final fantasy

□全部はじめて
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ロ「初めてのキスって、いつ?」



「え・・・ぇえっ!?」







急にローザから聞かれた初めてのキスの話。

本当に突然だった。

今日はバロン城のローザのお部屋に

お呼ばれして

ローザお手製のお菓子と美味しい紅茶で

お茶会を楽しんでいた。

話だって他愛のないものだったのに・・・

急に私の顔をまじまじと

見つめてくるなぁ、なんて

のんきに構えているとあの質問をされた。







「ロ、ローザ!?どうしたの急に・・・」



ロ「だって、気になっちゃって。

リディアって本当に純粋で

真っ白だと思ってたんだけど・・・」



「えっ・・・?」



ロ「まさかのカインと

付き合っちゃってるでしょ?」



「?まさかの、って?」



ロ「あのカインよ?

昔からやたらと女の子にはモテまくりで

切らした時期なんてないってくらいの・・・」



「いい加減にしろよ、ローザ」







ローザがカインのことを

教えてくれていたんだけど

急に私の頭上から不機嫌な声が聞こえた。

はっとして見上げると・・・

私が大好きでたまらない彼が見下ろしていた。

不機嫌なのがちょっと気になったけど

会えたことが嬉しくて

思わず表情が緩んじゃう。







「カイン!」



「悪い、遅くなったな」



「ううん、大丈夫。

ローザとたくさんお話してたから」



「・・・・・・そうか」



ロ「も〜っと、たくさん

お話したいところなんだけど」



「・・・ローザ」



ロ「リディアにべったりの

恐〜い竜騎士さんが怒っちゃうから

今日はここまでね。

また、お茶に付き合ってね?リディア」



「うん!また、お菓子ごちそうしてね!」







さっき食べたばかりの

ローザお手製のお菓子を思い出し

素直にお願いしてみると

ローザはとっても優しく笑ってくれた。

カインと一緒に彼の部屋へ向かってる時も

ローザとの楽しかった時間を思い出して

私はずっと上機嫌だった。

カインと違って。










カインの部屋に着くと私のいつもの定位置

窓際のソファーの右端に

クッションを抱えて座った。

いつもならカインがすぐ隣に座ってくれて

髪を撫でてくれる。

でも・・・今日は違った。







「・・・カイン?」



「・・・なんだ?」



「どう、したの?」



「何が?」



「座らない、の?

お仕事、終わったばっかりだし

疲れてない?」







いつもと様子が違うことに心配になって

声をかけてみたのだけれど・・・。

なんだかもっと機嫌、悪くなっちゃった?

どうしたら良いのか分からなくて

オロオロしはじめると

急にカインがこっちへ向かってきた。

そして、カインは私の隣に座ると

急にソファーの上へ押し倒してきた。







「えっ、と・・・カイ、ン?」



「・・・驚かないんだな」



「じ、充分驚いてるもん!

驚き過ぎて・・・こ、声が・・・

でない、の・・・」







間近にあるカインの顔を

改めて認識してしまうと

どうしようもなく意識してしまう。

でも・・・今日のというか

今のカインはいつもと違う。

どうしたのか、分からない。














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