final fantasy

□愛しき人〜キミへの不確かな・・・〜
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アイツに・・・ホープに「守る」と、言った。

そう言って抱きしめると

今度はホープから「守りたい」と言われた。

他でもない・・・この、私を。





出会って間もない頃は

弱くて、脆くて・・・

私の後ろを懸命について来た。

まだ、少年なのだ・・・そう心で言い聞かせ

手を差し伸べた。

そう・・・この時は

少年だと、思っていた。

実際、そうだったのだ。

けれどそんな彼を

共に過ごし、共に戦い

母親の復讐へと駆り立ててしまった自分。

後悔と自責の念が溢れた。

復讐など意味がない・・・

私の想いになんとか耳を貸してほしくて

訴えていた。



戦い方を・・・

心の持ち方を・・・

強くある方法を・・・

私が彼に伝えようとしたのは

復讐させる為ではない。

その手を汚させる為、なんかではない。





自分のことで精一杯だと思っていたのに。

いつの間に彼の存在が

私の中にあったのだろう。

こんなにも大きく、心の中にあるなんて。

私を支えていたのはセラだと思っていた。

それは、今でも変わらない。

でも・・・セラを思う気持ちの

心のずっと奥にある彼への気持ち。

彼の声。

彼の笑顔。

彼の手。

彼の温もり。

少年だと思っていた彼は

いつの間にか一人の仲間となって・・・

一人の男となっていて。



彼の声に・・・するべき事を気づかされた。

彼の笑顔に・・・いつも安らぎを感じていた。

彼の手に・・・知らず守られていた。

彼の温もりに・・・このまま

ずっと傍にいられたらと、そう思ってしまった。



今、私の隣にいるホープは

初めて会った頃よりも大人びたように感じる。

それは気のせいなどではない。

私を頼らなくなる・・・

そのことが嬉しく感じるよりも

何故か淋しいと思う気持ちの方が大きい。

子が育っていく親の気持ち?

師が弟子を思う気持ち?

違う・・・頼らなくなることにではなく

離れていってしまうことが・・・淋しい。

嫌、なんだ。

何故?

どうして、そんなことを思う?

自分の心に問いかけてみても分からない。

自分の気持ちなのに・・・。





いつかは私と彼は

離れてしまうのかもしれない。

だけど、それまでには・・・

このモヤモヤとした

不確かな気持ちを明らかにする。

だから・・・それまでは・・・

どうか、隣りにいることを

許して、欲しい・・・。













〜END〜


 

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