この僕が・・・」



「ホープ・・・」



「まだ・・・分かりませんか?」







笑顔を向けられた時。

名前を呼ばれた時。

傍に寄り添ってくれた時。

胸の高鳴りを感じたのはホープにだけ。

ライトニングはホープからの問いかけで全て理解した。

ホープにだけトキメク理由も。

ホープが自分にだけ向けてくる熱い視線の意味も。

今この瞬間、胸に湧きあがるこの想いのわけも。







「ホー、プ・・・私・・・」



「・・・僕に言わせて下さい・・・

ライトさん・・・貴女のことが、好きです」



「・・・私も・・・

お前のこと、が・・・好き、だ」







瞳を潤ませたライトニングが

ゆっくりと腕をホープに伸ばした。

その前にホープがきつくライトニングを抱きしめた。

包まれて感じる温もりと鼓動。

曖昧だった想いが鮮明なものへと変わる。

互いの想いを確かめ合ったこの抱擁に

互いを守りたいと決意した

あの日を思い出していた。










〜end〜


 

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