final fantasy

□愛しき人〜愛する貴女へ〜
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柔らかな髪。

真っ直ぐな瞳。

滑らかな肌。

艶やかな唇。

ああ・・・僕の視界に入る貴女の全てが

僕のなけなしの理性を壊していく。



貴女が生きてきた時間に比べれば

本当に些細な時間かもしれない。

それでも、貴女を知るには

十分な時間を共に過ごした。

その中で・・・惹かれた。

不安や弱さを押し隠し強さを溢れさす貴女。

弱音など決して言わない。

凛と前を見据える姿勢。

自分の意思を曲げない強さ。



「守る」と言ってくれた時は

本当に嬉しかった。

貴女の視界に僕が入っていると思えたから。

でも・・・・・僕は知っている。

その裏で貴女が幾度となく

傷ついていたことを。

身体的に・・・それよりも精神的に。

自身の体をソっと抱きしめ

涙をこらえていたことを。

そして、吹き抜ける風に

漏れ出す弱さを紛れさせていたことを。

音として捕えることのできない言葉。

僕には確かに届いていた。



なんて・・・・・強く・・・

脆い人なのだろう。

「守りたい」と、そう思った。



貴女の背を追いかけることが

当たり前になっていた。

でも、貴女の弱さを垣間見た瞬間

強くそう思った。

今まで抱いたことのない

この溢れる熱い想い。

知らなかった。

自分の中にこんなにも熱く、激しい

狂おしい想いが存在していたなんて・・・。





いつからだろう・・・。

「守りたい」から

「触れたい」と望むようになったのは・・・。

貴女を汚すことばかりが

体の中を渦巻くようになったのは。



貴女の控えめな笑顔が見たい。



「その笑顔を壊して泣かせたい」。



貴女が傷付けられることのないように。



「いっそ、僕が傷つけてしまおうか」。



貴女の心を真綿に包むように

僕が抱きしめてあげたい。



「その脆い心を

バラバラに砕いてしまいたい」。



相反する想いが汚れた「欲」となって・・・

僕の心を浸食していく。

守りたいと思うのは本当で・・・

でも・・・

触れて汚してしまいたいと思うのも本当。

今まで知らなかった、こんな想い。

どうすれば良いのかなんて分からない。

でも・・・貴女の傍にいたいという

この想いだけは確かだから。





だから、どうか・・・

傍にいることは許して欲しい。

たとえ貴女が僕を仲間以上に

想うことがなくても。

その為なら・・・欲に塗れた心に蓋をして

幾重もの鎖で封印する。

僕のこの醜い心に気づくことなく

・・・どうか・・・できることなら

貴女の隣で肩を並べることを

許してくれますか?
















〜END〜


 

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